こうした課題に対応するため、農林水産省では近年開発された技術で、「みどりの食料システム戦略」に掲げた温室効果ガス削減、化学農薬・肥料低減、有機農業拡大などに係る目標の達成に貢献し、現場への普及が期待される技術をまとめた「技術カタログ」を作成して、ホームページなどで紹介しているところである。このうち野菜については、温室効果ガス関係で9種類、農薬関係で27種類、肥料関係で16種類、有機農業で6種類などの技術が掲載されている。
ここで掲載された技術は、国の研究機関のみならず、都道府県の試験研究機関などで開発されたものも含まれており、一部開発中のものもあるが、ほとんどが市販化済みのものである。マニュアルなどの技術情報も公開されており、その技術の概要や効果だけでなく、導入に当たっての留意点や普及の状況、市販化されている場合は価格帯などの情報も掲載されており、生産現場で参考にしやすい、実用的なものとなっている。また、これら技術を開発した試験研究機関などの連絡先も掲載されているため、実際の利用に当たっては、これらに問い合わせることも可能である。
今回は、技術カタログの中から、露地野菜と施設園芸に関する技術について、いくつか紹介する。まずは露地野菜関係として、(1)施肥量の低減を実現する「土づくりと減肥のための緑肥利用マニュアル」(2)化学農薬の低減を輪作で実現する「ブロッコリーと輪作によるナス半身
萎凋病の発病抑制」―技術を参考までに抜粋して添付した。
また、施設園芸関係として、(1)土壌中の可給態リン酸を有効活用することで減肥を実現する「キュウリ促成栽培における基肥リン酸施用要否のための可給態リン酸基準」(2)化学農薬を削減する「園芸用施設への微小害虫の侵入を抑制する新防虫ネット」技術(3)暖房設定温度を下げても減収しない株元加温技術を紹介した「促成ピーマンにおける株元加温による設置作業の省力化技術」―を、抜粋して添付した。これら以外にも参考となる技術情報が紹介されているので、是非、ホームページを参照されたい。
(
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/catalog.html)
今後、野菜生産において、生産力の維持・向上と環境負荷の低減の両立に役立てていただければ幸いである。