日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 准教授 木村 彰利
高知県にある産地集荷市場、地方卸売市場株式会社赤岡青果市場は野菜の産地段階における集出荷を担っており、個人出荷者などからなす、にらなどを委託集荷し、セリを通じて産地出荷業者に販売することで価格形成が行われてきた。
また、生産者支援としては、集荷にあたって卸売業者が50台もの自社トラックなどを用いて庭先集荷を行い、市場内にパッケージセンターを設置することで、生産者や出荷者の負担軽減や商品の高付加価値化につながっていた。このような生産者支援の取り組みにより、多くの個人出荷者の集荷を担い、地域農業の活性化にも結びついていた。
青果物の産地段階の集出荷は農協系統組織(以下、「系統組織」という)の果たす役割が大きく、例えば2016年の中央卸売市場の集荷における系統組織の金額割合(注1)は野菜で56.5%、果実で60.8%と過半数を占めている。しかし、実際には系統組織以外にも生産者個人や生産者任意組合、産地出荷業者、さらに農業法人など多様な担い手によって青果物の集出荷活動が行われている。このうち産地出荷業者についてみると野菜で11.8%、果実で7.2%を占めているが、これら業者の青果物の調達方法については生産者から直接的に購入する場合と、産地集荷市場から購入する場合とに大別されている。実際に産地出荷業者が産地集荷市場からどれだけ調達しているかは明らかでないが、青果物の集出荷において産地集荷市場の果たす役割は決して小さくないことは明らかであろう。
ここで園芸生産の課題に目を転じると、生産の担い手は主として個人の生産者ということができるが、これら生産者は高齢化の進行が顕著であり、なかでも労働集約的な生産および調製作業が必要となる品目については、将来的な生産継続に大きな課題を抱えているのが現状である。このような中で、行政機関や系統組織を中心として生産者支援のための各種取り組みが展開されてきたことは、良く知られているところである。しかし、同じく集出荷の担い手である一部の産地集荷市場においても、比較的早い段階から先進的な取り組みが行われてきたという経緯がある。そして、このような産地集荷市場の取り組みについて検討することは、系統組織などの集出荷の担い手が、生産者への支援策を検討していく上において重要な知見となると考えられる。
このため本稿においては、温暖な西南暖地に位置し、冬場を中心とする施設野菜の一大産地である高知県香南市(図1)に所在する産地集荷市場「地方卸売市場株式会社赤岡青果市場」(以下、同社の本社市場については「赤岡市場」という)を事例として、同市場の卸売業者による生産者支援のための取り組みについて検討するとともに、野菜生産者の生産および出荷実態、さらには産地出荷業者による分荷実態について検討する(写真1、2)。
注1:『平成29年度卸売市場データ集』による。
(1)高知県農業の概要
赤岡市場について検討する前に、高知県の農業生産について表1を基に確認すると以下のとおりとなる。まず、経営耕地面積からみると高知県全体では1万6537ヘクタールであり、その内訳は水田が75.7%、畑は13.1%、樹園地については11.2%となっている。これを全国と比較した場合、高知県の畑地割合は25.0ポイント低く、このため同県では水田の比重が高い傾向にある。
しかし、高知県の単一経営を行う経営体の経営内容をみれば、露地野菜を作る経営体は7.5%と全国よりも1.9ポイント高く、施設野菜に至っては全国より14.8ポイント高い17.9%を占めている。このため、農業産出額に占める金額割合についても野菜は61.0%、果実は10.4%というように全国と比較して高い割合となっており、同県の農業生産が施設野菜をはじめとする園芸生産に特化する傾向にあることがうかがえる。
次に、販売のあった農業経営体の農産物の販売先(注2)についてみたものが表2である。販売先のうち最も割合が高いものは農協の65.7%であるが、卸売市場も17.2%というように全国と比較して高い割合を占めている。そして、これら卸売市場には高知市中央卸売市場などの消費地市場だけでなく、赤岡市場に代表される産地集荷市場(注3)も含まれている。このことから高知県の農業経営体にとって、卸売市場は農産物の販売先として高い位置付けとなっていることがうかがえる。
