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野菜の消費を増やし、価格低落を予防する

特定非営利活動法人 青果物健康推進協会
専務理事 近藤 卓志

 野菜の市場価格は日々変動し、一般的には入荷量が減れば価格は上昇し、増えると価格は低下する。特に、価格の低落は産地にとって大きな課題の一つであり、低落した野菜価格を浮揚させることは至難の業といえる。産地をはじめ、関係者は特売や消費拡大キャンペーンなど、価格浮上のためあらゆる対策をとるが、低迷する価格はそう簡単には上昇しない。
 価格低迷の要因の一つには消費者が野菜をあまり食べなくなったことが考えられるのではないだろうか。野菜のみならず青果物の価格低迷が続けば農家の生産意欲は減退し、生産農家の減少に拍車をかけることが懸念される。そして、そのことは将来的に国産野菜の安定供給に不安を投げかける形で我々消費者に跳ね返ってくることが予想される。
 そこで、青果物健康推進協会では、低下した野菜価格を浮上させる価格低落予防プランを考案した。

予防プランの概要

 野菜の価格低落予防プランのポイントは、消費者を巻き込み、瞬時に消費を伸ばし、価格を浮揚させることにある。そのための準備として、まず、プランを実行するチームが必要だ。当協会には、全国で食育を推進する専任講師(ベジフルティーチャー)が350人登録されている。その95パーセントは女性が占め、野菜料理を得意とする講師で構成されている。現在講師の数を1年以内に1000人に増員させる計画である。
 次に、プラン実行の目安となる野菜の価格情報が必要となる。これについては農業団体などと連携する予定である。価格にランクをつけ、通常時を「フェーズ1」とし、価格低落の度合いにより以下「フェーズ2」から「フェーズ4」までの3段階に分けるのだ。「フェーズ4」は暴落の一歩手前の状況を想定しているが、通常この段階では価格の浮揚は困難と考えられる。やはり「フェーズ2」の段階で俊敏にプランを実施することが重要となるであろう。例えば、メンバー1000人が3日以内にインターネットの有名レシピサイトに価格が低落した野菜を使用した料理レシピを3品ずつ投稿する。3000件のレシピが投稿されれば、そのレシピサイトを利用する全国数万人の主婦などの消費者が、価格が低落した野菜を使った料理を作れば大きな消費となり、価格の浮上へとつながることが考えられる。
 課題は、1000人の講師のモチベーションを高く保つことであり、重要なのはチームリーダーの存在となる。そこで同プランのチームリーダーには、ベジフルティーチャーとしても活躍しているタレントの長谷川理恵さんを起用することとする。知名度が高く人気もある長谷川さんから配信されるお知らせメールの効果は大きいと考えられる。また、専用ウェブ(写真参照)も開設するほか、ミクシーやツイッターなどのITネットワークも駆使し、情報を発信する予定である。
 また、同ウェブサイトには「タイム・ベース・クッキング」という考え方に基づいた新しいレシピサイトも開設する予定である。これは時間軸で整理したレシピサイトのことで、「5分間レシピ」「10分間レシピ」「15分間レシピ」という料理時間ごとにレシピをそれぞれ集めて掲載する。アンケート調査などで、家で料理をしない理由に「時間がない」という消費者の意見もよく聞かれることから、短時間でできる簡単レシピのみを開発し、情報発信するのだ。このほか、食品メーカー協賛のレシピを掲載する予定だ。当該メーカーの調味料を使ったレシピサイトを当協会で製作し、コラボレーション企画で情報を発信し、スーパーなどの量販店でキャンペーン活動も展開する。我々としては、こうした取り組みを通じて野菜価格の低落予防に貢献するとともに消費拡大に努めていきたいと考えている。


プロフィール
近藤 卓志(こんどう たかし)

東京都練馬区出身
日本大学経済学部卒
・20年間、食料品流通業界紙のジャーナリストとして活躍
・平成12年から3年間、日本食生活ジャーナリストの会の代表幹事
・平成14年に青果物健康推進委員会を立ち上げ、理事・事務局長に就任
・現在はNPO法人青果物健康推進協会専務理事のほか、
 食生活ジャーナリストの会会員、農政ジャーナリストの会会員、
 日本オーガニック検査員協会会員
 食のジャーナリストとしては、主に農産物流通を専門としている



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