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調査報告


「外食産業における野菜調達について」

~共同調査~

調査情報部


【要約】

 国内の野菜生産を見ると、高齢化の進展や担い手の減少を背景に作付面積、生産量ともに減少傾向となっており、生産者の労働意欲を上げるために国産野菜の利用拡大を通じて国内生産の増加を図る必要がある。
 このような状況を踏まえ、当機構としても、大きな市場規模を持つ外食産業に着目し、その野菜調達の現状を把握するとともに、国産野菜の利用拡大を図るにはどのような仕組みを構築していくことが重要なのかという課題を整理するために、宮城大学の堀田宗徳准教授と共同調査を実施した。
 外食産業の求める食材は、安定した量の確保、安定した仕入れ価格、品質の均一化、安全・安心といったことが挙げられる。
 一方で、国内生産では、天候などの気象条件によって、収穫量が左右されるため、市場取引では、農産物価格が変動しやすく、安定した価格での食材の調達は困難である。このような中で、外食企業は、契約取引の利用により、食材価格を安定させつつカット野菜なども併せて利用し、安定した量の確保に努めている。輸入野菜を利用している外食企業も多く、国産野菜の利用拡大には、中間事業者やカット業者も巻き込んだ産地開発が求められる。

1. 外食産業の現状

(1)外食産業を取り巻く環境

 我が国における外食産業は、昭和41年には6兆円という市場規模であったが、実質所得の増加、単身世帯の増加や女性の社会進出などを背景に、ファストフードやファミリーレストランチェーンなどの外食市場が大幅に拡大し、平成9年には約29兆円規模まで成長した。その後、景気の低迷などの要因により縮小したものの、平成21年では約24兆円を維持している(図1)。

 しかしながら、外食産業の市場規模は、バブル経済が破綻するとともに増加率が縮小している。平成6年には外食産業市場規模推計以来、初めて前年実績を下回っている。その後、市場規模は前年実績を上回って推移したものの、平成9年を境に下回り続け、外食産業が過去に経験したことのない状況となっている。

 また、外食産業を取り巻く環境は、消費者の低価格志向により急速に変わりつつある(図2)。弁当、惣菜などの中食産業との競争が激化しており、これに対して業態の転換を図り、食材の差別化といった経営戦略を見直す工夫を始めている。

図1 外食産業の市場規模の推移


資料:(財)食の安全・安心財団 附属機関 外食産業総合調査研究センターの推計

図2 消費者物価指数、外食支出等の推移

(2)外食企業の食材仕入額

 一般的には、外食企業の売上高に占める食材仕入額の割合(以下、食材率)は、およそ30~35パーセントといわれている。食材率を最も低い30パーセントと仮定すると、外食産業の食材仕入額は、平成21年の外食産業市場規模(外食産業の売上高)が23兆9,156億円であることから、少なく見積もっても7兆1,747億円(23兆9,156億円×0.3)と推計できる。

 また、農林水産省が調査した「外食産業原材料需要構造調査」によると、食材率を100パーセントとした時の品目構成比が、「米・その加工品」が9.1パーセント、「野菜・その加工品」が11.7パーセント、「畜産物・その加工品」が21.4パーセント、「水産物・その加工品」が22.6パーセントとなっていることから、それぞれの仕入額は、「米・その加工品」の仕入額が6,529億円、「野菜・その加工品」が8,394億円、「畜産物・その加工品」が1兆5,354億円、「水産物・その加工品」が1兆6,215億円と推計できる。

 これを外食産業市場規模がピーク時の平成9年(29兆702億円)と比較すると、平成9年の外食産業全体の食材仕入額は、8兆7,211億円となり、12年間で全体の食材仕入額は、1兆5,464億円減少している。

 品目別仕入額をみると、平成9年には「米・その加工品」の仕入額が7,936億円、「野菜・その加工品」が1兆204億円、「畜産物・その加工品」が1兆8,663億円、「水産物・その加工品」が1兆9,710億円となることから、平成21年と比較すると、それぞれ、1,407億円、1,810億円、3,309億円、3,495億円減少していることになる。