注2:表2には米を含む農産物を対象に、業態毎に販売の有無について複数回答で聞いた結果であることから、その割合は必ずしも実際の販売金額に比例していない。
注3:高知県では園芸生産が盛んなこともあって、本稿で検討する赤岡市場以外にも複数の産地集荷市場が存在し、生産者の販売先として利用されている。
赤岡市場は高知県香南市赤岡町に所在しており、組織形態は株式会社となっているが、このような形態に至るまでには表3に示すように、多少の曲折が存在している。
旧赤岡町で青果物の市場取引が開始されたのは1923年とされており、これが赤岡市場の起源(注4)とされている。その後、1935年には当時の行政機関から市場として認可され、卸売市場法の制定を受けて1971年には地方卸売市場として認可されている。
卸売業者の組織形態としては、当初はおそらく個人経営であったものが、1935年に出資組合、1956年に有限会社、1974年に協同組合、そして1976年に現在の株式会社となるなど、幾度かの組織改編が行われている。また、所在地も1975年に現在地に移転するまでに複数回の移転が行われている。
後述の生産者支援との関係では、1971年に庭先集荷を開始、1992年に加工場(現パッケージセンター)を新設、2003年には営農相談室を設けて営農指導員による技術指導を開始している。
注4:青果物の産地集荷市場は多くの場合において自然発生的なものであり、赤岡市場についてもそのようにして生成した可能性が高い。
赤岡市場の2018年3月期における年間取扱額は、表4にあるように84億4800万円(注5)であり、全国的にも比較的規模の大きな産地集荷市場ということができる。従業員数でみれば、正社員59名、パート44名を擁していることから、地域に100名以上の雇用の場を提供している。事業内容は地域の生産者から委託集荷した青果物を産地出荷業者等に販売し、これらの業者の分荷機能を介して全国の消費地市場などに対する供給が行われている。それと同時に、赤岡市場は段ボールなどの資材販売や青果物のパッケージ加工などによる生産者支援を手がけており、同市場の特徴となっている。
赤岡市場の現在の市場施設については表5のとおりである。同表にあるように1万7120平方メートルの敷地面積に5267平方メートルの卸売場が設けられており、それ以外では事務所(631平方メートル)や駐車場(9655平方メートル)、パッケージセンター(後述)などが設置されている(写真3)。
上記以外にも市場の敷地内には、生産者に販売する段ボールなどを保管する資材倉庫や卸売場内に産地出荷業者の事務所などが設けられている。そして、これらの市場施設は現在地への移転以降、自己資金によって段階的に整備されてきたものである。
注5:同取扱額には山北青果市場及び野市青果市場を含むが、これら市場の取扱額は決して多くはなく、2市場を合わせても(株)赤岡青果市場の取扱額の10%程度に過ぎないとのことである。
赤岡市場は本社だけでなく、支店として山北青果市場(山北支店)と野市青果市場(野市支店)を運営している。これらの市場の概要は以下のとおりである。
山北青果市場は香南市香我美町に所在しており、周辺は「山北みかん」や「土佐文旦」の産地となっている。同市場については、1971年に柑橘類の集荷・販売を目的として設置されていることから、取引期間も柑橘類が収穫される10月から翌3月に限定されている。ただし、同市場の分荷先は地元の小売業者が多くなっているように、その市場としての性格は基本的に消費地市場である(写真4)。
野市青果市場は香南市野市町西野にあり、2001年に既存市場を合併することで赤岡市場の支店となっている。野市青果市場は旧来からの市街地内に立地していることから明らかなように、地元小売業者への分荷を目的とする消費地市場である(写真5)。
