公立小松大学 国際文化交流学部 教授 盛田 清秀
気象・土壌条件もあって大規模な野菜作経営が相対的に少ない北陸・石川県において、ブロッコリーを中心に100ヘクタール(冬期間の期間借地を含む)を超える大規模野菜作経営を育て上げた有限会社安井ファームの経営展開を紹介する。社長の安井善よし成なり氏は若手・中堅社員を部門責任者に据えるなど人材育成にも意を用い、農地需給が堅調で貸付農地が比較的少ない石川県加賀地域において、急速に規模拡大を成し遂げた。
最近では本社に隣接する直売所を設置するなどして、地域との交流も強めるなど経営の多角化にも取り組んでいる。本格的な6次産業化の取り組みはこれからであるが、多様な試みを社員とともに追求する姿勢は有限会社安井ファームの発展を予感させる。
北陸の農業は伝統的に稲作に特化した姿を示してきた。それは近年でも変わらず、2015年センサスによれば農産物販売金額1位部門が稲作である割合は90%と全国の57%に比べて顕著に高い。北陸が良質米産地であること、兼業率が高く農外就業との親和性が高い稲作が選択・維持されてきたこと、冬季の積雪による作付けの制約があること、湿田が多く畑作には不向きな水田が多いことなどがその理由である。
表1は野菜が販売1位部門である農業経営体数とそれが農業経営体全体に占める割合を整理したものである。全国では露地野菜が1位である割合は10.5%、施設野菜は5.7%、両者の合計が16.3%であるのに対し、北陸はそれぞれ2.9%、1.1%、合計4.0%であるに過ぎない。北陸地域ではいかに野菜作がマイナーであるかが如実に示されている。今回対象とする有限会社安井ファーム(以下「安井ファーム」という)は、石川県加賀地域の白山市に位置している(図1)。石川県は加賀野菜ブランドをもつ銘柄野菜産地を抱えており、北陸の中では野菜部門1位割合はそれぞれ4.2%、1.5%、合計5.8%と比較的高いものの、野菜作の比率が全国水準から見ると低い。
このような地域条件のもと、安井ファームはブロッコリーを主軸に顕著な規模拡大を図りつつあり、すでに全国的にみても大規模野菜作経営の仲間入りを果たしている。本稿では安井ファームの現状とこれまでの展開を通して、野菜作後進地域である北陸における野菜作経営の定着・発展条件に迫ることとする。
安井ファームは、現社長の父(先代)が2001(平成13)年に設立し、2004(平成16)年に安井善成氏(以下「安井氏」という)が社長に就任して、経営を引き継ぎ今日に至っている(写真1~2、表2)。
経営を承継した当初、ブロッコリーの作付けはごくわずかで、経営の柱が水稲と大豆という土地利用型農業経営であった。安井氏は大学卒業後に大手自動車会社の整備工として2年勤務したのち、1994(平成6)年に先代が経営する自家農業に就農したのであるが、当時すでに30ヘクタールを経営する稲作大規模経営であった。加賀地域は稲作大規模経営が多く存在しており、農地集積をめぐる競争は現在でも続いており、経営を引き継いだ時点で広い農地を確保していたのはその後の経営成長にとって重要な基盤であったと思われる。
(1)経営面積と作物
現在の経営面積は水田120ヘクタール、畑18ヘクタールで計138ヘクタールの規模となっており、野菜作中心の経営としては有数の規模である。経営農地のうち自作地は水田2ヘクタールのみでほかは全て借地である。借地の内訳は、水田の通年借地(期間はおおむね10年)が65ヘクタール、期間借地(大麦収穫後の6月中旬から翌年3月までの借地で3月に耕起して返還)が53ヘクタール、畑はすべて通年借地である。農地は白山市内の旧松任市地域、白山市南部に隣接する川北町・能美市管内、本社から北東方向に25キロメートル離れた河北潟干拓地区(かほく市他)の3地区に分布している。期間借地が多いのは、農地の借り手がまだ多くて競合しており、大麦跡地であれば借りやすいという事情がある。つまり麦作で転作がカウントされるので、後作の大豆を栽培しない農家も多く、こうした農家から期間借地するのである。なお2018年産からは米生産調整が廃止され、米作付目標数量配分方式となったが現在までのところ基本的な事情は変わっていない。借地料は通年が10アール当たり1万4000円、期間借地では7000円である。ただし、利益が通常より多く出たため期間借地料が1万円に上昇したケースもある。このようにいったん上がると下げるのは難しい。借地に際して、旧松任市内であれば農家はほぼすべて面識があるのでよいが、それ以外だと全く面識がないので1戸1戸訪ねて回って借地を増やしていったという。
