(1)野菜の消費
令和2年の生鮮野菜(もやし、きのこを除く)の消費動向を月別で見ると、二人以上の世帯では、購入数量はCOVID-19の影響が大きかった4~5月に過年度を上回り(図5)、支出金額は4月以降でほぼ過年度を上回って推移している(図6)。
単身世帯では、支出金額と購入頻度が第2四半期以降、過年度を上回って推移し、特に単身勤労世帯において増加している。
コロナ禍の野菜消費は、二人以上の世帯と単身世帯の両世帯において増加しているが、特に単身勤労世帯において増加したと推察される(図7)。
(2)野菜の消費形態
POSデータの1000人当たり販売金額により、家計におけるコロナ禍におけるカット野菜、冷凍野菜、野菜総菜の販売(購入)の動向を月別に、令和2年1000人当たり販売金額から平成29~令和元年の3カ年平均の1000人当たり販売金額を差し引いた増減額で見ると、2月または3月以降は増加して推移し、特に家庭内調理で使用するカット野菜や冷凍野菜の購入が大幅に増加している(図8)。
また、サラダや総菜サラダのサラダ需要も同様に増加し、家庭で簡便に調理できる食材セットのキットも4月以降に炒め物用などを主体に増加している。
家庭内調理で使用する原体、カット、冷凍だけでなく、簡便に調理ができるサラダやキット、調理済食品である総菜サラダの購入も増加している。
(3)品目別消費動向
生鮮野菜の購入が大幅に増加した3~6月を家計調査(二人以上の世帯一人当たり)により、令和2年3~6月と平成29~31年(令和元年)3~6月の3カ年平均値の増減額で見ると、たまねぎ、キャベツ、ねぎ、ばれいしょ、にんじん、きゅうり、なす、だいこん、かぼちゃなどの購入が増加している(図9)。
他方、家計消費におけるカット野菜および冷凍野菜の購入動向をPOSにおける3~6月の1000人当たり販売金額で見ると、カット野菜ではキャベツ、ねぎ、冷凍野菜ではブロッコリー、ほうれんそうの購入が増加している(図10)。
家計におけるキャベツ、ねぎの購入増加は、原体の購入が増加するとともにカット野菜での購入も増加し、たまねぎ、ばれいしょ、にんじん、きゅうり、なす、だいこん、かぼちゃなどは原体の購入が増加したと推察される。
冷凍の購入が増加したブロッコリー、ほうれんそうでは、従来から原体の購入から冷凍の購入にシフトしていたが(カット野菜・冷凍野菜・野菜惣菜に係る小売販売動向調査
https://www.alic.go.jp/y-gy-mu/yajukyu02_000176.html#9を参照)、コロナ禍において当該品目の購入は、家計調査報告における購入数量の増減が少ないことから、原体による購入から冷凍による購入にさらにシフトしたと推察される。
家計におけるコロナ禍の野菜購入は、従来からカットによる購入が増加していたキャベツ、ねぎはカットでの購入がさらに増加し、従来から冷凍での購入が増加していたブロッコリー、ほうれんそうも、冷凍による購入がさらに増加していると推察される。