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調査・報告(野菜情報 2015年3月号)


遠隔地におけるモーダルシフトの実態と課題
~JAいわみざわのたまねぎ輸送の事例~

三重大学大学院生物資源学研究科
教授 徳田 博美


【概要】

 国際的な環境問題(地球温暖化)への対応が求められる中で推進されてきた、トラック輸送から鉄道コンテナ輸送などへのモーダルシフトについては、これまでなかなか進んでいなかったが、最近の燃油価格の高騰やドライバー不足の影響から、本格的に取り組む必要性が生まれている。モーダルシフトに取り組んでいる遠隔産地である北海道のJAいわみざわのたまねぎの事例を調査した結果、品目や出荷先などによる長短を考慮した上での輸送手段の選択が重要であることが明らかになった。

1 はじめに

 環境負荷の軽減などを目的として、トラックから鉄道などの大量輸送手段を中核とした輸送体系に切り替えるモーダルシフトは、わが国の物流体系における長年の課題である。トラック輸送に大きく依存してきた野菜の輸送でも同様である。総論としてのモーダルシフトには異論は少ないであろうが、実際に進めるには、解決すべきさまざまな課題があり、モーダルシフトは遅々として進展してこなかった。

 しかし、ここに来て、わが国の物流の主体となってきたトラック輸送は、燃油価格の高騰や運転手不足の深刻化など、厳しい状況に陥っており、モーダルシフトは、より現実味を帯びた課題となってきた。特に、消費地までの輸送距離の長い遠隔野菜産地では、避けては通れない課題となりつつある。

 そこで本報告では、従来からある程度の数量は鉄道で輸送していたが、2013年度に国の補助事業を利用し、鉄道輸送の比率を高めたJAいわみざわのたまねぎを事例として、モーダルシフトの実態と課題を検討する。

2 モーダルシフトの背景

 社会的にみれば、モーダルシフトが求められる最も大きな要因は、環境問題であろう。地球温暖化は地球規模で深刻な問題の一つであり、わが国も二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの削減は避けては通れない課題となっている。わが国における二酸化炭素の排出量の中で、輸送部門は20%を占めており、そのうち貨物輸送が約4割となっている。

 つまり、わが国全体の二酸化炭素排出量のうち、貨物輸送が8%を占めており、二酸化炭素排出量を削減する上で、輸送部門は重要な部門の一つである。輸送部門の中でも貨物輸送では、消費エネルギーの実に85.8%がトラック輸送によっている。これは、わが国の貨物輸送が圧倒的にトラック輸送に依存していることと、トラック輸送がエネルギー多消費型の輸送手段であるためである(図1)。単位輸送量当たりの二酸化炭素排出量を輸送手段別に比較すると、トラックは鉄道の約8倍、船舶の約4倍であり、二酸化炭素排出量の多い輸送手段である。これまでのわが国の物流の中ではトラック輸送が大きな比率を占めており、輸送部門での二酸化炭素排出量を削減するためには、トラック輸送の比率を下げ、鉄道や船舶に転換するモーダルシフトが課題となる。

 環境負荷軽減のためのモーダルシフトは、社会的課題として国を挙げて取り組むべき課題であるが、個々の事業者にとってみれば、コストなど経営的な効率性を大きく損なってまで進めることは難しい。そのことが、これまでモーダルシフトが進展しなかった要因の一つである。

 それが、ここにきて経営的にみても、出荷者がモーダルシフトを検討すべき状況が生まれてきた。第一に燃油価格高騰などによるトラック輸送コストの上昇である。昨年末から原油価格は低下しているが、長期的な傾向としては高水準で推移する可能性は否定できない。昨年は、トラック輸送費が2~3割程度上昇したとみられる。近年の野菜をめぐる市場条件の下では、コスト上昇を価格に転嫁することが容易ではないので、輸送費の上昇は、特に輸送費の占める割合が大きい遠隔産地にとっては深刻である。