なお、水田価格は1坪当たり1万円(10アール当たり300万円)が相場である。売り手側から話が持ち込まれるとこれが2割程度安くなるというが、不動産取引でよく聞く話である。
(2)水田を利用したブロッコリー栽培
栽培面積では、ブロッコリーが71ヘクタールと最大で、これは2016(平成28)年の北陸4県合わせた栽培面積が442ヘクタール、うち石川県が213ヘクタールであることから、北陸では安井ファームがいかに飛びぬけた存在であるかがわかる。ブロッコリー以外では、水稲が42ヘクタール(コシヒカリが25ヘクタールと最も多い)、大豆16ヘクタール、その他野菜7.8ヘクタールとなっている(表2)。ほかに水稲の育苗や収穫の作業受託もある。このうち水稲の収穫は地元の農家から頼まれる小区画圃場が多いが、経営水田の収穫を先延ばししても引き受けている。社有の大型コンバインを積めるトラックがないので、JAの農機センターから運搬用トラックを借りて運び収穫する。作業を依頼する農家は、自分のコンバインが故障、あるいは圃場がぬかるんで小型のコンバインでは作業できないなどの理由で頼んでくる。いわば一種の地域貢献であるが、借地主体の経営である限りは避けられない面がある。しかしトラックを借りてまで、また自分の作業を後回しにしてまで対応するのは安井氏の人柄によるものとみる。
この地域は、水田の慣行的土地利用としては、「米-大麦-大豆」の2年3作が基本であり、安井ファームでは冬作物の大麦に置き換わってブロッコリーが入る作付順序となっている(写真3)。「米-ブロッコリー-大豆」となる場合は、ブロッコリーに施肥した肥料の残効があり、大豆は無肥料栽培が可能となるという。ただし、大豆単収は湿害のためもあるが、それほど高くない(10アール当たり100~150キログラム程度)ので無肥料が適切かどうかは検討の余地があるのではないだろうか。
このようにブロッコリーが経営収益の中心で、これに米と大豆という安定部門を組み合わせた経営となっている。現在は3本目の柱としてたまねぎを予定して、すでに設備投資も行っており、2020年には能登地方で130ヘクタール程度の耕作放棄地を借りる計画である。まだまだ安井ファームの規模拡大は続くようである。
(3)売上構成と販路
経営収益はブロッコリー中心と述べたが、2017(平成29)年の販売額は2億583万円で、同年の販売総額2億7246万円の76%を占めている。これに続く水稲は4214万円、その他野菜1644万円などとなっている。収益面ではブロッコリーの占める割合が極めて高く、これを水稲が補完する形となっている。2018(平成30)年実績では総販売額が2億8600万円となり、2019(令和元)年は3億円を見込んでいる。毎年5~10%ずつ伸びてきている。ブロッコリーが収益の柱であるだけに、各種作業機はもちろんのこと出荷調製・冷蔵施設を自前で保有し運用している。これによりある程度計画的な出荷作業が可能となっている。ただ、ブロッコリーは冷蔵すれば1カ月の保管は可能だが、現有冷蔵施設(4000ケース)では4日分しか保管できない。また苗は全て自給である(写真4~5)。
ブロッコリーの出荷先は85%が市場出荷で、その4~5割は金沢中央卸売市場向けで、残りは東京(大田市場)、名古屋を主体に、富山県、福井県にも出荷している(写真6)。2018(平成30)年は金沢市場への出荷額が1億円を超えたという。残りの15%は生協(問屋を通した数量契約販売)、百貨店などへの販売である。ブロッコリーは「相場商品」で価格変動が大きい。たまねぎを新たな品目候補として考えているのは、加工向けが多く、比較的価格が安定しているからである。
