野菜需給部
【要約】
冷凍野菜等は、9割がスーパーマーケット・生協等で購入され、1週間に1回以上購入する者は2割を超える。長期保存が可能で必要量だけ使え、調理時間も短縮できるといった利便性が高く評価され購入されているほか、生鮮野菜が高い時の代替品としても利用されている。原産国表示をチェックする者が9割近くを占めるとともに、安全性を意識する者も多い。
当機構は、野菜の加工・業務用需要の割合が高まりつつある中で、近年需要が増加している冷凍野菜および原料に野菜を使用した冷凍調理食品(以下「冷凍野菜等」という)の消費者の購買動向を把握するため、平成27年10月に実施した冷凍野菜等の消費動向調査の結果概要を報告する。
調査は、web調査により、冷凍野菜等を購入している20~70歳の男女(計1500サンプル)を抽出し、表のとおり年代ごとに①独身者・単身者、②共働き世帯、③専業主婦の3つに区分して実施した。
冷凍野菜等を1年間で最も購入する回数が多い場所は、「スーパーマーケット・生協等」が92.6%で最も多く、次いで「コンビニエンスストア」の2.6%となっている(図1)。
購入時に重視する点は、「価格」の割合が最も高く(約8割)、 次いで「味」、 「国産、外国産の別」となっている(図2)。属性区分でみると、「価格」は、独身者・単身者で特に高く、「国産、外国産の別」では、専業主婦の割合が高くなっている。
購入頻度は、冷凍野菜では「1か月に2~3回程度」が24.7%で最も高く、次いで「1か月に1回程度」が23.3%となっている。冷凍調理食品では、「1か月に2~3回程度」が30.2%と最も高く、次いで「週1~2回程度」が27.4%となっている(図3)。
週に1回以上購入する(ほとんど毎日+週3~4回程度+週1~2回程度の計)割合は、冷凍野菜では25.5%となっており、共働き世帯の男性が最も高くなっている。冷凍調理食品では、34.9%となっており、独身・単身世帯の男性と共働き世帯の男性が高くなっている。
冷凍野菜の利用用途は、「主に調理素材として利用」が51.8%と過半を占めている(図4)。冷凍調理食品では、「主におかず用、お弁当用」が55.8%と過半を占めている(図5)。
年代・属性区分でみると、冷凍野菜の場合、「主に調理素材として利用」との回答は、独身・単身者、共働き世帯ともに30代女性の割合が最も高く、専業主婦では、60歳以上が最も高くなっている。冷凍調理食品の場合、女性を中心に「主におかず用、お弁当用」の割合が高く、中でも共働き世帯の女性は、60%を超える年代が多くなっている。
家庭の食事用に利用されている冷凍野菜の上位5品目は、ミックスベジタブル24.1%、冷凍えだまめ20.9%、冷凍ほうれんそう18.9%、冷凍スイートコーン17.4%、冷凍ブロッコリー13.5%の順になっている(図6)。冷凍調理食品では、ギョーザ37.9%、コロッケ22.4%、シュウマイ16.9%、ハンバーグ16.5%、お好み焼き10.1%の順になっている(図7)。
弁当用に利用されている冷凍野菜の上位5品目は、冷凍えだまめ9.7%、ミックスベジタブル8.1%、冷凍ブロッコリー7.5%、冷凍ほうれんそう6.3%、冷凍スイートコーン5.4%の順になっている(図8)。調理冷凍食品では、コロッケ24.6%、ハンバーグ18.5%、シュウマイ16.0%、メンチカツ11.7%、ギョーザ7.9%の順になっている(図9)。
なお、冷凍野菜および冷凍調理食品ともに、「弁当用としては利用・調理しない」割合が高くなっている。
冷凍野菜、冷凍調理食品ともに、「長期保存ができる」、「必要な分だけ調理できる」、「調理時間の短縮」が上位を占めており、利便性の高さが評価されて購入されている(図10)。
また、冷凍野菜で2番目に高い「必要な分だけ調理できるから」は、共働き世帯の女性、専業主婦が7割を超えている。冷凍調理食品で2番目に高い「調理時間を節約できるから」は、女性の割合が6割を超えている。
生鮮野菜の価格が高いときの代替品としては、「冷凍野菜」が52.4%で女性を中心に最も高く、続いて「カット野菜」が38.7%となっている(図11)。
原産国表示のチェックの有無については、「いつもチェックする」が47.7%で最も高く、「時々チェックする」が38.4%、両方を合わせると約90%と、原産国をチェックする割合は高くなっている(図12)。
属性区分でみると、「いつもチェックする」は、共働き世帯の60-70歳男性が60.0%と最も割合が高く、また、40歳以上の女性でも高い傾向がみられる。
冷凍野菜等の安全性のイメージについては、「特に気にしていない」が44.3%と最も高くなっている。一方、「不安を感じることがある」も32.1%とやや高くなっている(図13)。
なお、属性区分でみると、「安全だと感じている」割合が、共働き世帯の20代男性で48.0%と高くなっている。一方、「不安を感じることがある」は、共働き世帯50代女性で48.0%を占め、また、専業主婦の30代以降の割合も高くなっている。
今後の利用回数について、冷凍野菜は、「変わらない」が77.4%と最も高くなっている(図14)。属性区分でみると、「利用回数を増やしたい」割合が、共働き世帯の20代・30代男性で40%を超え、独身者・単身者の50代女性、共働き世帯の20代女性で3割以上となっている。
冷凍調理食品は、冷凍野菜と同様に「変わらない」が78.1%と最も高くなっている(図15)。属性区分でみると、独身者・単身者の30代男性と独身者・単身者の50代女性、共働き世帯の20代・30代男性、共働き世帯の20代女性は、3割以上が、「利用回数を増やしたい」としている。ただし、共働き世帯の20代女性については、「利用回数を減らしたい」と回答した者も20%と高くなっている。
冷凍野菜等の今後の利用回数の増減意向をみると、今後も「変わらない」とする者が多いものの、共働き世帯の20代・30代や独身者・単身者の50代女性などでは、3割以上が「利用回数を増やしたい」としているなど、今後も単身世帯や高齢者世帯の増加、核家族化の進展などに伴い冷凍野菜等の需要は引き続き増加していくと考えられる。
平成27年度冷凍野菜等の消費動向調査の詳細な調査結果については、機構のホームページに掲載されているので、参考にしていただきたい(http://www.alic.go.jp/content/000124083.pdf)。