(1)作付面積・出荷量
ア はくさい
(ア)作付面積(全体)
平成25年産から令和5年産にかけてのはくさいの作付面積は、1万7800ヘクタールから1万5600ヘクタールへと12%減少しており、すべての種別で減少した(表1)。
(イ)全国の出荷量(全体)
出荷量を見ると、はくさい全体では、73万600トンから71万3700トンへと2%減少し、特に夏はくさいが11%減とかなり大きく減少し、春・秋冬はくさいは、平成25年産とほぼ同程度で推移した(表2)。
令和5年産の種別別の出荷割合は、春はくさい15%、夏はくさい20%、秋冬はくさい64%となった。
(ウ)都道県別作付面積・出荷量
令和5年産の都道県別作付面積・出荷量は、それぞれ表3および表4の通りである。はくさい合計の作付面積・出荷量は、ともに茨城県、長野県のシェアが高い。種別別の出荷量を見ると、秋から春にかけての主産地は茨城県となっており、秋冬はくさい、春はくさいともに約4割のシェアを占める。夏は主に長野県のシェアが高く、夏はくさいは約9割を占める。
(エ)東京都中央卸売市場の月別入荷実績
令和6年の東京都中央卸売市場の月別入荷実績を見ると、1~5月にかけて茨城産が中心となり、その他、近隣の群馬産に加え、関西の兵庫産の入荷がある。6月以降は長野産が中心で、その他茨城産、群馬産の入荷がある。11月以降は再び茨城産が中心となる(図2)。
イ レタス
(ア)作付面積(全体)
平成25年産から令和5年産にかけてのレタスの作付面積は7%減少し、すべての種別で減少した(表5)。
(イ)全国の出荷量(全体)
出荷量を見ると、レタス全体では、53万9580トンから51万1350トンへと5%減少し、種別別に見ると、春レタスと夏秋レタスは減少したが、冬レタスは平成25年産の水準を維持した(表6)。
令和5年産の種別別の出荷割合は、春レタス19%、夏秋レタス48%、冬レタス32%となっている。
(ウ)都道県別作付面積・出荷量
令和5年産の都道県別作付面積・出荷量は、それぞれ表7および表8の通りである。レタスは冷涼な気候を好むため、夏場は冷涼な長野県、冬場は暖地の茨城県などで栽培されている。
(エ)東京都中央卸売市場の月別入荷実績
令和6年の東京都中央卸売市場の月別入荷実績を見ると、6~9月にかけて長野産を中心に、群馬産が入荷する。10月以降は茨城産が増加し、12月~翌2月までは静岡産が増え、長崎産、香川産の暖地からの入荷が多くなる。3~4月は再び茨城産が増え、その後は徐々に群馬産、長野産に移行するという産地リレーにより、消費地に周年で安定供給がなされている(図3)。
(2)輸入動向
ア はくさい
平成25年から令和5年までの国内供給量に占める国内生産量の割合を見ると、いずれの期間ともほぼ全量を国内生産で賄っており(図4)、輸入は国産品の不足時のみであった。
国・地域別輸入量は、中国に次いで韓国からの輸入が多くなっているが、中国が圧倒的なシェアを占めている(図5)。輸入品は、主に加工・業務用として利用されるが、平成30年に16万トンと他の年より輸入量が多かった理由は、平成29年秋の台風が、秋冬野菜の最終の定植直後に到来したため
播き直しが間に合わず、さらにその後の低温により品不足となったためである。さらに翌30年の1~3月は、中国に加えて韓国からの入荷も見られ、加工・業務用を中心に輸入が急増した。
イ レタス
平成25年から令和5年までの国内供給量に占める国内生産量の割合を見ると、はくさいと同様にどの期間においてもほぼ全量を国内生産で賄っている(図6)。
国内供給量に占める輸入の割合は、令和元年以降、減少傾向となっている。これは国産品の生産量が増加していることや、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により業務用需要が減少したことなどが要因であると考えられる。
国・地域別輸入量を見ると、主な輸入先は台湾やアメリカとなっているが、近年円安が急激に進み、その後も円安傾向が継続していることから、米国産の輸入は大幅に減少した(図7)。
(3)消費動向
総務省の家計調査報告によると、令和5年の2人以上の世帯の年間合計の1人当たりの生鮮野菜の年間購入量は、平成25年の58キログラムから54キログラム(平成25年比93%)とかなりの程度減少した(表9)。
ア はくさい
1人当たりの年間購入量は、平成25年の2827グラムから令和5年の2759グラム(平成25年比2%減)と、野菜全体の購入量の減少幅(同7%減)と比較してわずかな減少に留まっている。
この要因として、量販店での少量カット売り(4分の1、8分の1など)により単身世帯でも購入しやすくなったことや、鍋つゆなどの家庭で手軽に使える調味料が普及したことなどが考えられる。はくさいは、味は淡白だがビタミンCとKが比較的多く、繊維質も豊富に含まれる。また、漬物、鍋物、炒め物など、和洋中どの料理にも使える素材として、多様な食文化が定着しているわが国では欠かせない野菜である。
イ レタス
1人当たりの年間購入量は、平成25年の2026グラムから令和5年の2032グラム(平成25年比100%)と、野菜全体の購入量が減少している中で、同程度を維持した。レタスは、サラダに欠かせない野菜であり、カット野菜での購入のほか、調理に手間がかからないことなどを背景に家庭でサラダの食材としての利用が増えているためと考えられる。近年、レタスは葉が濃い緑や紫のもの、縮れているものなどさまざまな種類が出回るようになった。