ただし、現時点でブロッコリーの新たな販路開拓は無理というか不要である。現在でも取引先の要望を量的には十分に満たせていないので、むしろ生産拡大が現下の経営課題なのである。恵まれた経営環境であるが、これも自らが切り開いてきたからこそのことであろう。
(4)労働力と組織構成
人員面では9名の社員と安井社長が常勤職員である。これに20人余りのパート・アルバイト・外国人技能実習生(ベトナム・6人)が加わる。安井氏の家族(両親、妻)はこの経営に直接参加していない。大学生の息子が農業を継ぐ意向を持っているようであり、卒業後は他の業界で数年働いて経験を積んだ上で農業を覚えることになる。やらせてみて能力不足で無理なら経営を継がせる気はないし、本人にもそう申し渡してあるという。
安井ファームの組織構成としては、図2の通りで社長の下に穀物部、選果営業部、野菜部の3つの部で構成されている。各部課の長は「責任者」という肩書となっている。また穀物部の下部組織として米課、大豆課が、選果営業部の下に広報課が、野菜部の下に第1課(ブロッコリー担当)、第2課(その他野菜担当)が置かれている。
こうした組織体制にしたのは、社長が一人で複数部門を管理するのは無理であり、各部門に責任者を置いてきちんと管理してもらうことが重要と考えたからである。
またこれだけ規模が大きくなると他業種からの出資(株式購入)申し入れも来るとのことであるが、受入れは考えていないという。
先代のもとで大規模水田作経営として展開していたものが、現社長への世代交代に伴い、野菜作へと大きく舵をきったのが2005(平成17)年ごろである。転作奨励金が将来はなくなると聞き、関係機関とも相談してブロッコリーの拡大を決めた。
ブロッコリー導入前には花きなども試験的に栽培したが、大手量販店との取引が可能なブロッコリーを主要作物として選択し今日に至っている。このときは先代が反対したものの、それを押し切る形での経営転換である。とはいえ、経験とくに大規模に野菜を栽培した経験がなかったので、県外の先駆者(安井氏は「師匠」と呼ぶ)に何度も足を運んで教えを請い、熱意が認められ、技術面での指導を受けながらブロッコリーを拡大してきた。
当初は師匠の規模(ブロッコリー20ヘクタール)を超えることが目標であったが、それを達成する頃に大手量販店との取引が始まり、その継続条件としてGAP取得が通告された。それで2008(平成20)年に何とかグローバルGAP認証を取ったのである。ところがその量販店と取引のあった他の農業経営はGAPが取れずにみな脱落してしまった。そこで、大手量販店はその条件を取り下げたという経緯がある。グローバルGAPに関しては2年ほど継続したが、当時はそれほど経営的に必要がなかったので、継続を停止したという。
ただし、現在はブロッコリーで県独自の「いしかわGAP」の認証を取得している(2018(平成30)年)。新たにGAPを取得したのは、取引先への訴求に加え、従業員の意識改革を含めて生産管理レベルを上げていくために有効だからである。こうしたエピソードからは安井氏の先取的・先進的な姿勢、管理能力の高さがうかがいしれよう。
なお、表3にあるように、2012(平成24)年に河北潟の干拓地でキャベツ栽培を始めたのは、地元のラーメン店からの要望があったからである。
本来、北陸でのブロッコリー栽培は不利な条件のもとにあるという。多雨である上に粘土質土壌で圃場に入れないことも多く、畝を立てて栽培しても2条植えにしかできない。太平洋側であれば3条植えで10アール当たり6000~7000本の植付けとなるが、北陸では4000本止まりだという。このような条件不利を克服しつつ規模拡大を図ってきたのである(写真7)。
以上のような安井ファームの現状と展開であるが、ここまで短期間に未経験であった野菜作を拡大してきたのは次の要因が大きいように思われる。
