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調査・報告 野菜情報 2021年10月号

新型コロナウイルス禍の加工・業務用野菜需要構造実態調査の結果概要

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野菜振興部
 当機構では、加工・業務用野菜の需要構造および消費者の消費行動が、新型コロナウイルス感染拡大によってどのような影響を受けているのかを明らかにするために、以下の調査を実施した。

 1)加工・業務用野菜の販売などを担う中間事業者に対する調査(アンケート調査およびヒアリング調査)
 2)一般消費者に対する調査(アンケート調査)

調査方法

(1) 調査期間:令和3年4~7月
(2) 調査方法
   1) 加工・業務用野菜の販売などを担う中間事業者に対する調査
   ・アンケート調査:634社に送付し192社から回答(回収率32.3%)
   ・ヒアリング調査:主要10社(卸売・仲卸業者、カット野菜製造業者、農協など)
   2) 一般消費者に対する調査
   ・アンケート調査:全国の20歳以上の男女1000人
  ※1回目の緊急事態宣言期間(令和2年4~5月)
   1回目の同宣言後(令和2年6~12月)
   2回目の同宣言期間(令和3年1~3月)のそれぞれの期間の状況を質問

調査結果の概要(ポイント)

~中間事業者に対する調査~
1.新型コロナ禍で中間事業者(卸売・仲卸業者、商社、問屋、カット野菜業者など)の加工・業務用野菜の仕入・販  売金額は、1回目の緊急事態宣言期間(令和2年4~5月)から2回目の宣言期間(令和3年1~3月)を通じて、前年比2割程度減少した。野菜全体(量販店向けなどの生鮮野菜)の販売金額の減少率が5%程度であるのと比較して大きい。
2.野菜の販売について新型コロナの影響が最も大きかった時期は、「1回目の緊急事態宣言期間中」と回答した中間 事業者が最大の約4割を占めた。
3.販売先別では、営業自粛・時短営業などの要請を受けた外食事業者向けの販売額が4~5割程度の減少率と最も大きい。中食・給食・加工食品製造者向けの減少率も1~4割程度と大きかったが、1回目の宣言解除後の減少率は外食向けより小さいとの意見が多かった。
 
~一般消費者に対する調査~
4.新型コロナ感染拡大前後で消費者の野菜の購入頻度に大きな変化はないが、カット野菜、野菜総菜、弁当、冷凍野菜などの購入頻度が徐々に高まる傾向がみられる。
5.新型コロナ禍でも購入先の8~9割を占めるスーパーの利用頻度が高まった。また、宅配業者(生協など)、弁当・惣菜専門店・外食店の宅配サービス、ネットスーパー・コンビニの宅配など非接触型チャネルの利用頻度の増加傾向がみられる。
6.消費者の野菜の購買意識については、「特に意識していない」が5割以上を占める一方、「野菜を普段より多めに購入する」「食費の節約を心がける」「保存のきく冷凍野菜のストックを持つようにする」「免疫力アップを意識して野菜を多めに摂取する」などがそれぞれ2割程度を占めた。

中間事業者への調査結果

(1)加工・業務用野菜の仕入金額・販売金額(前年同期比)
 新型コロナ禍における中間事業者の加工・業務用野菜の仕入・販売金額は、1回目の緊急事態宣言期間(令和2年4~5月)から2回目の同宣言期間(令和3年1~3月)を通じて、前年比2割程度減少した。野菜全体(量販店向けなどの生鮮野菜)の減少率が5%程度であるのと比較して、加工・業務用野菜の仕入金額、販売金額の減少率は大きい。
 

 
(2)加工・業務用野菜の仕入金額(前年同期比)
 中間事業者の加工・業務用野菜の仕入金額は、1回目の緊急事態宣言中~2回目の緊急事態宣言中まで対前年比で15%前後減少している。特に、卸売業者(市場内)、仲卸業者の減少率は20%前後となっており、問屋・商社やカット野菜加工業者の減少率よりも大きくなっている。
 また、野菜全体および加工・業務用野菜の仕入金額について、「増加」「横ばい」「減少」した企業の割合をみると、野菜全体よりも加工・業務用野菜の方が、仕入金額が減少した企業の割合が高い。
 


 


(3)野菜全体の仕入数量のうち、契約取引による調達数量の変化
(新型コロナ禍前後の増減率の変化)
 野菜全体の仕入数量のうち、契約取引による野菜の仕入数量の占める割合について、1回目の緊急事態宣言前から緊急事態宣言後にどのように変化したかを集計した。全体では宣言前後で「変化なし」が71%を占めているが、「増加」が6%、「減少」が21%となっており、契約取引による調達割合が、「減少した」企業が2割程度を占めている。
 

 
(4)野菜の販売で新型コロナ禍の影響が最も大きかった時期
 野菜の販売について最も影響の大きかった時期は、「1回目の緊急事態宣言期間中」と回答した中間事業者が約4割(4月30%、5月11%)を占めており最も多い。2回目の宣言期間の11%と比較して大きい。
 

 
(5)新型コロナ禍における野菜の販売金額(前年同期比)
 野菜の販売先別で、販売金額が前年同期と比べてどうだったかを尋ねたところ、営業自粛・時短営業などの要請を受けた外食事業者向けの販売額の減少率が4~5割程度と最も大きかった。中食・給食・加工食品製造業者向けの減少率も1~4割程度と大きかったが、1回目の宣言解除以降の減少率は外食向けより小さい。
 


一般消費者に対する調査結果

(1)野菜の購入頻度
 新型コロナ前後で消費者の野菜の購入頻度に大きな変化はないが、カット野菜、野菜総菜、弁当、冷凍野菜などの購入頻度が徐々に高まる傾向がみられる。
 

 
(2)野菜の購入量
 野菜の形態別に、野菜の購入量が緊急事態宣言前と比べて変化したかを尋ねたところ、全般的に「変わらない」が圧倒的に多いが、「増加した」「減少した」を比較すると「増加した」人の割合の方が高く、全体的な一般消費者の購入量は増加している様子が伺える。特に1回目の緊急事態宣言中はそれ以降の時期と比べて、いずれの形態の野菜においても「増加した」比率がやや高い。
 

 
(3)野菜の購入先の利用頻度の変化(各購入先の利用者ベース)
 新型コロナ禍で購入先の8~9割を占めるスーパーの利用頻度が高まっている。また、宅配業者(生協など)、弁当・惣菜専門店(店舗に来店)、弁当・惣菜専門店・外食店の宅配サービス、ネットスーパー・コンビニの宅配など非接触型チャネルの利用頻度の増加傾向がみられる。
 

 
(4)野菜の購買行動について意識したこと
 消費者の野菜の購買意識については、「特に意識していない」が5割以上を占める一方、「野菜を普段より多めに購入する」「食費の節約を心がける」「保存のきく冷凍野菜のストックを持つようにする」「免疫力アップを意識して野菜を多めに摂取する」などがそれぞれ2割程度を占めた。
 特に、1回目の緊急事態宣言中においては、それ以外の時期と比べて、「野菜を普段より多めに購入する」「保存のきく冷凍野菜のストックを持つようにする」などの比率が高い。
 



 
当調査の全体版はこちら→https://www.alic.go.jp/y-gyomu/yajukyu02_000176.html