(1)リスク認識について
経営リスクについて、会員全体の1位は「生産コストの上昇」(回答率68.0%)、2位は「天候不順等による収量の減少」(同45.7%)、3位は「生産物価格の下落」(同43.0%)であった。特に1位の生産コストの上昇は、7割近い経営体が経営リスクとして回答しており、物価高騰が継続することへの懸念を捉えた調査結果となった。
これに対し、野菜生産法人の1位は「生産コストの上昇」(回答率73.2%)、2位は「天候不順等による収量の減少」(同52.6%)、3位は「生産物価格下落」(同35.6%)となった。リスクと考える項目と順位は全体平均と一致したが、「生産コストの向上」と「天候不順等による収量の減少」については、より高い割合でリスクと捉えていることが分かった。
この結果に関連して、同調査における業種別で、直近決算における売上高経常利益率を分析したところ、「赤字」と回答したのは会員全体では18.9%であったのに対し、野菜生産法人に限ると27.5%だった。これは、物価高騰や天候不順など、外部環境の変化が野菜生産法人の収益に与える影響がより大きいものと思われる。
(2)リスク対策について
リスク対策について、会員全体の1位は「複数販路の確保」(回答率54.0%)、2位は「スマート農業の導入(機械化)」(同27.3%)、3位は「従業員の給与水準や福利厚生の改善」(同25.8%)であった。
これに対し、野菜生産法人の1位は「複数販路の確保」(回答率59.6%)、2位は「多品目生産」(同32.8%)、3位は「外国人材の確保」(同23.4%)となった。1位、2位については、生産・販売リスクを分散させる対策であるが、3位の「外国人材の確保」については、野菜生産法人の特徴が表れた項目である。また、3においても「人材の育成」が野菜生産法人の経営課題の特徴として見られたことから、「人」に対する対策の必要性が求められていることが分かる。
(3)複数販路の確保について
リスク対策のうち、複数販路の確保に関して、野菜生産法人の主な販売先を調査したところ、1位は「小売業者」(回答率23.1%)、2位は「農協系統」(同18.8%)、3位は「農協以外の集出荷団体」(同17.2%)、4位は「卸売市場」(同14.3%)と続いており(図5)、他の耕種と比べると主要な販売先が分散していることが分かる。一方、経営課題の調査結果にもある通り、価格交渉の難しさや、費用を考慮した価格の実現には課題が残る。
(4)賃上げ対応について
人材確保に関するリスク対策として、賃上げの状況を調査したところ、会員全体で82.2%が「実施した」と回答したのに対し、野菜生産法人は、85.3%が賃上げを「実施した」と回答した。これは、業種別では最も高いが、実施内容は「最低賃金の引き上げに伴う昇給」との回答が最も多く、他の業種と比べて定期昇給やベースアップなどの取り組みについて積極的な回答はなかった。
(5)物価高騰による設備投資への影響について
前述の通り、2025年調査は、物価高騰に係る影響がさまざまな回答に反映されたように見られたため、最後に物価高騰による設備投資への影響について記載する。
物価高騰による設備投資などの影響を調査したところ、「影響あり(中止、延期、縮小)」との回答は、会員全体では56.5%であったが、野菜生産法人については、64.4%となった。
このような影響があることから、野菜生産法人の今後1年間の設備投資の目的は、1位が「更新・維持・補修」(回答率66.8%)、2位が「合理化・省略化」(同49.0%)、3位が「増産・規模拡大」(同37.4%)であった(表)。