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今月の話題


平成19年度からの新たな野菜対策について



農林水産省 生産局
野菜課長 豊田 育郎


1 野菜政策の課題と対応方向
 現在、農政については、平成19年産から品目横断的経営安定対策が導入されるなど、戦後最大といわれる改革を実施しているところです。

 野菜についても、産地の高齢化等に伴い作付面積が減少する一方で、低関税、輸送技術や冷凍技術の発達等を背景として、国内生産が加工・業務用需要に十分応えきれていないことから輸入が増加してきているなど、今までの政策の見直しが求められていました。

 このような状況への対応方策について、「野菜政策に関する研究会」報告書(平成17年3月)では、

ア 消費者等のニーズに的確に対応した生産を行う経営感覚に優れた効率的かつ安定的な農業経営およびこれを目指して経営改善に取り組む農業経営(担い手)を育成・確保すること
イ こうした担い手を中心として各産地の体質をより強化し、安定的な野菜の生産・出荷体制を確立すること
ウ このために、担い手の育成・確保を明確にした産地に対し生産・流通対策を重点的に講じること

が重要であるとされ、また、価格安定制度についても、現行制度の骨格は維持しつつ、担い手を中心とした産地に重点的に支援を行う方向で検討を行うべきとされました。

 今般の見直しは、この報告書の対応方向に沿って具体化を行ったものです。


2 見直しの視点と内容
 野菜農業は約2兆円の産出額がありますが、野菜に関する政府予算は産出額の1%程度に過ぎません。このような中、野菜生産者が所得を確保するためには、消費者ニーズに沿った野菜を市場や実需者に安定的に供給することが大切です。

 今回の見直しにおいても、このような観点を踏まえつつ、(1)実需者から安定的な所得を確保するため契約取引を推進すること、(2)市場から安定的に所得を確保するため関係者が一丸となって需給調整に取り組んでいくこと、(3)また、担い手を中心とした体質の強い産地づくりを推進するため、価格安定制度において担い手への重点支援措置を導入することとしたところです。

 以下、それぞれの対策の視点について簡単に述べていきます。

(1)契約取引の推進
 国内産地においては、これまで主に家計消費用を中心とした生産を行ってきたことから、加工・業務用需要を中心に野菜の輸入が増加しています。こうした中、契約取引の導入推進は、収入予測が可能となることから担い手の経営安定を図る上で重要であるとともに、外食・中食分野で低下している国産野菜のシェアを向上させる上でも必要不可欠であると言えます。今般の見直しでは、産地が契約取引により取り組みやすくなるよう契約取引安定制度の運用改善を行うこととしましたので、ぜひ本制度も活用いただき、契約取引への積極的な取り組みをお願いします。

(2)需給調整の的確な実施
 価格低落は、野菜販売に所得の多くを依存する担い手の経営に悪影響を与えるほか、作付意欲の低下を招き、次期作の作付減少、ひいては次期における価格高騰を招き、消費者にも多大な影響を及ぼします。このため、産地には自ら需給の安定に積極的に取り組むことが求められるところであり、需給調整の的確な実施を促進するための見直しを行うこととしています。

(3)担い手への重点支援
 野菜生産は労働集約的であり、また、高い技術力を求められることから、他の耕種農業に比して既に専業比率が高い状態にあり、現在、市場出荷を行っている生産者の多くが野菜生産の担い手であると考えることも可能です。しかしながら、産地の高齢化への対応といった今回の制度見直しの目的に立ち返りますと、中長期的な野菜の安定的・継続的生産を確保していく対策を講じておくことが重要です。

 このため、生産者の中でも、特に「将来においても安定的・継続的に野菜の生産を行うことが見込まれる者」を「安定的・継続的生産者」と位置付け、このような生産者をより多く確保している産地に対して重点的な支援を行うこととしたところです。「安定的・継続的生産者」は認定農業者を基本とし、各産地がつくる「産地強化計画」において明確化された者を特認できることとしています。

 実態面からみますと、野菜生産者のうち認定農業者がいる農家の割合は作付面積で3分の1強にとどまっていますが、野菜生産は他品目に比べ構造改革が進展しており、※主業農家が生産額ベースで8割を超えています。また、その収入水準も高いことから、主業農家のほとんどは認定農業者になることが可能な状況にあると考えています。


3 さいごに
 関係者の皆様におかれましては、19年度からの新たな野菜対策の内容をご理解頂きますとともに、認定農業者を基本とした「安定的・継続的生産者」の育成・確保のための取り組みを進めて頂きますようお願いいたします。

※農業所得が主で1年間に60日以上農業に従事している65歳未満の者がいる農家。




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