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専門調査報告


有機野菜の販売拡大条件の考察
~「JAやさと」と「東都生協」の取組事例より~

九州大学大学院農学研究院
助手  豊 智行


1.はじめに
 安全かつ環境にやさしい有機農産物の栽培面積の総農地面積に占める割合は、世界の上位10ヵ国をヨーロッパ諸国が占めており、例えば第一位のリヒテンシュタインが26.40%、第二位のオーストリアが13.53%、第三位のスイスが11.53%あるのに対し、日本では0.56%とわずかである注1。そこには、様々な要因が考えられるが、その一つには有機農産物に対する消費者の認識が不足している現状から、需要量(販売量)が増えず、結果、供給量(生産量)も増加しないことが挙げられる。つまり、生産しても市場がないのである。しかし、食への安全・安心という観念が消費者にとって重要なものとなり、平成18年12月には、「有機農業の推進に関する法律」が国会で成立したことにより国からも更なるてこ入れがなされ、有機農産物に対する関心と需要は今後増加するのではないかと考えられる。そこで、本稿では有機野菜の販売拡大が生産振興につながるという視点に立ち、その条件について考察することとする。今回調査対象としたやさと農業協同組合(以下、「JAやさと」)は有機野菜の生産が拡大している国内有数の有機野菜産地であり、主な販売先である東都生活協同組合(以下「東都生協」)も有機野菜の販売金額を拡大させている。そこで、先進事例であるJAやさとの生産・販売及び東都生協の販売の具体的な取り組みと両者の取引関係を明らかにすることより、流通業者と産地の双方に効果的な販売拡大の条件を探っていくこととする。

2.JAやさとの生産振興
(1) 有機野菜の位置
  JAやさとは、茨城県石岡市八郷地区に位置し、きゅうり、生しいたけ、かぼちゃ、加工トマト、いんげん等50数種類の野菜を生産する多品目地域を管轄している。JAやさとでは平成9年11月に有機栽培部会を設立し、当初の部会構成員数は7人であったが、現在は26人まで増えている。部会設立以降、有機野菜の販売金額を順調に伸ばし、平成17年度には9,071万円に達したが、これは同年度JAやさとの野菜販売金額合計6億4,776万円の14%を占めている。先述したように日本の有機農産物栽培面積の総農地面積に占める割合が1%にも満たないことを考えると、この割合は顕著に高いものである。

(2) 歴史的展開と有機農業取り組みの経過
  JAやさとは、30年ほど前から産直に積極的に取り組んできた。昭和51年のたまごの産直をきっかけに、鶏肉、野菜、果物、豚肉にとその対象品目を拡大した。環境保全型農業への志向も強く、昭和63年には有人ヘリ空中散布の廃止、平成8年には第一回全国環境保全型農業コンクールで優秀賞を受賞している。JAによる農畜産物の高付加価値化への取り組みにも積極的であり、元年には納豆工場稼働、3年には鶏肉加工場稼働、8年には精米センターを稼働させてきた。また、13年には有機栽培部会の生産者全員が有機JAS認証を取得し、15年には「やさとシャモ」と「筑波地鶏」の地鶏特定JAS認証を取得することにより、消費者の商品の適正な選択に資する認証表示にもいち早く対応し、販売先を拡大させている。17年にはさらなる衛生管理の高度化のために鶏卵センターを一新、最近では家畜へのNon-GMO原料、ポストハーベストフリー原料による飼料を給与、抗生物質の無投与に取り組み、安全な食を追求している。
 
 このような中で9年には有機栽培部会を設立し、組織的に有機農業に取り組み始めたのである。設立時は以前より産直を実施してきた5名の生産者と農協には関係がなかったが有機農業に取り組んでいた生産者2名の合計7名より構成された。現在の構成員数は26名であるが、そのうちの18名は外部からの新規参入者であり、うち8名は11年よりJAやさとが創設した新規就農研修制度の研修卒業生6名と現研修生2名である。新規就農研修制度における研修の内容は、JA「ゆめファーム農場」に研修生が農業を実習できる農地と農機具を設置し、無料で貸し出しが行われ、実際に栽培に従事するというものである。栽培技術は有機栽培部会の生産者が指導する。特筆すべきは研修生が卒業した後も有機生産者として自立し、リタイアが全くないことである。有機栽培部会設立以前の7年には東都生協へこだわり野菜「グリーンボックス」の供給を開始し、8年にはいばらきコープへ「グリーンボックス」の供給を拡大させた。有機栽培部会設立以降には「有機野菜ボックス」としての供給を開始し、その後の有機野菜販売拡大につながっているが、これをスムーズに達成させる基盤がJAやさとの歴史的な取り組みの過程で構築されていたといえるであろう。

(3) 有機野菜の販売
  有機野菜の販売形態には東都生協、おおさかパルコープ、四つ葉生協といった生協に直接販売するものと石岡中央青果、横浜丸中青果、東京シティ青果、東京青果といった卸売市場の卸売業者を介して契約販売するものがある。販売は金額ベースで東都生協が7割、おおさかパルコープが1割、四つ葉生協1割と生協が9割を占め、残りの1割が卸売業者を介した契約販売である。
 