 基本的には、食材率の品目構成比は大きく変化がないと思われることから、外食産業の市場規模が減少すると、食材仕入額が減少することとなる。

(3)冷凍野菜に見る輸入野菜への依存の拡大

 冷凍野菜類の普及過程を見ると外食産業のチェーン展開が始まった昭和50年には、輸入野菜の使用率は全体の29パーセントにとどまっていた。しかし、外食産業の市場規模が急激に拡大した昭和55年には、輸入野菜が63パーセントを占めた。昭和60年には冷凍ほうれんそうや冷凍さといもなどの登場により冷凍野菜の輸入野菜への依存が73パーセントとなり、平成9年には全体の88パーセントまで拡大した。以降、安定して推移している(図3)。

図3.冷凍野菜輸入割合の推移


資料:社団法人 日本冷凍食品協会提供資料により機構作成

 外食産業の市場規模は、これに呼応するように昭和50年の約16兆円から昭和60年には約23兆円へと拡大し、平成9年には27兆円を超えた。その後は、景気後退により成長が鈍化しているが、これらの数値を見ると、冷凍野菜の輸入量の増加と連動するように、外食産業の市場規模が拡大していると思われる。

 冷凍野菜に使用されている輸入野菜の主要品目を輸入国別に見ると、ばれいしょ、スイートコーンの輸入量が多い米国をはじめ、中国からは、ほうれんそう、さといも、ブロッコリーなどが輸入されている。これらの冷凍野菜の利用が増加した背景には、外食企業がカット野菜などを利用する「調理の外部化」の進展により、コストの安価な食材を求めたことが一つの要因となっていると考えられる(表1)。

表1. 平成21年主要冷凍野菜の国別輸入量  (単位:トン)


資料:社団法人 日本冷凍食品協会提供資料により機構作成

2. 調査先外食企業の野菜調達の現状

 以上のように野菜の仕入れ金額が約8,400億の外食市場を抱えた外食産業の現状を踏まえ、野菜調達の現状について外食企業数社へのヒアリングを実施した。

(1)外食企業が求めている野菜の条件

 農林水産省の実施した「外食事業者の国産農産物の利用等に関するアンケート調査結果」によると、食材を仕入れる際に重点を置くポイントを「品質」とした回答が83.3パーセントと最も高く、次いで「価格」が70.6パーセントとなっている。

図4 食材を仕入れる際の重点事項(複数回答)


資料:農林水産省総合食料局食品産業振興課
「外食事業者の国産農産物の利用等に関するアンケート調査結果」

 当機構の実施した聞き取り調査でも外食企業では、糖度や熟度など品質の安定を第一条件として挙げている。また、セントラルキッチンをもっている外食産業では、加工工場の機械を使用するため、野菜に一定の規格を求めている。
 外食産業では、一部の大手外食チェーンを除き、輸入野菜を利用している。この理由として下記のようなケースがある。

① 外食企業がチェーン展開する場合、食材品質の安定的な確保は絶対条件であるが、国内に通年同じ品質の食材を安定的に供給する体制が未整備であるため、輸入品を指向するケース。

② 食材の仕入れ基準を価格水準に重点を置いているため、安価な輸入品を調達するケース。

③ カット業者を通じて食材を仕入れているため、野菜の規格にはこだわらず、カット業者が仕入れている食材を必要に応じて選択しているケース。

(2)外食産業による野菜の調達方法

 外食産業における野菜の調達方法は大きく分けて3つに分類される。
① 契約取引により産地との直接取引。
② 農業参入により、農場を直接経営。
③ 卸売業者やカット業者を通じて野菜を購入。
 ①の契約取引は、産地サイドから見ると、安定した販路を確保でき、外食企業サイドから見ると安定した価格で野菜を仕入れられるというメリットがある。しかし、不作の場合は、必要な数量が確保できないという欠点がある。②の企業が農業参入することで、企業の求める野菜の品質にこだわることができるというメリットがある。しかし、契約取引の場合と同様に不作の場合にはリスクがある。③の卸売業者との取引は、卸売業者の持つ集荷機能を通じて確実に数量は確保できるが、価格が市場価格に左右されるため、高くても購入する必要が生じる場合がある。このため、一部の外食企業は、契約取引や農業参入などの手段を取り入れているものの、卸売業者などの中間事業者との取引が数量調整として重要な役割を担っている。
 以下は、外食産業の形態によって、野菜を調達するうえでリスクを分散しているA社とリスクを分散していないB社の事例である。