本章においては、赤岡市場の集分荷について確認したい。まず、集荷からみると表6に示すとおり高知県内の個人出荷者が主たる出荷者であり、出荷者数は登録で3500名である。同市場の出荷者は、後述の表7にもあるように香南市、南国市、安芸市、安芸郡を中心として市場からほぼ半径60キロメートル圏内に存在しているが、一部は県西部の宿毛市からも集荷されている品目もあることから、広く高知県全域が集荷圏となっている。個人出荷者からの集荷方法は基本的に委託(注6)であり、その過半は後述の庭先集荷により集荷されている。
市場への搬入時間については、にらなど市場でパッキングされるものは前日に入荷し、その後、加工作業を経たものが翌朝のセリまで冷蔵庫に保管されているが、それ以外の品目は取引当日の午前5時30分から7時30分にかけて市場に搬入されている。
赤岡市場の品目構成については図2のとおりである。全体の43.9%がなす(普通なす、米なす、長なす、小なす)であり、次いでにら26.4%となっているように、主要2品目だけで全体の7割を占めている。上記以外では、ししとうがらし、オクラ、しょうがなどと続いている。これら主要品目の選別規格については市場が定めており、荷姿についても市場指定の出荷ケースが用いられている。ただし、規格に関しては共同計算を行う関係から厳しい選別が求められる農協と比較して、産地集荷市場の場合はセリで個別に評価されることから比較的柔軟であり、この点も出荷者からみた市場の魅力となっている。
青果物の集荷時期と生産地についてまとめたものが表7である。主要2品目のうち、にらについては1月から12月というように周年的な集荷が行われているが、普通のなすと長なすについては7月から9月の間は集荷が行われていないこともあって、季節により市場の取扱量が大きく変動する要因となっている。
注6:赤岡市場が小売業者に販売する商品については、品揃えのため高知市中央卸売市場から買い付けられているものもあるが、金額的にはわずかである。
取引は午前7時30分から1本の移動ゼリによって行われている(写真6、7)。取引は品目毎に出荷者および規格に分けて競売にかけられることもあって、1月から3月など入荷量が多く日量2000ケースもの入荷品を扱わなければならない時期には、全量を販売するまでに4時間程度が必要となっている。出荷者への支払いに関しては、取引翌日には支払いが可能で、全体の約80%が現金払いとなっている。
赤岡市場の登録売買参加者は161名となっているが、実際の購入者はほとんどが産地出荷業者(注7)であり、それ以外の専門小売店等はわずかである。現在、同市場で青果物を仕入れる産地出荷業者は14社であり、これら業者には比較的遠隔となる土佐市内の業者が3社含まれているが、それ以外の11社はいずれも市場周辺に事務所を設けている。
産地出荷業者はセリによって購入した青果物を、取引終了直後から同日の午後にかけて市場から搬出しており、その後、トラック等への積み替えを経て県外市場等に向けて転送されている(写真8)。
注7:表7では、(株)赤岡青果市場の販売先として売買参加者も約10%を占めているが、同表は山北青果市場及び野市青果市場を含んでいることから、これを赤岡市場に限定するならば100%近くが産地出荷業者への販売となっている。
赤岡市場に特徴的なのは、集荷において生産者個人による市場搬入よりも卸売業者による庭先集荷の割合が高く、数量的には過半を超えている点が挙げられる。
このような取り組みが行われたのは1971年にさかのぼるが、当初は人手が足りず市場までの輸送を行えない零細な出荷者に対する支援策として行われていた。その後、比較的規模の大きな出荷者からの要望が拡大したことも手伝って、1975年の新市場への移転を契機に本格的な庭先集荷が行われるようになり、現在に至っている(図3)。
庭先集荷は取引当日の未明に、卸売業者の男性職員がトラック30台とバン20台を駆使し、高知県内約100ヵ所の集荷所を巡回することによって行われている。この場合、荷は出荷者が取引前日の夜、自宅最寄りの集荷所まで持ち込んでいる。集荷所に集められた荷はトラックなどで輸送され、7時30分開始の取引時間に間に合うよう市場に搬入されている。また、搬入後は卸売業者の職員によって荷下ろしが行われ、セリが行えるよう出荷者、品目および規格別に分けて卸売場に並べられている(写真9)。