 収穫された有機野菜は各生産者が販売先の希望に合わせた小分け包装までするが、販売はJAに委託され、JAは主に販売先との取引、販売代金の決済の業務を担っている。

(4) 有機野菜の取引と代金決済
  有機野菜の販売に至るまでの流れについてみていきたい。まずJAやさとは、野菜の作付け半年前に各生産者の栽培希望面積を集計し、全体の生産量を予測することから始める。ここで特定の品目に生産が集中する場合は、生産者と調整をすることもある。生産予定数量が決まれば、JAは取引先である生協や卸売業者にシーズン中の取引の価格と数量等について提案を行い、双方の合意に基づき取引計画を策定する。生協へ販売する場合の価格はシーズン決め(シーズン中は価格が一定)または月決め(月間は価格が一定)である。卸売業者を介した契約販売の場合の価格は週決め(週間は価格が一定)である。数量は実際の需給の変動も考慮することから、当初の計画と併せて販売の1週間前に最終的な数量を決定する。JAはこれに基づく必要数量を調達するため週に1回、各生産者に各品目の発注をするが、そこでは各販売先の割当数量も示される。各生産者が実際に供給できる量を各販売先への数量に当てはめながら過不足を調整するが、生協との取引では極力欠品を避けたいために、生協への必要数量を確保することを優先し、その後、卸売業者への数量を調整していく。

  生産者への販売代金の支払いは、卸売業者を介した契約販売における販売金額から卸売市場手数料の8.5%と系統手数料の0.6%の合計9.1%を控除した額と、生協への直接販売した場合における販売金額から卸売市場流通の場合と同等の9.1%を控除した額の合計としている。生協に販売する場合の9.1%は産地に帰属するものであり、JAの必要経費、生産者の交流活動費やコンテナ費、有機栽培部会の活動費に充てられている。

3.東都生協の販売促進
(1) 歴史的展開と有機農産物取り組みの経緯
  東都生協は昭和48年に設立され、『「産直」「協同」「民主」─いのちとくらしを守るために─』を基本理念としている。平成18年3月現在の組合員数は21万8,619人であり、東京近郊にて供給事業(班配・個配、店舗、生活文化事業)、共済事業を展開している。供給センター18ヶ所、店舗を2ヶ所、集会所1ヶ所がある。有機農産物の取り組みに積極的であり、7年に農薬を極力使用しない農産物が欲しいとの組合員要望に応えボックス供給を開始、10年には有機農産物(旧ガイドライン)の取り扱い開始、16年には東都生協自主基準表示を開始、17年には『「東都みのり」青果ボックス』の登録供給を開始している。

(2) 野菜の商品企画
  東都生協の歴史的展開の中で取り組んだボックス供給とは一つの箱の中に農薬を極力使用しない農産物を5~6品目入れて組合員に供給したものであり、それがJAやさと産の「やさとボックス」であった。
 
 また、東都生協自主基準表示については、青果と米について有機JASの認定を受けた農産物または化学合成農薬・化学肥料を使用せずに栽培した産直農産物(「無無」と呼称)を「東都みのり」、化学合成農薬または化学肥料を概ね50%以上削減して栽培された産直農産物を「東都わかば」、化学合成農薬または化学肥料を概ね30%以上削減して栽培された産直農産物を「東都めばえ」、東都生協が農産物ガイドをもとにいつ、だれが、どのように栽培したかを確認した産直農産物を「産直」と表示するものである。
 
 さらに17年にボックス登録供給が開始されたがこれは登録した組合員に5~6品目の青果物を詰め合わせたボックスを毎週または隔週で供給するものである。「東都みのり」青果ボックスは一箱当たり1,029円であるが、18年秋冬には2,632名の登録があった。同様に「産直」青果ボックスもある。
 
 最近では余剰青果物の支援企画として産直青果物サポートに取り組んでおり、「東部みのりサポート(化学物質不使用栽培余剰野菜の低価格供給)」として1~2品目を210円以内で供給している。同様に「グリーン・サポート(余剰野菜の低価格供給)」1~2品目210円以内と「フルーツ・サポート(果物産地の支援企画)」1~2品目420円以内がある。ちなみに週に「東都みのりサポート」は約2,000点、「グリーンサポート」は約6,000点、フルーツサポートは約3,000点の受注があるという。

(3) 有機野菜の販売・購買
  東都生協における「東都みのり」の受注金額は平成15年2億5,334万円(うちJAS有機供給高は69.3%の1億7,559万円)から17年には3億8,427万円(うちJAS有機供給高は56.4%の2億1,660万円)まで伸びている。ただし、17年の受注金額3億8,427万円のうち約8,000万円程度は産地からの供給不足のため対応できなかったということであり、「東都みのり」の需要に対して供給が不足しているともいえよう。ちなみに野菜全体における「東都みのり」供給高構成比は、15年の6.7%から17年には10.3%と増加傾向にある。
 