○ 外食企業A社の事例(リスク分散を図っている事例)

 A社は、有機野菜などより安全、安心な野菜を提供したいという理念を持って自社農場を直接経営している。年間の作付け量を決めるときは、A社の外食部門とすり合わせを行い、作付け計画を立てる。農場で生産された作物の約4割をA社の店舗で使用するとともに市場へも販売している。また、たまねぎなどの品目は契約取引を行っており、ほかにも市場からの仕入れにより天候不順などの場合に、食材の欠品が出ないようにリスクを分散させている。メニューの決まっているA社にとって、欠品は決して許されないという。安定的な数量の確保は至上命題であり、さまざまな調達手段を用いている。

○ 外食企業B社の事例(リスク分散を図っていない事例)

 B社は、カフェテリア式セルフサービス方式を採用している。カフェテリア式セルフサービスとは、ウエイトレスがオーダーを取るのでなく、並んでいるおかずから好きなものを選んで、レジで会計をする方式である。この方式では、ごはん、みそ汁(とん汁)、カレー、ラーメン、そばなどメニューとして必ずなければいけない食材はあるが、そのほかのおかず類は店頭に並んでいる商品から好きなものを選ぶ形式をとっている。このため、食材の調達状況に応じて、店長が店内キッチンでメニューを調整することが可能である。

 B社では、まとまった食材が安価で仕入れられる場合、フェアを行って低価格で提供している。このような手法を取ることで、消費者の低価格志向に応えているという。

 ほとんどの外食企業にはメニューがあるため、A社のように調達方法を分散化している。中間事業者やカット業者を通じて仕入れている野菜は、国産野菜の量の不足や価格の高騰により輸入野菜を利用する場合も多い。

 このような中、外食企業が国産食材の取り扱いを増やすためにどのようなことを重視しているのか。農林水産省の調査では、「価格がもう少し安くなれば」という回答が85.7パーセントと最も高く、次いで「必要量が安定的に確保できるようになれば」が60.6パーセント、「信頼できる優良な生産者と出会う機会がもっとあれば」が36.3パーセントとなっている(図5)。

図5 国産食材の取扱を増やすための状況(複数回答)


資料:農林水産省総合食料局食品産業振興課
「外食事業者の国産農産物の利用等に関するアンケート調査結果」

 外食企業A社、B社の事例や上記のアンケートからもわかるように、外食事業者は食材の調達を行う時に、安定した数量の確保や価格を重視している。聞き取り調査を行った外食企業のうち、大手外食事業者は、A社のように複数の食材調達手段を持つことでリスク分散を図り、価格を重視しつつも安定した数量の確保できる体制作りを重視する傾向にあった。

3. 外食産業における国産野菜利用拡大の手段

 外食産業において、国産野菜の利用を増やすためには、野菜を安定的に仕入れる構造を作り上げることが必要である。一つの手段として、契約取引の割合を増やすことが考えられる。

 契約取引を長期間継続させるには、外食企業はどのようなことを重視しているのだろうか。以下は、聞き取り調査を行った外食企業の中で、産地開発を積極的に行い、使用野菜の全量国産化に成功した外食企業C社の事例である。

○ 外食企業C社の事例

 C社では、中間事業者や生産者とともに長年キャベツの産地開発に取り組み、全国に分散している20箇所以上のキャベツ産地と取引を行っている。過去には輸入キャベツを使用していたこともあったが、新鮮なキャベツのシャキシャキした食感を求めて全量国産化を目指し成功した。多くの契約産地では、契約取引数量を満たすため、C社が求める出荷量の約2倍の生産を見込んで作付けをしており、不作の場合でも安定的に供給できる体制を整えている。C社の調達担当者は、頻繁に産地へ足を運ぶことで常に産地の状況を把握し、ある産地での不足数量を別の産地で補うなどの工夫をしたり、中間事業者と協力して主要産地の補完をしながら周年国産キャベツを調達している。主要産地とは25年以上取引を行っているが、生産者サイドが長期的に安定した経営を望んでいることで、不作でも契約価格で契約数量を出荷された実績が積み重なり、お互いの信頼関係を作り上げた。

