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調査・報告(野菜情報 2015年5月号)


野菜需給協議会現地協議会の概要

野菜需給部


【要約】

 野菜需給協議会(座長:中村靖彦、事務局:野菜需給部)は平成27年2月25日(水)、会員(消費者団体、生産者団体、流通・小売団体など)が現地に赴いて生産者団体や生産者と直接意見交換を行い、野菜生産現場への理解をさらに深めることを目的として、静岡県で現地協議会を開催した。

1 意見交換会の実施および集出荷場の視察

 とぴあ浜松農業協同組合(以下、「JAとぴあ浜松」という。)西営農センターにおいて、静岡県経済農業協同組合連合会(以下、「JA静岡経済連」という。)、JA担当者、たまねぎ部会長などによる概況説明の後に、意見交換と集荷場の視察を行った(写真1、2、3、4)。

 意見交換では、JA静岡経済連から、京浜と中京の大消費地に挟まれた産地特性の下、農業産出額の約3割が野菜であり、少量多品目の生産が特徴であること、特に特産である白たまねぎは遠州灘の砂地、長い日照時間を生かして日本一早い出荷(1月4日から3月)で有利販売を実施していることについて説明があった。

 JAとぴあ浜松からは、セルリー(13億円)、葉ねぎ(20億円)、ちんげんさい(14億円)など、たまねぎ(12億円)も含めた管内の野菜の生産販売の概況や、生産者部会の組織(玉葱部会:843名)とJAの営農指導体制(管内8営農センター、営農アドバイザー51名)などについて説明があった。

 この中で、特に、高齢化などから野菜の販売額が大きく減少する状況を改善し、たまねぎ産地の維持、強化を図るために、農地集積円滑化事業の導入(平成10年~)やJA出資の農業生産法人「とぴあファーム」の設立(22年)を通じて、遊休農地を中間保有した後に、新たな担い手や規模拡大農家に引き渡す取り組みを進めていることについて説明があった。
さらに、営農知識などの習得を希望する者のためのJA主催の園芸教室の開催や、新規就農希望者向けの農業者養成塾の開催、近隣農家による就農希望者への実地指導など、就農支援対策にも積極的に取り込んでいることについて説明があった。

 また、たまねぎ部会長などの生産者からは、マルチ被覆資材を用いた白たまねぎ、黄たまねぎ、アーリーレッドの栽培を行っていること、生産者自らが各メディアの取材を積極的に受けるなどして消費宣伝にも力を入れていること、販売金額が少ない野菜についても、生産者の野菜協議会の下で品目別のグループを組織して栽培に取り組んでいることなどについて説明があった。

 会員からは、産地の将来目標、担い手確保対策、規格外品の活用、産品の差別化や販売促進、再生可能エネルギー・省エネルギーの取り組み、冬場の野菜価格など、多くの質問や意見があり、産地側が予定時間をかなり超えてこれに応じるなど、相互理解と情報共有を図る上で、有意義で活発な意見交換会となった。

2 たまねぎほ場の視察

 JAとぴあ浜松管内の白たまねぎと黄たまねぎのほ場を、たまねぎ部会長などの説明を受けながら視察した(写真5、6)。

 管内のたまねぎは、海岸に面した砂地で栽培するため、水分が多く、辛みが少なく甘みが強いのが特徴であること、また、今年は、昨年の台風被害の影響で例年にない不作となり、一時的に注文に応じ切れない状況となったとの説明があった。

3 ファーマーズマーケット白脇店の視察

 平成24年11月にオープンしたJAで4店目の直売所である「ファーマーズマーケット白脇店」を視察した(写真7、8)。同店は、売場面積約500平方メートル、出荷会員約400名で約100品目の地場産の野菜などを取り扱っており(地場産率93%)、販売額(6億円)はJA全体の約3割を占めている。
市場市荷以外の販売である産地直販所の状況などを視察できたことなど、全体として有意義で活発な現地協議会の開催となった。


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