 第二に、より深刻な問題として、運転手不足などのために必要とするだけのトラックの確保が難しくなってきていることである。2020年度には、わが国全体でトラック運転手が10万人以上不足するという予測も示されている。トラック運転手不足の要因として、まず深夜労働や長時間の拘束時間などの過酷な労働条件がある。最近の景気回復などもあって、その絶対数が減少傾向にある。また、違法な運行管理などを原因として、トラックやバスによる重大事故が多発したために、運送業者の法令違反に対する罰則規定が強化されたことがある。過積載や運転手の長時間連続運転などがもはや許されなくなり、その分、同じ貨物量でも必要とするトラック台数や運転手の人数は増えてきた。輸送コスト以前の問題として、トラック輸送に頼っていたのでは、消費地に野菜を運べないような事態が生じることも危惧され始めている。

 わが国の物流全体としてトラック輸送の確保が難しくなっているが、野菜では、その物流の特性から、さらに難しくなっている。第一に、野菜ではパレットの利用が少なく、積み込み、積み下ろしが手作業となり、負担が大きくなっている。第二に、野菜産地の多くでは、出荷に季節性があり、年間を通じて安定して積荷を確保することができないことである。第三には、卸売市場から深夜の搬入を求められることが多いことも、運転手の労働条件の改善という点から嫌われる要因となっている。

 これまでのトラック輸送は、安い燃料価格、過重労働に依拠しながら、高い環境負荷を伴ってきた。環境負荷の削減は世界的な課題となっており、安い燃料価格、過重労働ともに、その条件が失われつつある。トラック輸送の持続性が揺らいでおり、環境問題という点からのみでなく、野菜産地の経営面からも、モーダルシフトは本格的に検討すべき課題となりつつある。

3 JAいわみざわのたまねぎ生産

 本稿で取り上げるJAいわみざわのたまねぎについて、簡単に紹介しておく。JAいわみざわは、札幌市の北東部、石狩平野中央部の岩見沢市、三笠市などを範囲として、旧JA岩見沢市などの5JAが1993年に合併(2001年にはJA栗沢(くりさわ)町が合併)して設立され、組合員戸数は1300戸である。JA管内は石狩川中流域であり、北海道を代表する水田地帯であり、米が最大の農産物である。1970年代の水田転作によって、たまねぎをはじめとする園芸品目の生産も盛んになってきた。たまねぎは、米に次ぐ主要農産物である。

 2013年度のJAいわみざわの農産物販売金額は132億円であり、そのうちたまねぎは29億円を占めている。

 言うまでもなく北海道は、わが国のたまねぎのおよそ6割を生産する主産地である。その中でJAいわみざわ管内を中心とした空知地域は、北見地域、富良野地域に次ぐ第三のたまねぎ産地である。

 2012年度におけるJAいわみざわのたまねぎ生産状況は、生産農家数205戸、作付面積1241ヘクタールで、生産量3万2214トンである。2012年は不作であり、近年の年間生産量は3万~4万トン程度で推移している。たまねぎの収穫は8月から始まり、JA倉庫に貯蔵し、選果場で選別調製され、翌年4月中下旬くらいまで出荷している。JAいわみざわのたまねぎは、「まるいわ」のブランド名で9割が道外に出荷されている(写真1)。そのうち東北、関東が6~7割を占めており、残りはそれ以西である。出荷はすべて卸売市場を通じており、出荷している市場は、15~20市場である。ただし、加工業者への出荷の一部では、物量は実需者に直送するものもある。荷姿は20キログラム段ボール箱が基本であり、一部は5キログラム、10キログラムの段ボール箱があり、加工向けの一部がネットで出荷されている。

4 モーダルシフトの経緯

 JAいわみざわでは、以前からたまねぎ輸送でトラックと鉄道を併用していた。それが2013年度に国土交通省の「モーダルシフト等推進事業」に採択され、鉄道輸送の比率を大幅に高めた。

