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国産野菜を主役にした総菜



株式会社ロック・フィールド
購買部マネージャー 田中 秀幸


 株式会社ロック・フィールドは1972年に神戸市で創業。現社長である岩田弘三が、デリカテッセン事業中核としてスタートしました。以来、事業を拡大し、サラダやフライを中心とした「アール・エフ・ワン」を中心に、「神戸コロッケ」やフレッシュな野菜と果物を使ったジューススタンドの「ベジテリア」など8つのブランドを全国の百貨店や駅ビル、駅ナカに展開しています。

「そうざいの製造と販売」を行う会社として、商品の企画・開発から原材料の調達、製造、販売まで一環して自社で行い「健康、安心、安全、美味しさ、鮮度、環境」という価値観を愚直なまでに追求しています。

  当社では、鮮度にこだわった総菜を展開しているため、使用する原材料について可能な限り生鮮のものを使っています。野菜の美味しさを求めた時、その栽培方法や土作りなど大切な要因が幾つもあると思いますが、鮮度がなければ美味しさも野菜の栄養素も半減すると考えています。そのため使用する野菜は、工場に入荷した時点の鮮度を考え、日々収穫されてから工場に届くまでの時間とルートを最優先しています。そう考えると国産野菜を出来るだけ使用することになります。海外農産物の価値がないということではなく、収穫から工場に届くまでのリードタイムを考えた時、必然的に国産野菜になるということです。コスト優先ではなく、鮮度優先と言うことになります。

 現在季節や品目により、北海道から鹿児島までの多くの生産者に契約栽培をお願いしています。契約栽培の良さは、生産者と総菜を作る我々が一緒になり、総菜を通してその素材の美味しさを提案できることです。野菜栽培の苦労と総菜を作る苦労をお互いに知ることで、店頭で消費者にそのことをキチンと伝えることができます。そのような取り組みが安心やおいしさのこだわりにつながり、また国産野菜の良さ、例えば旬やその地域の良さをわかってもらうことになると考えています。

 当社の総菜を通じて、生産者が美味しい野菜、安全な野菜を一生懸命栽培していることを知り、その野菜や生産者のファンになってもらう。栽培している生産者も、当社の総菜や理念に賛同することが増えれば、国産野菜を活用した美味しい「そうざい」がもっともっと出来てくると考えています。

 近年は、野菜の流通や消費における環境も変化してきており、私達のような中食業者や外食業者が国産野菜の流通や消費に大きな役割を担うようになってきました。当社では、出荷団体や農協、卸売会社とも共同で国産野菜に取り組んで行きたいと考えています。安定供給は大変重要な要素ですが、ブランド=ロットという考え方だけではなく、少量でも本当に一生懸命栽培している生産者の方々にも目を向け、そうした生産者とも手を組んでいきたいと考えています。

  一方、新しい野菜の探求という点で、契約栽培してもらう産地、種苗会社と我々との取り組みで、新しいオリジナル野菜の開発と導入を行っています。例えばグリーンリーフやサニーレタスを品種改良し、色鮮やかで食感も新しいものを開発、それらを徐々にメニューでも活用できるようになってきました。そのような新しい素材の発見や開発も、従来よりスピードアップできるようになったことで開発費も抑えられ、コストダウンにもつながっています。生産者、種苗会社、当社の三者が総菜を買う消費者の気持ちになることが大事であり、それを共有することが重要と考えています。

  また、日本全国には新しい取り組みをしている産地が数多くあります。そのような産地や生産者の方に巡り合うことも大変重要と考えているので、卸売会社や産地の方々と情報交換をして、実際に産地に出向いてさらに新しい情報を手に入れていきたいと思っています。

  また、総菜の製造、加工に適した野菜の規格という点で、現状の市場流通品は過剰選別、過剰包装だと感じています。工場で野菜の下処理をする時に、まず野菜の袋をはがすことから作業が始まるのですが、包装のムダ、労力のムダをいつも感じています。バラ規格品で納品されれば良いと思うことが多くあります。それを具現化するためにも、産地との取り組みが必要不可欠になります。産地でも包装を省くことでムダなコストが省ける事例がより多くあります。そのような規格は、売り先が明確でなければ本当に出来ないのか、出荷団体、農協や卸売会社の方々とも今後より多くの協議をしていく必要があります。

  もともと野菜は多品目で、また新しい野菜も台頭しているのでバラエティに富んでいます。またそれぞれの野菜に季節や旬があります。生産者の顔が見えることを意識し、消費者にもっと産地や生産者の情報を開示出来る仕組みがあれば、国産野菜はさらにその価値が高くなると考えています。

  近年、当社ではサラダの販売量が特に伸びており、国産野菜を活用することが当社の武器となっています。もっとその武器を活用したいと考えており、多くの生産者の方々と信頼関係を構築し、そのことを具体化したいと考えています。

  野菜は鮮度が大事であり、旬を活かして美味しく食べてもらうことが大事です。見た目や安定供給も大切ですが、それ以上に消費者が喜び、価値を認めてくれることが大切なのではないでしょうか。そのことを常に考え、これからも国産野菜の活用を行い、微力ではありますが国産野菜の発展に貢献していきたいと考えています。


プロフィール
たなか ひでゆき


1966年 
滋賀県生まれ
1996年
(株)ロック・フィールド入社。
滋賀県大津市公設卸売市場での経験を買われ、購買部にて農産物の購買を担当。
2004年より購買部マネージャーとして生鮮品から調味料、資材等の調達を担う。





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