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調査・報告(野菜情報 2015年10月号)


冷凍野菜等の消費動向および小売販売動向調査の概要について

野菜需給部


【概要】

 冷凍野菜および原料に野菜を使用した冷凍調理食品は、単身者世帯や高齢者世帯の増加、核家族化の進展などに伴い、時短調理ニーズや食の簡便化などから需要が増加しているといわれている。
 冷凍野菜等は、スーパーマーケット・生協等での購入が9割以上と圧倒的に多いものの、利便性が高いコンビニエンスストアでの購入も独身者・単身者層を中心に一定の購入者がおり、生鮮野菜の価格が高騰した時の代替品として、価格の安定している冷凍野菜等を購入する割合は4割に上っている。
 また、冷凍野菜等の1000人当たりの販売金額および販売個数は、平成23年3月の東日本大震災以降は、24年度までは増加傾向であったが、25年度は前年並みとなった。

1 はじめに

 野菜の加工・業務用需要の割合が高まりつつある中で、需要が増加しているといわれている冷凍野菜および原料に野菜を使用した冷凍調理食品(以下「冷凍野菜等」という)の消費者の購買動向を把握するため、販売量、販売金額等について、平成26年度に冷凍野菜等の消費動向調査(Web調査)および小売販売動向調査(POS調査)を実施した。その調査結果の概要を報告する。

2 冷凍野菜等の消費動向調査(Web調査)

(1)調査の方法

 調査は、調査会社に委託してWeb調査として実施した。調査対象は、冷凍野菜等の購買層として、男性、女性の性別、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上の5つの年齢階層、独身者・単身者世帯、共働き世帯、専業主婦のいる世帯の世帯属性をおのおのに分類した上で1500名の調査モニターを抽出して実施した。なお、本調査の一部回答区分については、回答サンプル数が少ないことから、利用に際しては、留意する必要がある。

(2)購入先、購入品目

 冷凍野菜等を購入する場所は、「スーパーマーケット・生協等」が97.3%と最も高く、次いで「コンビニエンスストア」が13.8%、「百貨店・デパート」は3.7%と最も低かった(図1)。

 購入先の割合が最も高い「スーパーマーケット・生協等」は、どの属性区分でも購入する割合が90%を超えている。一方、次に高い「コンビニエンスストア」は、男女とも独身者・単身者の購入する割合が高い傾向となっている。

 スーパーマーケット・生協等で購入されている冷凍野菜は、「冷凍えだまめ」が、共働き世帯、女性専業主婦を中心に32.2%と最も高く、次いで「ミックスベジタブル」が25.0%、「冷凍ほうれんそう」が17.9%と続いている(図2、図3)。冷凍調理食品は、どの属性区分でも多く購入されている「ギョーザ」が41.1%と最も高く、次いで女性共働き世帯、女性専業主婦の割合が高い「コロッケ」が26.6%、「シュウマイ」が22.7%と続いている(図4、図5)。また、5番目に購入が高い「お好み焼き」は、男女とも独身者・単身者の購入する割合が高い傾向となっている。

(3)購入頻度、価格

 冷凍野菜の購入頻度は、1週間に1回以上購入していると回答した者は、全体では25.1%となっており、男性共働き世帯の割合が30%を超えて高くなっている。冷凍調理食品は、1週間に1回以上購入していると回答した者は、全体では30.2%となっており、男女とも共働き世帯の購入頻度が高くなっている(図6)。

 購入後の用途としては、冷凍野菜は、「主に調理素材として利用する」が35.5%と一番高いのに対して、冷凍調理食品は、「主におかず用、お弁当用として利用する」割合が57.6%と過半を占めている。冷凍調理食品は、解凍してすぐ食べられる商品が多いこともあり、冷凍野菜よりも購入頻度の割合も高くなっているとみられる(図7)。

 冷凍野菜等の購入単価は、調理素材としての購入が多い冷凍野菜は、「冷凍オクラ」、「冷凍いんげん」、「グリーンピース」、「冷凍スイートコーン」、「冷凍えだまめ」などを中心に比較的安く、200円以下が49.1%であった。一方、冷凍調理食品は、加工度が高く、解凍してすぐ食べられる調理済みの商品が多いこともあり、冷凍野菜に比べて購入単価はやや高く、「ポテトサラダ」や「筑前煮」、「八宝菜」などの自宅などで実際に調理をした場合に一定の手間と時間を要する商品を中心に200円を超える割合が高く、54.3%を占めている(図8)。

 また、冷凍野菜等を購入する時の割引率は、全体では、3割引以上で購入する割合が52.5%と過半を占め、割引が大きい時に購入している者が多い。属性別では、男性独身者・単身者は、定価での価格で購入する者の割合が、24.7%と他の属性区分より高い一方、女性は、属性区分を問わず、男性に比べて3割引以上での購入割合が高い傾向となっている(図9)。

(4)生鮮野菜の価格が高い時の代替購入品

 生鮮野菜の価格が高い時の代替品は、価格が安定している冷凍野菜とカット野菜を購入する割合が高くなっている。属性区分別に見ると、女性独身者・単身者や女性共働き世帯は代替品として冷凍野菜とカット野菜を両方購入する割合が高くなっている。一方、女性専業主婦は、カット野菜は代替品として多く購入しているのに対して、冷凍野菜を購入する割合は低い傾向となっている。(図10)。また、生鮮野菜の価格が高い時にも特に代替品を購入しない者も、28.7%を占めている。