 JAいわみざわでのたまねぎ輸送手段の選択は、コストと出荷ロットが主な要因となっている。輸送コストは輸送手段選択の第一の要因と言えるだろう。ただし、輸送業者側も、競合他業種の状況をみながら価格設定しているので、トラックと鉄道で大幅な価格差がつくことはない。輸送先によって、価格面で優位な輸送手段は違っている。一般的には距離が長くなるほど、鉄道の価格優位性が高まるとされ、トラックの大きさにもよるが、300~500キロメートル程度が分岐点とされている。しかし、実際には多様な要因がコストに影響するので、距離のみで優劣を比較することはできない。

 鉄道輸送といっても、産地から市場までの全行程が鉄道で輸送される訳ではなく、産地から最寄りの貨物駅までと、卸売市場の最寄りの貨物駅からは、トラックでの輸送となる。この場合の輸送費は、トラックでの輸送距離が大きく影響し、その距離が短いほど、費用が抑えられる。

 トラック輸送でも同様のことは言える。北海道から都府県への輸送でも、道内の港でフェリーに乗り、都府県のどこかの港に着くので、全行程をトラックが走っている訳ではない。積み込む港までと、積み降ろす港までのトラックでの輸送距離によって、輸送費は大きく左右される。

 したがって、貨物駅が近くにある卸売市場までの輸送では、鉄道輸送の価格優位性が高まり、積み降ろす港が近くにある卸売市場までの輸送では、トラック輸送の価格優位性が高まる。近畿以西では、北海道から利用しやすいフェリーの定期便があるのは敦賀のみであるので、港から卸売市場までの距離が長くなり、鉄道輸送が有利となる。また北海道内でも、主要な積み出し港である苫小牧から近い岩見沢は、トラック輸送の相対的優位性が高く、苫小牧から遠い北見地域や富良野地域では、鉄道輸送の相対的優位性が高まる。

 輸送手段の選択に影響するもう一つの要因に、出荷先ごとのロットの大きさがある。トラック輸送の主体は、積載量の大きい20トントレーラーである。これは、積載量が大きくなるほど、輸送費が抑えられるからである。別の言い方をすれば、積載量の小さいトラックでは、コスト面で不利になってくる。したがって、1回の出荷量が20トンに満たない出荷先に対しては、混載や複数カ所降ろしなどの対応が必要となり、効率性を落とし、コストを引き上げてしまう。一方、鉄道輸送では5トンコンテナが主体となるので、5トン以上の出荷量があれば、コストはあまり変わらない。そのため、日量20トンを超えるほどのたまねぎを引き受けられない規模の卸売市場への出荷では、鉄道輸送の価格優位性が高まる。

 2012年度以前のJAいわみざわのたまねぎ出荷では、トラック輸送が6割以上を占め、鉄道輸送は4割に満たなかった。それが、2013年度にトラック輸送の価格上昇なども背景となったとみられるが、鉄道輸送の比率を高めるべく、モーダルシフトに取り組んだ。JAいわみざわからたまねぎの輸送を受託しているホクレン農業協同組合連合会(以下、「ホクレン」という。)岩見沢支所、トラック輸送事業者で実際の物流を請け負っている岩見沢通運株式会社(以下、「岩見沢通運」という。)、貨物輸送事業者である日本貨物鉄道株式会社(以下、「JR貨物」という。)の3者で、「まるいわモーダルシフト推進協議会」を組織し、国土交通省のモーダルシフト等推進事業に応募し、採択された。この事業は、荷主と物流事業者などで構成する協議会が作成したモーダルシフト等推進事業計画に基づくモーダルシフトについて、経費の一部(最大2分の1)を補助するものである。

 2013年度におけるJAいわみざわのモーダルシフトは、本事業の下で進められた。具体的には、それまでトラック輸送が主体であった関東地域の4市場(宇都宮、水戸、横浜、平塚)を鉄道輸送主体に切り替えた。その結果、たまねぎ出荷全体での比率は、鉄道輸送が7割以上となり、鉄道とトラックの比率は完全に逆転し、鉄道が輸送手段の主体となった(図2)。事業終了後の2014年度は、10月末までの数値では、鉄道輸送の比率は6割程度とやや低下している。これは、10月頃まではたまねぎ価格が高めで推移し、卸売市場から求められる出荷ロットが大きくなり、20トントレーラーでの出荷が優位となった市場が増えたことによるものである。11月以降は、たまねぎ価格は下がり、卸売市場から求められる出荷ロットが小さくなり、20トンに満たない市場が増えたために、鉄道輸送の比率は8割まで上昇している。