庭先集荷の料金は品目・集荷地域を問わず一律にキログラム当たり1円となっており、出荷者の販売代金から差し引くことによって精算されている。ただし、同単価は集荷に要する卸売業者の人件費や車両・燃料代と比較した場合、実費には程遠い水準とのことであった。
以上、卸売業者による庭先集荷についてみたが、このような取り組みによって輸送に要する労働力のない小規模農家でも出荷が継続できただけでなく、比較的規模の大きな出荷者は出荷に要する作業負担を軽減できることから、より生産に集中することが可能となっている。
庭先集荷と並ぶ赤岡市場による生産者支援として、パッケージセンターの設立・運営によるパッキング作業が挙げられる。同市場にパッケージセンターが設立されたのは1992年のことであり、当初はにらとピーマンの包装が行われていた。その後、対象品目をみょうがにも拡大し、現在に至っている。なお、現在のパッケージセンターのライン数については表8のとおりである。
このように卸売業者がパッケージセンターを設置する目的としては、出荷者の調製作業を軽減することによって、高齢化した生産者の生産継続や大規模農家がより生産に専心できる環境を作る点が挙げられ、同時に商品に付加価値が加わることで市場相場も上昇し、出荷者の手取り向上につながる点が挙げられる。ちなみに、出荷者から徴収されるにらのパッキング作業の単価はキログラム当たり100円であるが、この水準は卸売業者の資材費や人件費にほぼ等しい額であるとしており、この点からもパッキングは出荷者へのサービス的な性格のものということができる(写真10、11)。
さらに赤岡市場に特徴的な取り組みとしては、卸売業者が農協営農指導員のOBを雇用し、農家に対する技術指導を行っている点が挙げられる。現在、営農指導員は野菜1名、果実1名の体制であり、同指導員によって各種技術講習会や研修会の開催、集落単位で営農・市場情報を提供する出前研修、さらには個別生産者に対する技術指導や営農指導が行われている。また、安全管理については営農指導員が農薬の適正使用に関する指導や農産物検査を行うことによって、安全性に留意された農業生産が進められている。
本章においては、赤岡市場の出荷者の経営概要について検討したい。
本吉茂氏は南国市の高知龍馬空港近くで、主としてにらを生産している。同氏の生産規模はにらが33アールであり、それ以外に自家消費用の水稲を生産している(写真12)。にらはビニールハウスで栽培されており、11月から5月の間はビニールが張られて施設栽培となるが、6月から10月はビニールを取って露地栽培とすることで周年出荷を行っている(写真13)。同氏は収穫したにらの全量を赤岡市場に出荷しているが、このような出荷対応は25年前ににら生産を開始した時から継続されている。
圃場で生産されたにらは収穫の後、生産者の段階で選別し、100グラムの束にするまでの作業が行われている(写真14)。同氏によれば、にらは収穫後の調製作業に最も労力が必要になる(注8)としており、実際、圃場での作業は同氏1名で行っているが、自宅作業場で行う調製には家族4名に加えて2名のパートを雇用することで対応している。調整後のにらは、赤岡市場のパッケージセンターに運ばれ袋詰め(パッキング)が行われる。同センターが設置されたことによって、出荷者には労力の軽減がもたらされている。
また、同氏は価格的にも赤岡市場を評価している。具体的には、ある出荷者がA級品のみを出荷できるのであれば農協の方が価格的に有利となるが、実際には一定割合のB級品が発生してしまう。そして、このようなB級品は農協では低価格での取引となってしまうが、赤岡市場ならばB級品でも比較的相場が維持されるので、出荷品全体を平均するならば市場の方が相対的に有利な単価が形成されるとのことであった。
注8:本吉氏によれば、にらは生産から出荷までの間に10aあたり2700時間の作業時間が必要となるが、このうち出荷・調製作業だけで2400時間を占めているとのことであった。
杉本幸平氏は香南市野市町で野菜を生産し、赤岡市場に出荷している。同氏の野菜の作付面積は25アールであり、その内訳はなすが20アール、露地にらが5アールである。また、それ以外に主として自家消費用の水稲を生産している。なすの出荷は10月中旬から翌年の6月末まで継続されているが、露地にらの出荷は夏期が中心となっている。
