(1)食全体のマーケット
食全体のマーケット
(注)によると、COVID-19のパンデミック前の2019年は、8年連続で前年実績を上回り、前年比0.6%増の77兆2679億円となっている。このうち内食は、前年比0.3%の減の43兆7781億円、中食は前年比1.4%増の7兆2214億円、外食は前年比2.1%増の26兆2684億円であった。
しかし、パンデミックとなった2020年では、食全体のマーケットは前年比9.4%減の70兆193億円となっており、食全体のマーケットが10%近く縮小したことは近年ではなかった事象である。
内訳は前述の通りだが、特に外食の30.7%減は、市場規模の推計を始めた1975年以来、初めての大幅な減少である。
これらのことから、外食産業がコロナの影響を大きく受けた結果、2020年の消費者の食が内食回帰となっていることが分かる。
注:食全体のマーケットとは、内食、中食、外食の支出額合計を指す。ここでは、内閣府の国民経済計算における家計の最終消費支出のデータを使用し、その中の「食料・非アルコール飲料」「アルコール飲料・たばこ」からたばこの販売金額を減じた数字に、外食産業市場規模を加えたものを採用した。
また、外食は外食産業市場規模を、中食は経済産業省商業統計の料理品小売業を、内食は食全体のマーケットから外食、中食の数字を差し引いたものとした。
(2)食の外部化率と外食率
公表された2020年の国民経済計算に基づき、2020年の食の外部化率と外食率について推計を行った。食の外部化とは、消費者が食費のうち食を外部に依存している支出額の割合であり、具体的には、食費に占める外食費と中食費の合計の割合である。2020年には前年の43.3%から7.2ポイントと大幅に低下し36.1%となった。コロナでの外出自粛、営業時間の短縮などで外食支出が減少したためである(図1)。
また、外食率は食費のうち外食に使っている支出額の割合であるが、2020年では前年より8.0ポイント低下し、26.0%となっている。
過去から見てみると、食の外部化率は、2007年が45.2%と最も高く、その後緩やかに低下し、2010年辺りから横ばいで推移していたが、COVID-19の影響により2020年は大幅に低下し、1986年の水準となっている。
外食率は、1997年の39.5%がピークで年々低下傾向を示し、2020年には26.0%と過去最も低い結果となっている。
この食の外部化率、外食率の結果から、いかにCOVID-19が消費者の食へ大きな影響を及ぼしているかが分かる。
COVID-19の影響がなければ、2040年には食の外部化率は70%になるという推計もあり、近い将来、食の世界では加工品が主流となると考えられていた。野菜においても、カット野菜のような加工された(付加価値のある)野菜の消費が増加し、素材としての野菜利用は減少していくと考えられることから、生産者も出荷先について消費者向けのみならず、業務用への対応もより必要となってくると考えられる。