5 鉄道輸送の実際

 まず、JAいわみざわのたまねぎの鉄道輸送での実際の物流をみておく(図3)。農家が収穫したたまねぎは、集荷され、JAの倉庫に貯蔵される。それを出荷計画に基づいて、連日、共同選果施設で選別・箱詰めされる(写真2)。箱詰めされたたまねぎは、共同選果施設で輸送用のコンテナに積み込まれる(写真3)。ここまではトラック輸送でも違いはない。なお、空のコンテナは出荷品を運ぶトラックの帰り荷などとして、常時運び込まれており、ある程度の数量は共同選果施設に常備されている。たまねぎが積み込まれたコンテナは、トラックで札幌の貨物ターミナル駅に運ばれる(写真4)。以前は岩見沢にも貨物駅があったが、現在は廃止されている。

 札幌貨物ターミナル駅からは、出荷先ごとに応じた貨物列車で道外に輸送されることになる。北海道から道外に向けた貨物列車は1日20便あり、そのうち16便は札幌が始発なので、列車の確保には、あまり問題はないようである。出荷先の最寄りの貨物駅まで運ばれたコンテナは、トラックに積み替えられ、最終目的地まで運ばれる。そこでのトラックの手配は、岩見沢通運が請け負っている。

 物流面では、トラック輸送から鉄道輸送に替わっても、共同選果施設を出る段階は、どちらもトラックであるので、JAとしての作業はほとんど変わらない。実際、JAいわみざわでは、以前からトラック輸送と鉄道輸送を併用していたので、どちらでも対応できる体制が既に整っていた。また貨物列車のスペースの確保や出荷先でのトラックの手配などは、ホクレンおよび岩見沢通運が請け負っているので、JAに新たな負担が増えることはない。したがって、鉄道輸送に移行することで、荷主であるJAが作業や施設で新たな負担は、ほとんどないと考えられる。

 輸送日数を比較すると、鉄道輸送はトラック輸送よりも、やや長くなるようである。関東地域への輸送では、トラック輸送は出荷3日後の店頭販売が可能であるが、鉄道輸送では店頭販売が1日遅れてしまう。当然ながら、輸送日数は地域によって異なるが、鉄道路線条件による影響も大きい。貨物列車の便数の多い幹線沿いの地域では、トラック輸送との時間差は小さいが、便数が少ない場合は、連絡の良い列車を確保しにくくなり、トラック輸送との時間差が開く可能性がある。

 使用するコンテナは、温度管理の装備がない5トンの汎用コンテナが主体である。野菜用のコンテナとしては、保温性の高い保冷コンテナや温度管理の可能なコンテナもあるが、たまねぎでは低温で管理する必要がないので、冬場で凍結の危険性がある時期にのみ保冷コンテナを使用することがある。なお、保冷コンテナそのものの需要は高く、夏場などでは確保しにくくなるのが現状である。

 鉄道での貨物輸送の契約は、運送会社を通じて行われる。JAいわみざわでは、岩見沢通運がJR貨物と契約している。貨物輸送の契約には、長期契約とスポット契約があるが、JAいわみざわのたまねぎでは、長期契約が主体となっている。実際のコンテナ数は1週間単位で確定しており、前週金曜日に発注している。

 輸送料金は、路線ごとの基本料金(レール料金)を基準に、ロットや長期安定した受注であるなどの取引条件によってディスカウントされ、年間固定価格で契約されている。言うまでもないことであるが、ロットが大きく、長期間安定した数量があるほど、ディスカウントは得られやすくなる。コンテナには使用料金は課されない。

