食育を国民運動として推進するためには、国や地方公共団体、学校などをはじめ、多くの関係者の理解の下、共通の目標を掲げ、その達成を目指して連携・協働して取り組むことが重要です。
より効果的で実効性のある施策を展開していくため、国民運動として食育を推進するにふさわしい定量的な目標値を主要な項目について設定しています(図2)。
以下が、3次計画から新たに追加・見直しをした目標です。
目標5 学校給食における地場産物を活用した取組等を増やす
学校給食で地場産物などの活用を推進し地場産物を活用した指導などを通して地域の自然や文化、産業、生産者、食に関する子供たちの理解を増進させるためには、地場産物の活用などと食育を一体的に推進することが重要ですが、3次計画では、指導に関する目標がなかったため、新たに具体的な目標値(6)を追加しました。
また、3次計画の学校給食における地場産物・国産食材を使用する割合については、現場の努力を適切に反映するとともに、地域への貢献などの観点から、算出方法を3次計画の食材数ベースから金額ベースに見直しました。食材数ベースでは、メインの食材とそうでないものも同じ扱いとなってしまい、現場の努力が反映されづらいという課題があったことを受けてのものです。また、地場産物の生産量の地域間格差が大きいため、各都道府県が創意工夫を発揮し、現行以上の推進を目指すよう、各都道府県が現状値よりも維持・向上しているかという観点での目標としています。
目標6 栄養バランスに配慮した食生活を実践する国民を増やす
具体的な目標値として「(11)1日当たりの食塩摂取量の平均値」「(12)1日当たりの野菜摂取量の平均値」「(13)1日当たりの果物摂取量100g未満の者の割合」の3項目を追加しました。これらは、健康寿命の延伸を目指す「健康日本21(第二次)」でも目標となっていますが、達成していない状況です。そのため、食育の目標としても設定し、食育関係者における取組を促していきます。
目標11 産地や生産者を意識して農林水産物・食品を選ぶ国民を増やす
農林水産業や農山漁村を理解し、自らの課題としてその将来を考え、主体的に支え合う行動を促すべく新たな目標を追加しました。例えば、地元産品や、被災地の産品など自分が応援したい地域の産品や、応援したい生産者を意識して選ぶことなどを想定しています。
目標12 環境に配慮した農林水産物・食品を選ぶ国民を増やす
次に、環境への負荷を減らすために環境に配慮した購買行動を促すべく新たな目標を追加しました。国民の食生活が自然の恩恵の上に成り立つことを認識し、環境に配慮した農林水産物・食品を選ぶことは、環境への負荷を減らし、持続可能な食料システム(フードシステム)の構築につながります。
目標14 地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承し、伝えている国民を増やす
地域や家庭で受け継がれてきた郷土料理を調理し、さまざまな場面で食べることにより、将来にわたり、着実に料理や味、食文化を次世代へ継承していくことが重要であるため、「㉒郷土料理や伝統料理を月1回以上食べている国民の割合」を目標値としました。
その他、3次計画から引き続き目標になっている「地域等で共食したいと思う人が共食する割合を増やす」については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため短期的には地域などでの共食を積極的に推進することは困難であるものの、5年の計画期間を通して、「新しい生活様式」に対応しつつ実現したいと考えています。
また、「朝食を欠食する国民を減らす」については、健康上の理由から朝食摂取が困難な子供に配慮し、安易に目標値の達成のみを追い求めることのないよう留意する旨追記されました。