野菜需給部
【要約】
野菜需給協議会(座長:中村靖彦東京農業大学客員教授、事務局:野菜需給部)では、協議会会員(消費者団体、生産者団体、流通・小売団体等)が現地に赴いて生産者団体や生産者と直接意見交換を行うことにより、野菜生産現場への理解をさらに深めることを目的として、平成26年2月13日(木)に栃木県下において、現地協議会を開催した。
県下有数のトマト産地であり、第41回農林水産祭(平成14年)において、天皇杯を受賞したJAしもつけ栃木トマト部会(年間販売額約20億円)のトマト選果施設の視察、JA関係者や同部会長との意見交換、高軒高低コスト耐候性ハウスにおけるトマト栽培の視察を行った。
意見交換では、トマト部会の概要、トマトの栽培状況、商標登録「赤い恋人」を生かしたトマトの販売戦略等について説明を受けた後、協議会会員からは「規格外品の主な出荷先」などの質問が行われた。これに対して、JA関係者等からは、「出荷量の多い5~6月を中心とした地元食品加工工場向けのトマトソースやトマトピューレ用の原料販売、地元のパン屋と規格外品を使った商品開発の検討」のほか、機械選果に適した品種の導入、契約取引の拡大、燃料高騰に対応したヒートポンプの導入、二重カーテンの使用による保温効果向上の取り組みや、選果の実績データの生産者への還元について説明が行われるなど、活発な意見交換が行われた。
トマトハウスの視察では、生産者より、栽培面積、経営の体制および作型等の概要について説明を受けた後、ハウス内を見学しながら、温度の管理方法、受粉蜂や液肥の使用方法等について意見交換が行われた。
県内のレタスの主力産地であるJAおやまレタス部会(年間販売額約4~5億円)において、青果物の集出荷・真空予冷施設およびレタスのトンネルマルチ栽培のほ場の視察を行うとともに、全農栃木県本部、JAおやまの関係者およびレタス部会部会長等生産者(4名)との意見交換会を実施した。
意見交換会では、全農栃木県本部からは県内における生産概況の説明があり、また、JAおやまからは、管内における生産概況の説明後、レタス部会の取り組みとして、朝採りレタス、加工・業務用の生産、出荷や女性の力を活用した販売促進など、が紹介された。
生産者からは、①家族労働が中心の産地で、品質には自信があるので、安心して食べてほしい、②昨年は高値であったが、今年は輸入ものの影響もあり安値で厳しい、③雪が降って土壌中の水分が多くなると、トンネルの中の湿気が多くなり、病気が心配等、の説明が行われた。
参加者からは、取扱量の減少理由、後継者の確保状況、病害虫への対応状況等の質問が出された。これに対し、産地側からは、①生産者数の減少による取扱量の減少、②レタス生産者の2~3割程度で後継者が確保、③収穫前日数を遵守した予防的な農薬使用や害虫の発生状況に対応した随時の対応等、について説明が行われた。
栽培ほ場での視察時も含め、参加者からは現地において生産者等との意見交換や情報共有を直接行うことの重要性が改めて指摘されるなど、全体として有意義で活発な現地協議会の開催となった。