杉本氏は父親の代から赤岡市場に出荷しており、今後とも継続して出荷する意向であるとしている。同氏によれば、B級品も含めたなすの平均単価についてみるならば、赤岡市場は農協と比較して1割程度高くなっているとのことであった。
最後に産地集荷市場で青果物を買い付け、県外市場等に向けた搬出を行う産地出荷業者についてみておきたい。
A社は赤岡市場で青果物を購入する14社の産地出荷業者の一つであるが、その年間取扱額は約20億円であることから、14社のなかでは比較的規模の大きな業者となっている。同社は遅くとも1976年には県外への移出を行っており、その後、現在に至るまで移出業を継続している。
同社の仕入先は赤岡市場が90%以上を占めており、同市場だけでは不足するものを高知市中央卸売市場で買い付けている。一方、販売に関しては常時30社、スポット取引を含めると合計50社の消費地市場の卸売業者に販売していることから、園芸産地と消費地とをつなぐ役割を果たしている。具体的な搬出先地域としては、北海道と関東がそれぞれ約30%、東北と関西が約20%となっている。また、季節との関係では北海道と東北が冬場中心であるのに対し、関東と関西は年間を通じて搬出されていることから、A社は青果物の地域間の需給不均衡を調節する役割も果たしている。
A社からみた市場の魅力としては、第1にセリによる価格形成を挙げており、常に相場が変動する中で活気が出るとともに、価格形成に参加することで有利な仕入が実現できる点を挙げている。また、産地に市場があることで産地出荷業者として鮮度の高い青果物を調達できる点も指摘している。さらには卸売業者によるパッキングが挙げられ、このような取り組みにより仕入れた青果物の販売が容易になるとともに、販売単価も高く維持される点が望ましいと評価している。
本稿においては高知県香南市にある赤岡市場を事例として、産地集荷市場の集分荷実態と卸売業者による生産者支援を通じた地域農業の活性化についてみてきた。
その結果、赤岡市場は農協などと同じく産地段階の集出荷を担っており、出荷者からの委託を受けて青果物を集荷し、産地出荷業者がセリに参加することで価格形成が行われていた。分荷に関しては、産地出荷業者の分荷機能を通じて県外市場に向けた搬出が行われ、都市の消費需要に応えるとともに、青果物の地域間における需給不均衡を調節する役割も担っていた。
赤岡市場の特徴的なこととしては、産地集荷市場として出荷者支援のために積極的な取り組みが展開されている点が挙げられる。第1として、卸売業者が出荷者の利便性向上のため積極的に庭先集荷を実施することによって、小規模生産者の出荷継続や比較的規模の大きな出荷者の労力負担の軽減が実現されていた。第2には、卸売業者が市場内にパッケージセンターを設置することで、労働集約的なにらなどの袋詰め作業などを担うことを通じて、出荷者の調製作業に要する労力の軽減がもたらされていた。また、それと同時に商品の高付加価値化による出荷者の手取り向上、地域住民の雇用を通じた地域社会に対する就労の場の提供にもつながっていた。そして、このような取り組みは、地域農業の活性化にもつながるものといえるだろう。
以上が本稿の検討結果である。わが国では、青果物の産地形成や集出荷体制の構築においては農協が主導的な役割を果たしてきたという経緯があり、現在、野菜の「主産地」と呼ばれるものの多くが農協などの系統の主導により形成されてきたことは言うまでもないことである。しかし、今回、検討を行った赤岡市場の取り組みは、生産者が高齢化していく中で園芸産地を維持するとともに、産地段階における集出荷のさらなる効率化に取り組んでいかなければならない農協など出荷団体にとっても、検討に値すべき事例ということができよう。
謝辞:本稿の執筆に係る調査に当たっては、株式会社赤岡青果市場の代表取締役社長 堤俊治様、同社本部業務役営農相談員 久武康男様、また、野菜生産者の本吉茂様および杉本幸平様、さらにA社の代表取締役社長には業務多忙の折にも関わらず、ご対応頂きありがとうございました。ここに、謹んで御礼申し上げます。