独立行政法人農畜産業振興機構理事長 佐藤 一雄
謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
alicの業務につきまして、旧年中は皆さまのご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
また、野菜情報は令和2年11月号をもって創刊第200号を迎えることとなりました。これもひとえに皆さまのご支援の賜物と深く感謝いたします。
昨年は、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会のシステムや人々の生活に大きな影響をもたらした年となりました。わが国でも、東京オリンピック・パラリンピックの開催が延期されるなどさまざまな行事や社会活動の自粛を余儀なくされました。罹患された方および関係者の皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
依然として甚大な影響をもたらしている新型コロナウイルス感染症ですが、わが国の農畜産業も大きな影響を受けました。政府による昨年2月の休校要請によって学校給食が供給停止となり、また、4月の緊急事態宣言発出後には、外出自粛、飲食店などの店舗休業、テレワークの進展、外国人の入国制限なども相まって、外食などの業務用需要が減少し、農畜産物の生産者や関連事業者などに大きな影響を及ぼしました。
こうした中、野菜関係では、新型コロナウイルス感染症の影響で家庭内の巣ごもり需要が伸びる一方で、外食、インバウンド、給食などの業務用需要が大きく低迷し、キャベツ、だいこん、レタス、はくさいなどの秋冬野菜の価格は、昨年11月以降主産地の生育が良好なため大幅な安値で推移しています。このため、野菜価格安定制度の的確な運営により野菜生産者の経営安定を図るとともに、本年2月にオンラインで野菜生産者と実需者の交流や商談の場を提供する「国産やさいマッチングサイト“ベジマチ”」を開設し、新型コロナウイルス禍で頑張っている野菜生産者を応援してまいります。
こうした諸情勢の変化に対応した対策などを迅速かつ的確に講じることは、alicの重要な業務の一つであり、alicの使命である畜産物、野菜、砂糖・でん粉に係る生産者などの経営安定を図るための交付金の交付や農畜産物の安定供給を図るための需給調整・価格安定対策と同様、引き続き全力を挙げて業務を遂行してまいる考えです。
また、農畜産物をめぐる国内外が変化する中、関連する情報を収集し、生産者・消費者を含め広く提供する業務の重要性も一段と高まっています。海外を含めた農畜産物の需給・価格の動向、わが国の輸出可能性などについての情報を収集・分析した上で、これをホームページや情報誌などの刊行物、さらにはSNSも活用して幅広く発信することにより、農畜産物の生産・流通・消費についての理解の促進に寄与することができているものと認識しております。現下の情勢では、海外での取材・調査が思うに任せない面もありますが、さまざまなツールやパイプを活用して、可能な限りニーズに即した内外の情報収集・提供に努めたいと考えております。
alicはこれからも、生きていく上でなくてはならない大切な「食」を支えていくために、農畜産業・関連産業に携わる方々を応援し、消費者の皆さまに農畜産物が安定的に届けられるよう努めてまいります。業務の実施に当たっては、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、さまざまな変革を行う必要があると思われますが、効率的かつ円滑な業務運営に努めてまいりますので、引き続きご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
本年が皆さまにとって希望に満ちた明るい年となりますよう、そして新型コロナウイルス感染症の1日も早い収束と皆さまのご健康をご祈念申し上げて、新年のごあいさつといたします。