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調査・報告(野菜情報 2018年5月号)


第30回国産野菜の契約取引マッチング・フェアの概要

野菜業務部直接契約課

【要約】

 平成30年3月15日、第30回となる国産野菜の契約取引マッチング・フェア(当機構主催)が、東京都千代田区の東京国際フォーラムにおいて、全国各地から多彩な115の事業者・団体が出展して開催された。

1 はじめに

わが国の野菜の需要に占める加工・業務用需要の割合は、昭和50年ごろは4割程度であったが、食の外部化の進展などにより、平成27年には6割近くまでに増加している。

一方、国産野菜の供給は、過半が家計消費用に仕向けられており、今後とも増加が見込まれる加工・業務用需要に対する国産野菜の安定的な供給体制を確立することが重要となっている。

このため、当機構では、平成18年度から国産野菜の契約取引マッチング・フェア(加工・業務用野菜産地と実需者との交流会)を開催しており、本年3月15日、第30回目のマッチング・フェアを東京国際フォーラム(東京都千代田区)において開催したので、その概要を紹介する。

オープニングセレモニーでは、主催者を代表して農畜産業振興機構 宮坂理事長からのあいさつと、来賓としてお越しいただいた農林水産省 鈴木生産振興審議官から祝辞を頂戴した後、鈴木生産振興審議官、さわのはな倶楽部合同会社 遠藤代表、農業生産法人コウヤマ 渡邉部長、東近江プライマリーCO. 協議会 塚本氏、宮坂理事長によるテープカットが行われた(写真1)。

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2 全国から115の事業者・団体が出展~出展ブース~

今回は、北海道から沖縄まで全国から多彩な115の事業者・団体(生産者団体15、生産者39、植物工場11、流通業者22、加工業者11、種苗会社14、その他3)が出展し、卸・仲卸業者や食品製造業者など多数の来場者(約1,100名)を迎えて、出展ブースや商談スペースでは、熱心な商談や交流が行われた(写真2)。 

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以下、いくつかの出展者の概要を紹介する。

(1) 生産者

株式会社ミスズライフ(長野県)は、「ご馳走する心で生産する、食の提案企業」を理念として信州の千曲川流域を拠点にブナシメジやベビーリーフを生産する農業生産法人である。

平成3年にブナシメジの栽培を開始し、試行錯誤を繰り返して開発した新しいキノコ培地とオリジナル菌株により、かつてない味わいと食感を持つブナシメジを生み出した。今回出展している「カットぶなしめじ」は、レストランチェーンなどへの新たな提案として、いしづきの部分をあらかじめ取り除き袋詰めしたものであり、調理が省力化できると、業務用・家庭用に高い評価を受けているとのことである(写真)。

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(2) 植物工場

日本リノ・アグリ株式会社 おひさま耕房(千葉県)は、市原市の未利用農地や山林を活用し、アグリネット、パットアンドファン、多段式NFT水耕栽培、二酸化炭素発生装置、人工光育苗室など最新の技術を導入した太陽光利用型植物工場である。

平成28年の竣工・稼働開始から2年が経過し、グリーンリーフ、パクチーなど現在20品目以上の葉物野菜やハーブ生産し、通年安定供給を行っている。

今回の出展では、レタスやミニトマトなどを出展したが、ミニトマトは来場者の関心が高かったとのこと。出展者は、今後は大規模植物工場が手掛けないような品種についても生産を行い、販路を開拓していきたいと話していた(写真)。

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(3) 流通業者

ハートファーム株式会社(兵庫県)は、全国の青果物全般約500種類を扱っている。柔軟かつ迅速な受発注、実需者の要望に応じた加工やロットオーダーへの対応、情報の発信など体制を整備し、実需者の要望に応えている。

その中でも特に沖縄産商材の取り組みに力を入れており、新たな取り組みとして生産者数の少ないものや沖縄の大自然の中で自生している植物をパックした、彩り鮮やかな沖縄促成・琉球促成という新商品づくりをしている。今回の出展では、各地の野菜のうち、特に沖縄産の商材が多く展示されていた。

今後も、沖縄の気候を利用した本州の補完産地として、また外国産に代わるトロピカルな商材としての潜在力を生かした紹介や提供を行ってくとのことである(写真)。

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(4) 加工業者

明陽食品工業有限会社(福島県)は、さまざまな地域食材を生かしたオンリーワンの加工品を製造している加工業者である。6次産業化を検討する産地などで、他の加工業者には依頼することが難しい、少量の持ち込み原料であっても、「小ロットでのOEM加工承ります」のPRのとおり、産地の要望に応え、素材の持ち味を大切にした加工品を開発している。今回は、さまざまな産地の原料から独自に開発した、ドレッシング、ジャム、ゼリー、水ようかんなどが出展され、多くの来場者が説明に耳を傾け、試作品の依頼をする来場者の姿も見られた。出展者は、今後も産地などの要望に応じ、大手の業者などでは対応が難しい原材料を利用した、産地オリジナル加工品の開発を行っていきたいと話していた(写真)。

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3 出展者による自社プレゼンテーション

会場内の特設ステージにおいて、出展者の中から応募のあった10社による、自社の商品や事業内容などについてプレゼンテーションが行われた表、写真7)