 C社がキャベツ以外の品目もすべて国産野菜を使用する方針を決めたとき、食材の調達担当者は、キャベツの栽培を行っていた産地の生産者に栽培を依頼した。始めて栽培を行う生産者は、当初は戸惑いを感じていたが、結果として多品目栽培を行うことで収入の増加につながった。

 C社は店舗数が増加してもこれ以上産地を増やすことは考えていないという。今後も野菜の調達量の増加を見込んでいるが、現在、取引のある産地からの仕入量を増やすことで食材を確保することを考えており、生産者サイドも店舗および国産野菜利用の拡充によるメリットを受けて安定した経営が可能となっている。

 外食事業者が国産野菜を調達しようと考えた時に、これまで契約取引の実績がある産地との取引を基本としている。これは、実績のある産地との信頼関係を重視しているとともに生産者サイドが長期的な取引により、安定した食材の調達を期待している。

4. 外食産業の国産食材の使用のニーズ

 外食産業が国産食材について、どのように考えているのか。今後の国産食材の利用に関する意向について、農林水産省の調査では、「現在かなり使用しているので現状を維持したい」が41.5パーセントと最も高く、次いで「現在かなり使用しているが更に増やしたい」が33.3パーセント、「現在あまり使用していないので増やしたい」が12.3パーセントとなっている(図6)。

図6 今後の国産食材の使用について


資料:農林水産省総合食料局食品産業振興課
「外食事業者の国産農産物の利用等に関するアンケート調査結果」

 上記のアンケート結果を検証すると、現在も国産食材をかなり使用している、もしくは、国産食材の使用を増やしたいと考えている外食事業者が大半を占めていることがわかる。中国の野菜ギョーザ事件以降、消費者の「安全・安心」な食材に対するニーズが増え、健康志向が高まっている。

 聞き取り調査をおこなった外食産業でも、国産野菜を使用したいという希望が多くを占めた。しかし、安定した品質の国産野菜を供給する体制が未整備であること、海外産の野菜と比べて価格が高いことから一定量を輸入野菜に依存している企業も多い。このほか、中小の外食企業では、カット業者を通じて食材を仕入れていることから、国産、輸入野菜を選択できないといった回答をした企業もあった。

 国産野菜を使用したいというニーズのある中、これに応えるためには、安定した品質、安定した数量、相場に左右されない価格で食材を確保できる体制作りが必要となる。また、独自に産地開発を行う資本力のない外食企業が国産野菜を安定的に調達するためには中間事業者やカット業者などの役割が重要となる。

5. 国産野菜の利用拡大に向けて

 外食事業者が国産野菜の利用を拡大するためには、C社のような契約取引の実施が有効である。また、契約取引を長続きさせるためには、目先の利益にとらわれず、長期にわたる安定した収入を求める生産者の存在が欠かせない。

 しかし、大半の外食事業者は、資本力の小さい中堅外食産業が占めている。このような中堅外食産業では、中間事業者やカット業者を通じた野菜の調達を行っている事例も多い。

以下は、カット業者を通じて中国産野菜の調達を行っているB社と、国産野菜の利用を拡大したいがカット業者の野菜を利用することで輸入野菜を一部使用しているD社の事例である。

○ 外食企業Bの事例

 B社は、東北地域を中心に展開しているチェーン店で、安価な大衆食堂として全国に直営店7店舗、フランチャイズ39店舗を展開している。東北地域以外にも、北海道に2店舗、九州に1店舗と店舗が散在しているため、セントラルキッチンによる食材の集中調理方式を取り入れた場合、輸送コストが負担となり非効率となるため、店内調理方式を採用している。