6 鉄道輸送の効果と評価

 JAいわみざわのたまねぎにおけるモーダルシフトの効果および評価を簡単に述べる。

 まずコストであるが、2013年度は国の事業による補助があったこともあり、出荷先のほとんどで鉄道輸送の方が安くなったようである。輸送費は、たまねぎの平年価格の10%ほどであるので、コスト面の効果を過大評価すべきではないが、鉄道輸送が価格優位性を実現できている点は重要である。

 輸送時間は、既述のように鉄道輸送の方がやや長くなるが、特に問題とはなっていないようである。輸送時間に関わっては、鉄道輸送では届け先への搬入時間は原則9~17時となっている。卸売市場では深夜に荷を着けることが求められることもあるが、この点も、今のところ問題とはなっていないようである。たまねぎは貯蔵性があり、生鮮野菜ほどには鮮度が問題とならないことも影響していると考えられる。輸送途中での品質面での影響については、振動による段ボール箱の痛みなどが懸念されたが、今のところ問題は起きていない。むしろ、トラック輸送で混載になると、段ボール箱の潰れなどが発生することがあり、それがない分、勝っているという評価もある。荷を受ける卸売市場などからも、輸送に関するクレームはなく、明確な賛否はない。ただし、災害などにより輸送途中で立ち往生してしまった場合、鉄道輸送の方が臨機応変な対応がしにくいという懸念が指摘されている。どこかの線路上で止まってしまうと、復旧するまで待つしかなくなってしまう。

 総じて言えば、モーダルシフトはコスト面ではややメリットがありそうであり、今のところ、明確なデメリットは発生していない。トラック輸送の持続性の限界が明瞭となりつつある中で、野菜出荷者の経営からみても、モーダルシフトは十分可能性のあるものであることを示している。

7 おわりに

 モーダルシフトは、環境や労働安全などの問題から、社会的にみて避けて通れない課題であり、当事者にとっても、うまく実施すればメリットを享受できる可能性を有している。特に遠隔産地にとっては、モーダルシフトによって物流コストを削減する可能性は高く、今後推進すべき重要な経営課題となってくるであろう。ただし、どのような場合でもモーダルシフトが経営的にも高い効果を実現できるとは限らず、それぞれの状況に応じた適切な取り組みが求められる。最後にJAいわみざわのたまねぎの事例を踏まえて、野菜におけるモーダルシフトを進める上での課題と留意点を述べる。

 まず強調しなければならないことは、現状では野菜の中でも、モーダルシフトを進めやすいものと、そうでないものがあるということである。たまねぎのように貯蔵性があり、輸送過程での鮮度低下などの品質劣化の危険性の低い品目では、モーダルシフトは取り組みやすい。それに比べると、レタスやきゅうりなどの生鮮野菜でのモーダルシフトは、鮮度保持などへの配慮が必要であり、保冷コンテナの安定した確保など、適切な対策を行うことが求められる。

 産地と市場の位置や輸送ロットもモーダルシフトの経営面での効果に影響する。一般的には、長距離になるほど、トラック輸送に比べた鉄道輸送の価格優位性は高まるので、長距離輸送を中心として、モーダルシフトは進めるべきである。ただし、輸送コストは距離のみでなく、貨物駅やフェリー港からの距離などの要因も影響するので、総合的な輸送コストを考慮することが求められる。

 北海道から道外への輸送に限れば、鉄道の輸送能力の限界も踏まえる必要がある。現在の貨物列車の運行状況では、追加できる輸送余力は大きくない。北海道から道外へ貨物列車の定期便は1日20便であるが、青函トンネルを通過できる貨物列車の便数は1日23便が限界である。また1便に連結できる車両数も20両が上限である。したがって、新たに増強できる輸送能力にも限界がある。現状では、北海道産の野菜すべてを鉄道輸送に切り替えるようなことは、実質的には困難である。

 以上のことを踏まえれば、環境負荷などに配慮した輸送手段を利用できる条件を整備した上で、実際の輸送手段は品目や出荷先などによるメリット、デメリットも考慮して選択し、総体としてトラック輸送の比率を引き下げ、環境負荷や労働安全などで優れた鉄道輸送の比率を引き上げていくことが重要であろう。



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