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4 農林水産省、機構による事業説明

農林水産省から6次産業化法の認定を受けた野菜のリレー出荷に取り組む場合の野菜価格安定制度の特例措置をはじめとした6次産業化関連支援策についての説明を、機構の担当者から契約野菜安定供給事業および契約野菜収入確保モデル事業についての説明が行われ、契約取引に関心のある来場者が熱心に説明を聞いていた(写真8、9)。

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5 おわりに

加工・業務用野菜に対する産地側、実需側双方のニーズの高まりを受けて、本マッチング・フェアは毎回好評であり、今後も、双方の商談、交流の場を提供していくこととしている。

また、当機構では、野菜の契約取引における生産者のリスクを軽減する経営安定対策事業や、収入確保のためのセーフティーネット対策としてのモデル事業に加え、平成26年度からは、加工・業務用野菜の生産に取り組む産地の基盤強化を支援する補助事業も実施するなど、加工・業務用野菜の取引と生産の拡大に対してさまざまな支援を行っている。

機構では、こうした取り組みを通じて、今後も、加工・業務用野菜需要に対応する国産野菜の安定的な供給体制の確立に貢献することとしている。 

最後に、本マッチング・フェアを開催するに当たり、出展者や来場者の募集、周知などに多大なご協力を頂いた関係者の皆様方に、この場を借りて厚く御礼を申し上げる。


●出展者一覧(順不同、敬称略)

【生産者団体】

株式会社いばらき農流研、高知県園芸農業協同組合連合会、JA倉敷かさや及び有限会社 エーアンドエス、全国農業協同組合連合会山形県本部全国農業協同組合連合会青森県本部、日本ブランド農業事業協同組合、バイオマスもみがら研究会、東近江プライマリーCo.協議会、百姓百品株式会社、Vege Plomo柏センコー運輸株式会社)、有限会社丸富青果、農事組合法人水鳥、株式会社山口farm、株式会社リーキ、リッチフィールド株式会社

【生産者】

アイ・エス・フーズ株式会社、株式会社あぐり翔之屋、朝倉物産株式会社、株式会社オキス、株式会社尾野農園、鹿児島高槻電器工業株式会社、株式会社京都知七、株式会社耕野、有限会社コウヤマ芋屋長兵衛、有限会社耕佑、株式会社さかうえ、坂上農園、有限会社佐野ファーム、さわのはな倶楽部合同会社、有限会社渋田産業、株式会社スギヨファーム、有限会社鈴木農園、株式会社鈴生、株式会社旦千花、株式会社Tedy、株式会社テレファーム、有限会社トップリバー、株式会社トマトパーク、農事組合法人ドリームマッシュ、日通ファーム株式会社、農事組合法人ねじめ農園、有限会社橋場農園、株式会社ハラキン、卑弥呼の杜株式会社、農業生産法人株式会社ファームかずと、ふしちゃんファーム、富士トマ、有限会社舟形マッシュルーム、株式会社北海道サラダパプリカ、有限会社丸浅苑、株式会社ミスズライフ、南アルプス丸吉菜園(小林建設株式会社)、株式会社みやぎ農園、矢野園芸

【流通業者】

株式会社アグリジョイン、株式会社あらき、飯山中央市場株式会社、JAおちいまばり さいさいきて屋、株式会社オリザ、オリックス・フードサプライ株式会社、クラカグループ倉敷青果荷受組合、株式会社健食、サンクチュアリ株式会社、有限会社自然館、地養菜協会、株式会社創風土、株式会社トレード 京野菜ブランド【洛市】地域野菜ブランド【地選】、ナラサキ産業株式会社、株式会社ニチノウ、ハートファーム株式会社、株式会社ブランド北陸、株式会社ブレスト、株式会社北彩青果、有限会社マスターフード、野菜株式会社、株式会社ワールド物産/農事組合法人つくば銀杏生産組合

【加工業者】

青紫蘇農場株式会社、有限会社インターナショナル プロダクト、愛媛うまいもの販売株式会社、株式会社海星、ジャパン・イマジネーション・フーズ株式会社、株式会社せき、株式会社北海大和、株式会社mamato、明陽食品工業有限会社、株式会社LIKE TODO JAPAN製薬、株式会社わらく堂

【種苗会社】

カネコ種苗株式会社、株式会社サカタのタネ、住化農業資材株式会社、タキイ種苗株式会社、株式会社トーホク、トキタ種苗株式会社、ナント種苗株式会社、パイオニアエコサイエンス株式会社、株式会社増田採種場、丸種株式会社、みかど協和株式会社、株式会社武蔵野種苗園、横浜植木株式会社、株式会社渡辺採種場

【植物工場】

有限会社アーバンファーム、東海運株式会社AZUMAFARM 三重、エスジーグリーンハウス株式会社、株式会社木田屋商店 小浜植物工場グリーンランド、小林クリエイト株式会社、農事組合法人サンエスファーム、JFEライフ株式会社野菜事業部、株式会社デ・リーフデ北上、日本リノ・アグリ株式会社 おひさま耕房、株式会社ひむか野菜光房、株式会社野菜工房

【その他】

愛知豊橋次世代施設園芸推進コンソーシアム 愛知県拠点、株式会社つくば分析センター、株式会社メディカル青果物研究所(デリカフーズ・グループ)

※出展者の詳細情報については、機構HP上の「交流会コーナー/野菜契約取引マッチング・ゲート」をご参照ください。

URL:http://www.alic.go.jp/y-keiyaku/index.html Alic交流会で検索



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