ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > 野菜が持つ栄養素と健康について
野菜にはさまざまな栄養素が含まれているが、たんぱく質や脂質、糖質の量は少なく、それらの供給源としてはそれほど期待できない。野菜の多くは、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの供給源として期待される。また、栄養素ではないが、私たちの健康に大きくかかわっていると考えられている機能性成分である、ポリフェノールなどのいわゆるファイトケミカルの供給源ともなる。
今回は野菜が持つ栄養素と健康について考えてみたい。
現在、市場にはさまざまな種類の野菜が流通している。昨年(2020年)12月に発表された最新の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には178種類の野菜が掲載されている(野菜ジュースなども含む)。ここで例として、食品成分表でほうれんそうを見てみよう。現在の食品成分表には、「葉 通年平均 生」「葉 通年平均 ゆで」 「葉 通年平均 油いため」「葉 夏採り 生」「葉 夏採り ゆで」「葉 冬採り 生」 「葉 冬採り ゆで」「葉 冷凍」「葉 冷凍 ゆで」「葉 冷凍 油いため」と実に10種類の成分値が収載されている(表1)。それぞれの特徴を見比べてみると、季節による違いや、調理損失もわかるので興味深い。ぜひ手に取って確認していただきたい。
特に野菜の場合には調理による栄養素の損失に注目する必要がある。例えば、ほうれんそうの種類別の主なビタミン、ミネラルの値を表1に示したが、葉酸やビタミンCのような水溶性のビタミンやカリウム、マグネシウムはゆでる作業による損失が大きい。なお、カルシウムについてはゆでることによる損失は少ないが、これはおそらくほうれんそう中のカルシウムの存在形態などが影響しているものと考えられる。その他、冷凍ほうれんそうの特徴なども見ることができる。ぜひ、食品成分表をじっくりと参照していただきたい。その際には、分析や各食品に関する詳しい記述があるので、文部科学省から発表されている原本を見ることをお勧めする。