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調査・報告(野菜情報 2016年6月号)


カット野菜・サラダの消費動向調査の概要

野菜需給部

要約

カット野菜・サラダは、9割がスーパーマーケット・生協などで購入され、生鮮野菜の価格にかかわらず利便性・経済性を重視して購入する者は割を超える。必要量だけ使え、調理時間も短縮でき、好きな商品を選べることなどが高く評価され購入されている。

1 はじめに

野菜の加工・業務用需要の割合が高まりつつある中で、近年需要が増加しているといわれているカット野菜・サラダ(生食用簡便野菜、調理用簡便野菜、味付け・調理されたサラダの3種類に分類)(注1)の消費者の購買動向を把握するため、平成28年3月に実施したカット野菜・サラダの消費動向調査の結果概要を報告する。

注1:生食用簡便野菜:キャベツの千切りパック、数種類の野菜がカットされたミックス野菜などサラダの具材や揚げ物に添えるなど主に生食で食べるもの。
調理用簡便野菜:野菜炒めや煮物用、きんぴらごぼう用、鍋物用などの調理キット野菜。
味付け・調理されたサラダ:ドレッシングなどで味付けされたサラダおよびポテトサラダなど調理されたサラダ。

2 調査の方法

調査は、web調査により、カット野菜・サラダを購入している20~79歳の男女(計1500サンプル)を抽出し、表のとおり年代ごとに①独身者・単身者、②共働き世帯、③専業主婦の3つに属性区分して実施した。

3 調査結果の概要

(1)購入場所、種類

カット野菜・サラダを購入する場所は、「スーパーマーケット・生協等」が95.5と最も高く、次いで「コンビニエンスストア」が30.1となっている(図1)。

属性区分別にみると「スーパーマーケット・生協等」は、独身か否か、男女を問わず全ての区分において購入する割合が9割を超えている。「コンビニエンスストア」は、男女とも独身者・単身者が購入する割合が約4割と比較的高くなっている。

購入されているカット野菜・サラダの種類をみると、「スーパーマーケット・生協等」は、生食用簡便野菜が72.4%と最も高く、次いで味付け・調理されたサラダが54.6、調理用簡便野菜が43.9となっている。「コンビニエンスストア」は、生食用簡便野菜が65.8、味付け・調理されたサラダが62.1といずれも60を超えており、調理用簡便野菜は、28.0%と低くなっている。「百貨店・デパート」および「弁当屋・そうざい(注2)」は、味付け・調理されたサラダが約8割と突出して高くなっている。「生協等の宅配」および「ネットスーパー」は、サンプル数が少ないことに留意が必要だが、生食用簡便野菜が約6割、調理用簡便野菜が約5割となっている(図2)。

注2:本調査においては当該名称を用いているので、当報告においてもこの名称を用いることとする。

(2)購入理由

カット野菜・サラダの購入理由をみると、「生鮮野菜の価格にかかわらず、利便性・経済性を考えて購入する」が43.6と最も高く、次いで「通常は生鮮野菜を購入するが、下ごしらえする時間がない場合に購入する」が37.4となっており、「生鮮野菜の価格が高いときに代替として購入する」は16.9と低くなっている(図3)。

属性区分別にみると、「生鮮野菜の価格にかかわらず、利便性・経済性を考えて購入する」割合は、独身者・単身者(男性)において、64.2と特に高く、独身者・単身者(女性)および共働き世帯(男性)も約5割を占めている。「通常は生鮮野菜を購入するが、下ごしらえする時間がない場合に購入する」割合は、共働き世帯(女性)および専業主婦において高くなっている。

(3)購入頻度

購入頻度は、生食用簡便野菜の場合、「週に1~2回程度」が26.8%と最も高く、これに「ほとんど毎日」と「週に3~4回程度」を合わせた「毎週購入する」は、約4割を占めている(図4)。調理用簡便野菜の場合、「週に1~2回程度」が17.5で最も高く、「毎週購入する」は約割となっている(図)。味付け・調理されたサラダの場合、「か月に2~3回程度」が24.2で最も高く、次いで「週に1~2回程度」が20.2で、「毎週購入する」は約2割となっている(図6)。

属性区分別にみると、「毎週購入する」は、いずれの種類においても独身者・単身者(男性)が最も高く、特に生食用簡便野菜では、53.5%と高くなっている。一方、専業主婦の購入頻度は、低くなっている。

