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今月の話題


国産野菜の消費拡大に向けた生産者との取り組み

株式会社サラダクラブ
専務 金井 順

 サラダクラブは、1999年にキユーピーと三菱商事の合弁企業として設立され、今年で創立13年目を迎えています。この間、数多くの産地の皆さんに支えられて今日に至っています。

 現在、わが社は全国で直営5工場に協力会社5工場を加えた10工場体制で、離島を除いた北海道から沖縄まで約8,000店舗のスーパーに商品を供給しており、昨年の売上は117億円に達しました。しかし、そのスタートは創立した1999年の4月13日に府中にある中河原工場でのわずか2,000パックの生産というささやかなものでした。当然使用するレタスやキャベツの量もわずかなもので、発注書をファックスで送るのが気恥ずかしく感じたのがまるで昨日の様に思い出されます。

 こうして毎日お客様からオーダーが入って来るかとひやひやしながら原料調達を続けて半年程経過し、ようやく小さいながらも会社として何とか成長出来るのではないかと、思える様になったことを記憶しています。スタートしてから約半年間は、全農茨城県本部・群馬県本部・長野県本部の皆様を始めとした東日本の多くの産地の皆様にレタス、寒玉キャベツの供給を含めてお世話になりました。すでに、この時から国産野菜にこだわるという基本方針を堅持しています。これは決して輸入野菜を否定することでなく、鮮度や作り手の顔が見える原料にこだわった当然の帰結といえます。現在も国産野菜だけでの周年供給が難しいパプリカ・トレビスなどを除けば、基本的に国産野菜を使用しており、使用比率は98パーセントに達しているほどです。また、5年ほど前から使用原料の県別表示も実施しています。

 さて、会社設立して2年目の夏だったと記憶していますが、川上村にある林農園の林代表から藤原村長をご紹介いただきました。大変積極的な方で、藤原紀香と契約して、前年に作製した村の宣伝ポスターをさらに活用するために、サラダクラブと組んでキャンペーンを展開したいというご提案がありました。有り難いお話だと思いましたが、当時のわが社は、当に吹けば飛ぶ様な存在でしたので、これは親会社の一つであるキユーピーとのタイアップキャンペーンにすべきだと思った次第です。駄目もとで宣伝部門の窓口に打診したところ、オーナーの了承がすぐに取れ、翌年も含め2年連続でキャンペーンを行う事が出来ました。また、わが社もこれを機会に川上村との関係が強化され、新鮮なレタスを使用したサラダメーカーというイメージを確立する事に成功したと、自負しています。今から思えば、ある意味、無手勝流で強引な面もあったと思いますが、何とかしたいという思いが、オーナーにも伝わったのではないかと感じました。また、当時のサラダクラブの規模を考えると、仲介の労をとってくれた関係者を含め多くの人達の応援なしには、実現出来なかったと改めて思います。

 その後、売上そのものは、比較的順調に推移したものの、経営の実態は、山あり谷ありの面も少なからず有り、2005年に初めて単年黒字となった時は非常に感慨深いものが有りました。さらに翌2006年には累損を一気に解消したと分かった瞬間は、社員一同当に歓声を上げた事を昨日の様に思い出します。

 こうした背景には核家族化や有職主婦の増加、高齢化に伴い、食べ切りサイズの簡便商品に対する需要が年々高まってきている情況があります。一方で、健康志向の高まりから野菜の摂取量をもっと増やそうという動きが活発化しつつあります。こうしたことから、産地の関係者との連動をさらに高めて国産野菜の消費アップに繋がる新商品を順次投入したいと常に考えてきました。

 2006年に旬の野菜を使用したサラダとして「ゴーヤサラダ」を発売しました。その後も全農長野県本部とのタイアップで、長野県産レタスを使用した「高原レタスのサラダ」、「金美人参」や「紅芯大根」を使用したサラダと旬の野菜サラダを継続的に取り組んでいます。また、サラダに留まらない野菜の楽しみ方として、「スープで食べるサラダ」を発売し、パッケージサラダに濃縮スープとお湯をかけ、大根や水菜などのシャキシャキとした食感が楽しめるスープに仕上げました。2010年には、外食で人気の蒸し野菜に着目し、パッケージごと電子レンジにかけて食べられる「そのままレンジで蒸し野菜」シリーズを発売しました。秋冬にはさつまいもやかぶ、春夏にはズッキーニなど、加熱しておいしく召し上がっていただける季節野菜を使用しています。

 このように、産地の関係者に支えられて多くの商品(年間約1億2千万パック)をマーケットに導入する事ができ、また、本年3月9日にさらなる発展を目指してパッケージのデザインを全面リニューアル致しました。その一環として提案させて戴いたサラダクラブ「4つの約束」(食卓にもっと安心を、便利を、彩りを、エコを)が、より明確な形で消費者の皆さんにお届けする事が出来た時にささやかではありますが、サラダクラブとして現在約20,000トン使用している国産野菜の消費拡大にさらに貢献する事が出来るのではないかと考えております。その意味でも西日本も含めて全国各地の産地の皆さんのご協力を改めてお願いする次第です。


プロフィール
金井 順

1977年4月 三菱商事株式会社(食品第二部)に入社
1989年10月 米国三菱商事株式会社シアトル支店へ異動
        (農水産加工品の対日輸出及び三国間取引を担当)
1995年3月 帰国し、食材流通部青果物チームに異動
1999年2月 株式会社サラダクラブ設立に伴い、同社常務として出向。
        その後、専務に昇役し、現在に至る。




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