(5)購入する時に重視する点

 冷凍野菜等を購入する時は、「価格」を重視する割合が全体では75%と最も高く、特に男性独身者・単身者は80%を超えている。次に「国産、外国産の別」が58.4%を占めており、特に女性共働き世帯、女性専業主婦では、それぞれ64.1%、68.1%を占め、購入判断要素として原産国が重視される傾向もうかがえる。次いで「味」を重視する割合が51.8%、「賞味期限」は19.0%となっている(図11)。

 今後、国産冷凍野菜等を購入する時に重視する点は、「安全・安心の向上」、「価格の引き下げ」、「味の向上」がそれぞれ50%を超えており、特に「安全・安心の向上」が64.8%と最も高くなっている(図12)。また、「調理素材の商品となる種類の増加」や東日本大震災以降、需要が増加しているといわれている加熱せず食べることができる「自然解凍商品の増加」を重視する回答もそれぞれ23.3%、20.1%を占めており、国産品に対して、これらの点に関して一定の潜在的ニーズがあることがうかがえる。

3. 冷凍野菜小売販売動向調査(POS調査)

(1)調査の方法

 調査会社に委託して、全国150チェーン約951店舗のスーパーマーケットにおける冷凍野菜等の販売量、販売金額等のPOS(Point of Sales、販売時点情報管理)データ(平成22~25年度)を取得・集計して分析を行った。また、安価な独自ブランドの販売が多い、大手量販店系列のスーパーマーケットのデータが含まれていない点に留意する必要がある。
なお、本調査の集計に用いたPOSデータは、販売額ベースで全国の約3.3%に相当すると推計される。

(2)メーカー数とアイテム数の推移

 POS調査によると、冷凍野菜等のメーカー数は、平成22~24年度は増加傾向にあったが25年度は減少し、アイテム数は緩やかな減少傾向で推移していたが、25年度は前年度並みとなった(図13)。アイテム数については、冷凍野菜は、販売量が少ないアイテムの淘汰が進んでいることから減少傾向にあるのに対して、冷凍調理食品は、23年度は減少したものの24~25年度は増加傾向となった(図14)。

(3)1000人当たりの販売金額と販売個数の推移

 冷凍野菜等の1000人当たりの販売金額、販売個数は、平成23年3月の東日本大震災以降、調理が簡便な冷凍調理食品の需要が増加したこともあり、24年度までは増加傾向であったが、25年度は前年度並みとなった(図15)。

(4)1000人当たり販売金額の品目別割合の比較

 平成25年度の冷凍野菜等の1000人当たりの販売金額の品目別割合は、ばれいしょ、えだまめ、混合冷凍野菜(ミックスベジタブルおよび複数の野菜を組み合わせた野菜ミックス)、ほうれんそう、かぼちゃの5品目で全体の70%以上を占めた(図16)。

 22年度と25年度の増減率を品目別の寄与度(22年度に対する25年度の増加率4.4%の品目別内訳)で見ると、ほうれんそう、混合野菜、ブロッコリー、コーン、ばれいしょ、さといもなどが増加し、かぼちゃ、ごぼう、かんしょ、えだまめなどが減少している。

 また、冷凍調理食品の1000人当たりの販売金額は、調理の簡便性などから増加傾向にあり、25年度はギョ-ザ、ハンバーグ、たこ焼き、総菜(野菜のかき揚げを除く)、お好み焼き、ちゃんぽんや中華丼などの具材7品目で全体の約90%以上を占めた(図17)。22年度と25年度の増減を品目別の寄与度(22年度に対する25年度の増加率11.9%の品目別内訳)で見ると、水、油を使わない商品や羽つき商品の開発によりギョ-ザが大幅に増加し、次いでハンバーグ、お好み焼き、サラダなどが増加し、総菜、ちゃんぽんの具、中華丼の具、たこ焼きなどが減少した。

4 さいごに

 冷凍野菜等は、価格が安定していることから、生鮮野菜の高騰時に生鮮野菜の代替品として購入されることも多く、さらに長期保存性、調理の簡便性、利便性などにより、朝食や弁当向け需要も増加しているとみられる。消費者の購入基準も価格、原産国、味などが重視され、国産冷凍野菜等に対しては、安全・安心の向上や価格の引き下げ、味の向上を求める声がある。

 また、総務省家計調査の冷凍調理食品の年齢別1人当たりの支出金額の推移を見ると、ほとんどの年齢層で増加傾向にある(図18)。特に50~59歳、60~69歳層で増加傾向が見られる。冷凍野菜等全体の消費は、高齢化などの進展を背景に調理が簡便な冷凍調理食品を中心に堅調に推移すると見込まれることから、国内野菜産地においては、これら消費者の購買動向やニーズに対応した取り組みが求められる。

 今回報告した調査結果については、当機構ホームページに掲載してあるので参照願いたい。

「平成26年度冷凍野菜等の消費動向調査」
(http://www.alic.go.jp/content/000112123.pdf

「平成26年度冷凍野菜小売販売動向調査」
(http://www.alic.go.jp/content/000114006.pdf



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