第1に挙げられるのは、安井社長の姿勢である。農地需給が堅調で、競合によって農地集積が困難であったとしても、ある程度の規模拡大は可能であり、加賀地域での多くの大規模経営は着実に規模拡大を果たしてきている。また農業生産での規模拡大に制約があり、減反の見通しが不明確であるもとで、米や麦、大豆といった基本作物の加工に取り組むといった先駆的経営がいくつも見られる。そうした中で、あえて生産上の不利な条件(気象・土壌条件)のもとで、地域では少数派の野菜作に特化して規模拡大するというのは、挑戦者としての安井氏の姿勢と、先駆者(「師匠」)に教えを乞うという謙虚な学びの姿勢によるところが大きい。北陸で野菜作経営が少ないのは、何も偶然ではなく、それなりの合理的な選択の結果としての現状なのであるから、普通に考えて野菜作で大規模経営を確立するのは困難が大きいに決まっている。安井氏と話をすると、なんだか何も困難もなく好きにやってきて現状となった、という印象を受けてしまうが、恐らくそうではない。以上のような経営者としての姿勢があったからであろう。
第2に指摘できるのは、次項でやや詳しく述べるが、経営管理に関する基本的スタンス、とくに組織構成と人材育成、権限移譲、そしてチャレンジを促し経営・事業への参加意識を高めるような手立てを講じていることであろう。経営体として利益を確保するうえでの目標管理(個々人・部門ごとの目標設定と達成度評価)とそれによる利益配分(社長査定を通じたボーナスへの反映)といった厳格な管理を行う一方で、社長が何でもかでも管理できるものではないという基本事実を踏まえ、組織体制(3部門構成と責任者配置)をきちんと構築し、権限を委譲して部門責任(および経営責任の一部)を負わせ、自分たちの給料をいかに上げるかという問題意識を持つような経営体制・役割分担を作り上げてきている。こうした組織体制を構築しただけでなく、円滑に機能させてきた社員との信頼関係が観察できる(写真8)。後述するが、体調を崩した社員への対応は、おそらく他の社員にも安心感を与え、会社への帰属意識を高めたように思うのである。
第3に、徹底した地域重視である。これは農地を集積する土地利用型大規模経営に多く見られる原理原則ではあるが、安井氏はこれをかなり徹底している。先に述べた依頼者優先の作業受託対応はその一端を示すものである。
このほか、施設・装備に関する経営判断の的確さ、経営戦略の的確さなど経営発展に必要な通常の要素は見て取れることは言うまでもない。以上のような安井氏の姿勢、社内雰囲気づくりがあっての急速な規模拡大だったと思われる。
ここではとくに人を育てるという側面についてふれてみたい。
そもそも社員採用にあたっては、応募してきた農業をしたいという人の中から、一定の試用期間を経たうえで、社員全員の合意を得て初めて採用することとしている。もちろん最終決定は社長が行うのだが、その前提として社員からの反対が一人もないということにしている。興味深い社員採用方式である。
また安井氏は偶然だというが、社員全員が非農家出身である。出身地も地元・市内、県内他市町村あるいは県外(たとえば北海道)とさまざまである。
さらに安井ファームでは一人一人の社員に自分で設定する課題を与え、取り組ませている。2018(平成30)年春入社した若手社員が干し芋をやってみたいということでかんしょを6品種計15アール作付し、全量干し芋に加工している。今後は焼き芋の可能性も見ているという。
加えて、安井ファームでは社員の自発的な取り組みを推奨し、前向きな評価を与えている。たとえば空いている育苗ハウスや2~3アールの小区画圃場で、栽培用の資材、肥料を自由に使わせ、勤務外の時間を使っていろいろな作物をつくるに任せている(写真9)。とくに野菜部責任者のS氏が熱心に取り組んでいるという。安井氏は、自分は皆に担がれる神輿でよいと思っていて、社員には失敗してもいいということでいろいろなチャレンジを認めている。そこから第3の柱が現れてくれればというのが安井氏の期待である。こうした「遊び心」が、新たな経営部門に結びついたという事実はまだないが、少なくとも社員の参加意識ややりがいを高めているように思われる。
