(1)食品ロス問題
食品ロスの視点でいえば、パルシステムのお料理セットはスーパーなどの市販品とは違い、1週間前に注文を受けて注文数を製造する受注生産となり、その無駄のない仕組みが、パルシステムの無店舗事業の強みともいえる。しかし、受注生産といえども青果の場合は歩留まりも考慮して納品するため、どうしても青果原料が余剰になる場合がある。
当センターの売上高(百万円)当たりの食品廃棄物の発生量は、開設当初の2017年度(6カ月間)実績が350キログラム、以降、年間で2018年278キログラム、2019年205キログラム、2020年179キログラム、2021年156キログラムと減少を続けている。
直近の実績の156キログラムは、農林水産省が定める食品廃棄物の業種別目標値(そう菜製造業:211キログラム)を下回る水準となっている(参考文献)。廃棄率の削減に当たっては、製品の品質を考慮し、野菜の外葉や芯などまで商品に使用するというような方法ではなく、作業者のカット技術の向上のほか、長年の産直事業で培った産地との関係などから、鮮度が高く傷みがない良質な原料を調達することや、組合員の受注数と製造現場に入荷した原料の歩留まり(製品率)などを細かく調整して、なるべく原料を余らせず、傷みが生じる前の新鮮な状態で回転良く使用することなどで対応している。
また、家庭で野菜を切った時の端材やキャベツの芯など、料理に使えない部分はどうしても生ごみとして出されるが、お料理セットとして工場で野菜をカットして発生した食品廃棄物はすべて、堆肥化を行うリサイクル施設での処理を委託している。専門業者にて3カ月程度かけて、市販の家庭菜園用肥料などにリサイクルされている。廃棄物とは別に、毎週一定数発生する食用可能な原料残については、近年要請が増加しているフードバンク、子ども食堂や生活困窮者の方への炊き出しなどの事業に使用いただくことで社会的利用を図っている。
(2)プラスチックの削減
当センターでの商品開発当初は、野菜毎にプラスチック包材で個包装したものをセットしていたが、プラスチックゴミ軽減の観点から、調理の工程で同時に炒める、または煮るものは、ミックス野菜にして一緒に梱包する工夫をした。このことによってプラスチックの小袋を削減できるうえ、調理する側もいくつも袋を開けなくて良いため手間が省けるという利点がある。
さらに、お料理セットの盛り付けにプラスチックトレーを使用しているが、これはお届け後に回収しており、回収後はリサイクル原料となり、再びプラスチックトレーの原料となって、現在55%が再生原料になっている。このトレーtoトレーの取り組みが出来るのもメンバーシップで行っているわれわれの強みであり、商品配達時に回収することで組合員も負担なくリサイクルに参加できる。現在トレーの回収率は75%程度で、他のリサイクル回収品よりも高い傾向にある。
今後は、より環境への負荷削減を目的に、プラスチックトレーから紙トレーに切り替えて、リサイクルが出来る仕組みを考え、委託工場にも順次紙トレーへの切り替えや、プラスチック総量の削減に取り組んでいただくことで、お料理セット全体でのプラスチック使用量の削減を計画している(写真4)。