株式会社野菜ビジネス
代表取締役社長 川島 省吾
株式会社野菜ビジネスは、「農業から日本を元気に!」を合言葉に、「地方と都市を野菜でつなぎ、旬を大切にした市場(需要)を創造する」を会社の理念とし、スタッフ全員が日々精力的に活動しております。
今、国内農産物の消費を拡大するためには、農産物本来の旬をもう一度しっかりと生活者に伝えることが重要と考えています。
しかし、農産物には「供給過多」により旬の時期に価格が低迷することがあります。なぜ、一番おいしい時期に価格が低迷するのでしょうか。原因はいろいろあると思いますが、その一つとして実需者がマーケティング的発想で「旬」を先取りすることがあげられると考えています。
生産者は旬を先取りしたいという実需者のニーズに応えて、本来のおいしさが味わえる旬の時期ではない時期から供給を始めます。それを果たして旬と言えるのでしょうか。
わたしたちは、生活者および実需者に日本の農産物本来の旬を伝え、「旬のおいしさ」「環境に負荷のかからない栽培(エコ)、露地栽培」「栄養価の高い野菜」などの情報をしっかり伝える「食育活動」をすることで、本来の日本の旬(供給のピーク)の国内消費量を拡大し、価格の安定および生産者の所得向上に貢献できると考えています。
現在地方には、生産者が価格決定権をもち、農産物を直接販売できる農産物直売所や道の駅などの施設があり、農家の所得向上に大きな影響を与えていますが、それらも飽和状態になりつつあります(農林水産省の「2010年世界農林業センサス結果の概要(概数値)」によると全国で1万6,829施設)。
一方、大都市には生産者が直接販売できる場所がほとんどありません。量販店などに設置された「顔の見える野菜」のコーナーはありますが、そのほとんどは生産者に価格の決定権はなく、また、生産者による文化的な交流もほとんど行われていません。
そこで弊社では、地方の生産者と大都市の生活者を結ぶ経済・文化の交流の場として東京都内数カ所(吉祥寺・錦糸町・池袋など)において年間約150日、マルシェを運営しています。
マルシェとは、フランス語で色とりどりの新鮮な野菜や果物、加工食品などがずらりと並ぶ街角の市場のことです。
弊社が運営する「ハピ・マルシェ」は、「野菜生活遊園地」をテーマとして、大手百貨店の店頭をはじめとする複数の場所で、毎週末に同時開催しているのが特徴です。開催場所によって客層も異なり、野菜の売れ方も変わります。
出店する生産者は販売価格を自分で決め、売りたいと思う場所を選んで出店することができます。
また、農産物の販路拡大だけでなく、PRや学びの場として生産者が生活者に直接伝えることができ、生産者からは好評を得ております。
野菜ビジネスはこのマルシェを中心に、日本の「本来の旬」を生活者にしっかりと伝えていくことで国産野菜の消費拡大を進めています。
わたしは創業50年の漬物を扱う老舗商家に生まれ、野菜本来のありがたさ、つまり「旬」の力強さやおいしさが、ないがしろにされている流通の仕組みに気付かされました。そのことをきっかけに「もっと野菜を作りましょう」「もっと野菜を食べましょう」という想いを生産者にも生活者にも伝えたい、そのための流通や小売りの仕組みを整備し、農家と都市生活者の役に立ちたい、そんな単純な思いを軸に野菜本来のありがたさである「旬」がきちんと伝わるような農産物流通の研究を今後とも続けたいと考えております。
マルシェ運営、都市型ファーマーズマーケット、市場調査研究などを通じて地方にも都市にもある「人」「物」「情報」の本来持つ良さや力を追求し、新しい農産物の流通の仕組みを作ります。
現在、弊社が運営・プロデュースする「マルシェ」および「都市型ファーマーズマーケット」には、年間延べ400万人の来場をいただいております。加盟生産団体数は120を超え、生産者数は推定1,500人を超えることができました。
また、弊社は2011年から「野菜生活遊園地化計画」をスタートさせます。単に野菜や産直を売りものにするのではなく、生活者に楽しさと驚き、出会いや知ることの喜びを伝えるテーマパーク型の野菜直売スタイルです。一人でも多くの方と進めて行きたいプロジェクトです。
このプロジェクトは、弊社の「旬とやさいの研究所・やさいLabo」の運営者である農業コンサルタントの中村敏樹氏、野菜料理研究家の新田美砂子氏、ハピ・マルシェプロデューサーの青木姿穂子氏、元博報堂製作部長でフリープランナーの高橋宣行氏、PI研究所代表の鈴木聖一氏ほか、多数の方々と取り組んでおります。
ぜひ皆さんもわたしたちと一緒に、もっと野菜を食べましょう!作りましょう!
1970年 東京都練馬区に生まれる
1995年 農産物の販売専門店「ヴェルジェ」を男兄弟4人で立ち上げる
2002年 都市型農産物流通の研究を開始
「都市型ファーマーズマーケット・ヴェルジェ」へ業態変更
(※現在首都圏を中心に、年間利用者数350万人)
2009年 農林水産省 マルシェ・ジャポン・プロジェクトを受託
ハピ・マルシェ創業(年間利用者数約40万人)
2010年
・旬と農産物の研究所「やさいLabo」創設
・栃木県農政部と連携し、県内生産者「とちぎマルシェ」の販路拡大・PRをサポート
・地方自治体と連携し、地方農産物と実需者との交流を目的とした「レストランイベント」を首都圏有名レストランにて開催
・国産農産物の需要拡大の為のメニュー開発および実践の場としてフードサービス事業「農園キッチン」をスタート