その一つの具体的な表れは、2019年10月開店の直売所であろう。この直売所は自分たちの作った農産物を直接消費者に販売してみたいという社員の希望がもとで新設されたものである。実際の建設は、倉庫の一部を仕切ってほとんどすべてを手作りで開設したもので、費用は資材費のみのほぼ100万円ですんでいる。写真のように、天井の格子造作、展示棚、事務机兼会計台も含めて、床のコンクリート張りを除くすべてがお盆などの休みを充てて工作が好きな安井社長の手作りである(写真10~11)。
安井氏の心積もりでは、この直売所はアンテナショップ的な位置付けで、売上拡大や利益確保までは考えず、自社産農産物を基本に周辺農家の農産物や安井ファームが試行的に開設している市民農園からの農産物販売を構想している。この市民農園は本社・直売所の近くにあり、現在は無料で貸し出していて利用者は3人だけである。2020年春からは指導料をとって正式にスタートする計画で、そうなると収穫最盛期には自家消費などで消費しきれないと予想していて直売所でも販売してもらう考えである。市民農園と新設直売所との連携も考えているのである。もちろん今後拡大する干し芋など自社産農産物の加工品も直売所での販売を計画している。
こうした取り組みでは、SNS(ツイッター)を担当する社員によるPR効果も期待している(2019年10月2日現在フォロワー1万4739人)。直売や加工事業の拡大にはこのような情報拡散が効果的と考えている。ただし、ブロッコリーに関しては、実需を意識したB to B(Business to Business)で事業者同士の取引をベースとしており、たまねぎなど新たな柱となる品目は実需需要を取り込む考えである。
安井ファームは、北陸地域の革新的大規模経営としての近年の展開が高く評価され、令和最初となる第58回農林水産祭園芸部門で内閣総理大臣賞を受賞している。これは、以上に紹介した安井ファームと安井善成社長の取り組みが独創的で、かつお手本となるような経営成果を挙げていることによる。多くのことが安井ファームの展開から学ぶことができるが、筆者はとりわけ人材の育成と社員の創意工夫を促す雰囲気づくりを高く評価したい。野菜作では作業の機械化技術の研究開発が進められており、また野菜作に限らないが技術の見える化に焦点が当てられている(写真12)。ともに重要な革新であるが、とはいえ野菜作の場合は米・麦・大豆、あるいは野菜でもにんじん、たまねぎのような品目で進んでいるような作業の機械化はもう少し先のことであろう。そもそも単純なマニュアル化は難しい。このような条件下では、比較的多くの人手を今後も必要とするであろうし、また部門責任者の果たす役割は大きいであろう。であれば、優秀な人材を確保する努力、入社した人材を育てる社内教育、自発的な創意工夫に向けたモチベーション・雰囲気づくりは特に重要となる。おそらく経営成果に大きな差をもたらす要因であり、その重要性はますます高まるであろう。安井ファームの取り組みはこの点においてもはっきりした成果をあげているように思われる。
またぜひとも紹介しておきたいエピソードであるが、ある社員が病気を患い体力がなくて普通に農作業ができなくなったのであるが、療養中に会社への復帰を保証し、社員もまた快復後には社内で新たな役割を見つけ貢献している。このことは安井ファームが経営理念に掲げる「農業を通じて働く人の幸せとお客様の幸せを願い、実現します。」(ここで「働く人」とは社員を指している)という標語が、ただの羅列した言葉ではないことの一つの証明となっている。実際にはなかなかできないことである。
最後になりましたが、極めて多忙な中、筆者の調査を快く受け入れていただき、また貴重な情報と資料をご提供いただいた、有限会社安井ファーム 安井善成代表取締役社長に深くお礼申し上げます。