 しかし、カレーやとん汁といったメインとなる食材に使用する野菜は店内で加工せずに、カット野菜を使用している。過去には、国産野菜を使用しているカット工場から食材の調達を行っていたが、1年を通して品質が安定しなかったため、中国産野菜をカットした冷凍野菜に切り替えた。現在は、実験的に国産野菜を使用しているカット工場からも調達を行っているが、すべてを国産に切り替えられるほど品質が安定していないことから、中国産カット野菜を中心に使用している。

○ 外食企業D社の事例

 D社は、キャベツの契約取引を行っているほか、自社で農業参入するなど国産野菜を中心に使用している。将来は、全量国産野菜を使用したいと考えているが、現在は、カット業者から調達している一部の食材に輸入野菜が使用されている可能性があるという。

 これは、取引を行っているカット業者が食材の調達先別に、加工を行っていないためである。

 B社は、品質の安定を求め、中国産野菜を使用している。D社はカット業者を通じて食材を調達する過程で、国産かどうかを選択できない。B社やD社のようにカット業者や中間事業者を通じて食材を調達している中堅外食産業も多く、国産野菜を供給するうえで中間事業者やカット業者の存在が大きい。

 国産野菜を中心に取り扱っているカット業者の中には、国内の産地が不作で輸入野菜を使用する場合は、野菜を産地ごとに区別して提供できる数量や価格を提案する手法を取っており、取引先に野菜の産地を選択させている。中堅外食産業が国産野菜を調達しやすい環境を築くためには、中間事業者やカット業者による国産野菜の周年供給体制を作り上げることが重要である。

6. まとめ

 外食産業全体の野菜の仕入金額は、冒頭で記載したように、約8,400億円と推計される大きなマーケットである。

 しかし、外食産業は業種・業態が多岐にわたり、1店舗あたりの仕入品目が少量・多品目になっていることや業種・業態間で仕入れる品目が大きく異なることから食材調達が複雑になっているため、産地としても業種・業態を絞り込んでアプローチすることが必要になると思われる。

 また、今回、ヒアリングを行った企業の中には、C社のように長年にわたって産地開発を行い安定した国産野菜の確保に成功した事例もあったが、いまだに、業務用の産地や生産団体が少ない状況にある。このことから外食企業と中間事業者が一体となり産地を育成する必要があると考えられる。

 構造的に外食産業を見たとき、大手外食企業(売上高ランキング1~100位の外食企業)の売上高シェア率は、平成21年度で21.9パーセントであり、大部分の外食企業は中堅・中小であるというほかの産業とは異なる産業構造になっている。資本力のある大手外食産業は、契約取引や農業へ参入するなどの手法を通じて産地を開発してきた。このような産地から野菜を調達することで、社会的責任や消費者のニーズに答え、有機栽培のような「安全・安心」な野菜を使って、健康志向に対応した食材を提供することができた。

 しかし、外食産業の大半を占めている資本力が小さい中堅外食産業は、依然として、中間事業者やカット業者を通じた流通に依存している部分も多く、野菜の調達手段が限られている。

 今後、国産野菜の利用を促進するためには、資本力の小さい中堅外食産業に対しても契約取引産地の開発といったアプローチを提案できる中間事業者の存在やカット業者の国産野菜利用の拡大が大きな役割を果たすと思われる。

 消費者の外食産業に対するニーズとしては、価格、簡便性、品質・サービスなどがあるが、あらゆる消費者が共通して持っているニーズは、「安全・安心」な野菜を食べたいという思いである。外食産業サイドとしても消費者ニーズに応えるため、国産食材の使用量を増やす必要があり、特に、新鮮さが重視される野菜のニーズがあげられることから、外食産業と産地がお互いの信頼関係を築き、ともに歩むことのできる体制を整えていくことが必要であると思われる。最後に調査実施に当たり、ご協力いただいた関係者の方々にこの場を借りて厚くお礼を申し上げる次第である。


参考資料
・農林水産省総合食料局食品産業振興課 
 「外食事業者の国産農産物の利用等に関するアンケート調査」
・小田勝己 「外食産業の経営展開と食材調達」
・岩淵道生 「外食産業論」

本調査の実施者                   
宮城大学 食産業学部 准教授 堀田宗徳   
独立行政法人 農畜産業振興機構 調査情報部


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