(4)購入価格

カット野菜・サラダの購入価格は、生食用簡便野菜および調理用簡便野菜では、200円未満(100円未満+100200円未満の計)がそれぞれ約8割、約7割を占め、比較的低単価の商品が購入されている。一方、味付け・調理されたサラダでは、200円以上(200300円未満300400円未満400500円未満500円以上の計)が約5割を占め、比較的高単価の商品が購入されている(図7)。

(5)利用メリット

カット野菜・サラダを利用することによる利便性やメリットを具体的にどのように感じているかは、生食用簡便野菜および調理用簡便野菜では、「家庭での調理時間を節約できるから」が約6割と最も高く、次いで「生鮮品を使用して調理すると1回で使い切れないから」が約4割、「好きなものを選んで購入できるから」が約2割となっている(図8、図9)。味付け・調理されたサラダでは、「家庭での調理時間を節約できるから」が約6割と最も高く、次いで「好きなものを選んで購入できるから」が約5割、「生鮮品を使用して調理すると1回で使い切れないから」は、約2割となっている(図10)。

属性区分別にみると、「家庭での調理時間を節約できるから」は、生食用簡便野菜、調理用簡便野菜、味付け・調理されたサラダいずれも共働き世帯(女性)および専業主婦において約7割を占め特に高くなっている。「生鮮品を使用して調理すると1回で使い切れないから」は、いずれの種類においても男女を問わず独身者・単身者の割合が高くなっている。

(6)購入回数の増減

購入回数を1年前と比較するといずれの種類も「変わらない」が約7割を占め、次いで「購入回数が増えた」が約2割、「購入回数が減った」は約1割程度となっている(図11、図12、図13)。

属性区分別にみると、「購入回数が増えた」のは、いずれの種類においても独身者・単身者(女性)、共働き世帯(女性)の割合が比較的高くなっている。

(7)カット野菜・サラダを購入する際の意識

ア 生鮮野菜が高い時の代替品

生鮮野菜が高い時の代替品は、男女ともに「カット野菜」が最も高い。次いで女性では、「冷凍野菜」が高くなっているが、男性では、「特に代替商品は買わない」が高くなっている(図14)。

イ 味のイメージ

家庭で調理する場合と比較した味のイメージは、生食用簡便野菜および調理用簡便野菜では、「家庭と変わらない」が5割以上となっている(図15、図16)。一方、味付け・調理されたサラダでは、家庭で作る場合より「おいしい」が約割を占めている(図17)。

属性区分別にみると、生食用簡便野菜、調理用簡便野菜用ともに、「家庭と変わらない」が過半数を占め、特に独身者・単身者(男性)においては、約6割を占めている。味付け・調理されたサラダでは、どの属性区分でも「おいしい」が5割以上を占め、特に独身者・単身者(女性)の割合が高くなっている。

ウ 今後購入する際に重視する点

今後購入する際に重視する点は、「購入しやすい価格」と「国産を使用した、安全・安心の品質」が割を占めており、次いで「鮮度や日持ち」が割、「野菜の種類の多さ」が割となっている(図18)。

属性区分別にみると、「購入しやすい価格」は、男女の独身者・単身者の割合が高く、「国産を使用した、安全・安心の品質」と「鮮度や日持ち」は、共働き世帯(女性)および専業主婦が高くなっている。

4 さいごに

生食用簡便野菜は、スーパーマーケット・生協などで主に購入され、家庭での調理時間の節約など簡便性が重視されている。一方、味付け・調理されたサラダは、他の種類より購入価格は高いものの、家庭で作る場合よりもおいしく感じている人が多く、百貨店・デパート、弁当屋・惣菜店などで購入されているなど、種類に応じて利便性に加えて味も重視しつつ購買方法を選んでいることがうかがえる。

また、カット野菜・サラダを購入する上で、購入しやすい価格、国産野菜を使用した安全・安心の品質、鮮度、種類の多さなどが重視されており、今後も単身世帯や高齢者世帯の増加、核家族化の進展、消費者の簡便化志向の高まりなどによりカット野菜・サラダの需要は引き続き増加していくと考えられる。

平成27年度カット野菜・サラダの消費動向調査の詳細な調査結果については、機構のホームページに掲載されているので、参考にしていただきたい(http://www.alic.go.jp/content/000124081.pdf)。


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