緊急アンケート調査
野菜業務部直接契約課
当機構は、契約野菜安定供給事業をより多くの皆さまに知っていただくとともに、詳細な野菜の契約取引の実態を把握するため、契約取引を行っているとみられる実需者(量販店等小売業者、外食・中食業者、漬物業者・カット業者など加工業者)と野菜生産者を対象に、緊急アンケート調査を行いました。以下、その結果の概要を取りまとめました。
調査の対象とした生産者については、過去に当機構が行った『加工業務用野菜産地と実需者との交流会』の出展者やインターネット検索などで見出した農業生産法人等の中から1,000者を対象に、実需者については、当機構が主催する野菜需給協議会の会員団体(小売団体、外食・中食団体等)の傘下企業の中から400者を対象に、郵送によるアンケート調査を実施しました。
生産者からは171者より、実需者からは123者より回答をいただきました。なお、回答者の業種、生産品目、生産規模のバランスは問題なく、本調査結果は信頼性を有していると考えられます。
また、主な調査項目は、契約取引の実態、特に契約取引に係る取り決め事項、書面による契約の有無、野菜の需給事情の変化に伴う契約内容の変更の発生状況などとしました。
実需者の67%が契約取引を行っていると答えており、契約により野菜の安定的確保を図っているものとみられます。また、業種別の契約取引割合をみると、量販店等小売業者は64%、漬物業者・カット業者などは75~78%となっており、量販店等は、ある程度需給状況に応じた仕入れを行うため、市場からの仕入れの割合が高くなっているのに対し、加工業者は定量・定価格で仕入れる必要性が高いため、契約取引の割合が高くなっているものと考えられます。
一方、生産者のうちの35%が加工業者等に直接販売していると答えており、生産者の側でも安定的な販路として契約取引が重要なものとなっています。
契約の内容としては、実需者側は「数量と価格を事前に定めている」とするものが60%で最も多く、「価格のみ事前に定めている」が24%、「数量のみ事前に定めている」が6%となっています。価格を事前に定めているものは全体で8割を超え、価格を事前に取り決めることが契約の主流になっています。これは、いずれの業種でも同じ傾向がみられます。
また、生産者側においても「数量と価格を事前に定めている」とするものが53%で最も多いなど、実需者の調査結果と符合するものとなっています。
実需者側においては「契約内容の変更を求めたことがある」とするものが76%となっており、その内容をみると、「納入価格の引下げを求めた」が52%、「納入数量の増加や削減を求めた」が74%となっており、実需者が、数量の増減や、契約価格を下げるよう生産者に求める状況がかなり一般的であることがうかがえます。これは、少しの供給変動でも大きな価格変動を招きやすい野菜の特質によって、契約内容の変更を余儀なくされるケースが多いことによるものと考えられます。
生産者側においては、「価格の引下げを求められた」とするものが55%、「納入数量の削減を求められた」が71%となっており、実需者側の回答と符合しています。
現在、当機構は、契約野菜の安定的取引を進める制度として『契約指定野菜安定供給事業』を行っておりますが、交付予約数量は約1万トンに止まっています。この原因としては、まず、本アンケートにおいて生産者の46%が「知らない」と答えているように、制度の浸透が十分でないことがあげられます。
更に、現行事業の対象が指定産地内とされていることから、「指定産地外であるため加入ができない」が38%、書面契約が事業の要件とされていることから、「書面契約を締結していないため加入ができない」とするものが21%みられるなど、事業の要件と契約取引の実態が合致しない部分があることがうかがえます。また、「加入したいが、県に予算がないといって断られたため」とするものもみられました。
今回の調査により、契約取引が実需者及び野菜生産者の間で幅広く行われていることが明らかとなりました。また、契約の内容は、主たる取り決め事項である価格、数量について市況の変化等によって変更が加えられることが一般的であることが明らかとなりました。
このことから、今後、加工・業務用野菜の契約取引を推進していくためには、このような野菜の契約取引の実態に即した制度が求められるのではないかと思われます。
なお、本アンケート結果の数値については、一部整理中のものを含み、アンケート結果の詳細と併せ、追って当機構ホームページに掲載いたします。