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話題(野菜情報 2015年4月号)


「農業女子プロジェクト」における女性の活躍推進について

農林水産省経営局就農・女性課
女性・高齢者活動推進室長 佐藤 一絵

はじめに

 女性農業者は、平成26年現在114万人と、農業就業人口の約半数を占めており、地域農業の発展において重要な役割を果たしています。そのような農業界で活躍する女性の姿をもっと社会に発信しようと、25年11月より、新たな取り組みとして「農業女子プロジェクト」を開始しました。その概要と事例について紹介します。

プロジェクトの概要

 農業女子プロジェクトは、女性農業者が日々の生活や仕事、自然との関わりの中で培った知恵を、さまざまな企業がもっている特別な技術やノウハウなどと結びつけ、新たな商品やサービス、情報を社会に広く発信していくものです。この取り組みを通じて、社会における女性農業者の存在感を高め、将来的には女性の職業の選択肢に「農業」を加えることを目指しています。

 また、プロジェクトの活動を通じて、①農業女子の持つ「生産力」の可能性を広げ、経営発展につなげること、②農業女子ならではの「知恵力」を企業の商品開発などに生かしてもらうこと、③農業女子という新たな「市場力」を企業側に発見してもらい、農業女子の経営や生活の改善に役立てること、の3つの力を発揮していけるよう取り組んでいます。

 平成27年2月現在、プロジェクトの趣旨に賛同いただいている参加企業は20社で、自動車メーカー、化粧品メーカー、ファストフードチェーン、百貨店、コンビニエンスストアなど多岐にわたります(図1)。

 また、農業女子メンバーは27年2月16日現在、全国から250名に参加いただいています。「女子」という名称ですが年齢制限はなく、農業を仕事にしていて、自分の経営力を高めるような活動をしてみたいという方であれば参加可能です。地域は北海道から沖縄までほぼ全国を網羅、年齢層は19歳から65歳と幅広く、作物も水稲、野菜、果樹、花き、畜産など、さまざまです。さらに後継者、配偶者、農業法人勤務など、立場も多様です。

個別プロジェクト具体事例

○夢ある“農業女子”応援プロジェクト
(井関農機株式会社)

 農機の安全な使用方法やメンテナンスなどの実習セミナーなどを実施し、農機・農作業に関わる疑問を解決するプロジェクトです。平成27年2月までに4回開催しました。セミナーでは、実践を含めた講習とともに、女性農業者の皆さまから農機を扱う上での疑問や悩みを伺い、分かりやすい農機取扱マニュアルの作成につなげました。今後も農業女子メンバーに向けて、全国で農機セミナーなどを行っていく予定です。

○‘私の’軽トラックプロジェクト
(ダイハツ工業株式会社)

 農業に欠かせない軽トラックについて、農業女子の視点を取り入れた新型の開発を行い、26年9月に完成しました。開発に当たっては、全国各地の農業女子にヒアリングして不満や要望のヒアリングを行い、カラフルなボディー色、乗りやすい座席の高さ、豊富な車内収納、UVカットガラスの採用など、女性に優しい軽トラックが誕生しました(写真1)。

終わりに

 女性農業者がいる経営体は、販売金額が大きく、経営の多角化に取り組む傾向が強いという統計データもあり、今後、農業の成長産業化には女性の活躍が不可欠であると考えています。女性農業者の経営力の発展や意識の向上につながるよう、息の長い取り組みとして、本プロジェクトを推進していきます。

※詳細や成果事例はホームページ、フェイスブックでご紹介していますので、ご参照ください。

ホームページ http://nougyoujoshi.jp/

フェイスブック https://www.facebook.com/nougyoujoshi.project

 

プロフィール
佐藤 一絵(さとう かずえ)


【略歴】
民間企業で15年勤務したのち、
平成20年4月に農林水産省に入省。旧総合食料局計画課、同総務課、水産庁加工流通課、同漁政課を経て、平成26年4月より現職。




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