 「東都みのり」は欠品が多いが、欠品相当分を「東都わかば」で代替することは行っていない。以前行ったアンケートでは、組合員も欠品だからといって「東都わかば」などにより代替することは望まないという結果であったため、欠品扱いとせざるを得ないところである。一方、有機野菜が予定より豊作で産地からの供給が増える場合等に「東都わかば」の価格をより安価に設定すると、需要を「東都わかば」から「東都みのり」にシフトさせることができることもあるという。
 
 有機野菜の取り扱い品目は、ほうれんそう、こまつな、ばれいしょ、たまねぎ、ブロッコリー等をはじめとする43品目に及んでいる。有機野菜の購買先についてはJAやさと、JA綾町(宮崎県)、さんぶ野菜ネットワーク(千葉県)、鹿児島農園、かごしま有機生産組合、大矢野有機農産物供給センター(熊本県)、ながさき南部生産組合、くらぶち草の会(群馬県)等の全国各地のJAと生産者グループが22産地あり、「無無」についても関東周辺を中心に6産地がある。


東都みのりボックス


(4) 有機野菜の流通と取引
  流通については、全国各産地からさいたま市南区にあり集荷から梱包までを行う東都生協産直青果センターに一元集荷された後、20か所の供給センターに分荷され、そこからさらに各班と各個人に届けられている。夕方までに産直青果センターに集荷された野菜は、供給センターを経て翌日には組合員に供給されている。
 
 東都生協は産地との直接取引を基本としている。取引において価格と数量がどのように調整されているのか述べたい。まずは東都生協と産地の双方が交渉し、計画的な仕入価格と仕入れ数量が策定される。この際、東都生協は、組合員への売価をいくらに設定するとどれだけの数量の注文が得られるかといった実績と仕入価格と売価のマージンを念頭に入れながら、一方、産地は産直青果センターまでの輸送費用、JA等の手数料、生産者手取り価格を考慮しながら、交渉に臨んでいる。この計画的な価格と数量は、組合員へ販売する前の6~7ヶ月前には決まっている。実際の需給変動も考慮した現実的な価格と数量は組合員への販売1ヶ月前に確定する。仕入価格と数量は産地によって異なるが、仕入価格が異なるのは産地の再生産を補償できるよう考慮するためでもある。東都生協は平均仕入価格をもとに各商品の売価を決定するが、各産地からの商品の売価は毎週組合員に配布されるカタログで確認できる。


東都センターに集約されたJAやさとからの
有機だいこん




東都センターに集約されたJAやさとからの
有機だいこん


 

4.野菜の小売価格分析
(1) 価格差
  ここで、野菜の有機品、特別栽培品(以下、「特栽」)、標準品、輸入品の小売価格を分析することにより、有機・特栽の特徴をみていきたい。表1は農林水産省『生鮮食料品価格・販売動向調査報告』の主要7都市平均の月別価格を分析した結果である。分析には年間を通して有機、特栽、標準、輸入のいずれの取り扱いも多い品目であるにんじん、ごぼう、ミニトマト、たまねぎを取り上げた。
 
 表1よりまず平均価格をみると、全ての品目において高いほうから有機、特栽、標準、輸入の順という結果が表れている。 価格差をみると、ミニトマトにおける有機-特栽間とたまねぎにおける標準-輸入間のように差がないという例外的な組み合わせもあるものの、有機-特栽間、特栽-標準間、標準-輸入間のほとんどで統計的に有意な差あり注2)(数値の右に*印が付されている)との結果となった。
 
 以上のことから、概ね国産品と輸入品の間で価格差別化が図られているといえよう。さらには国産品の中でも有機、特栽、標準の間でも同様のことがいえよう。

表1 小売価格の水準と平均の差


 


(2) 価格弾力性
  販売金額はいうまでもなく「単価×販売数量」であるため高価格化は、販売金額にプラスに作用する。しかしながら価格が高くなれば需要量(販売数量)は一般的には減少するため、価格上昇にともなう販売数量低下は販売金額にマイナスに作用する。したがって、このプラスとマイナスの大きさを比較することは販売金額の増大を解明するために有用である。

  このために需要の価格弾力性(需要量の変化率/価格の変化率)に着目し、計測した結果を表2~3に表す。なお、本分析のためには農林水産省『生鮮食料品価格・販売動向調査報告』の並列販売店舗における月別価格・販売数量を用いた。並列販売店舗とは例えば有機品と標準品を同時に並列して小売する販売店舗のことであり、このような店舗では両品の価格変化と数量変化の関係を勘案しながら価格を設定するものと考えられる。

  はじめに、表2を例に取り価格弾力性について説明する。表2におけるミニトマト有機品の価格弾力性は-0.17と計測されているが、これはミニトマト有機品の価格が1%上昇してもその需要量(販売数量)は0.17%しか減少しないことを意味する。したがって、価格上昇のプラス効果と販売数量のマイナス効果を比較すると価格上昇プラス効果の方が大きく、はじめに記述したように、「販売金額=単価×販売数量」であるから、この場合は価格を高く設定した方が小売店にとり得策である。一般的に価格弾力性が-1より大きい場合販売数量マイナス効果よりも価格上昇プラス効果の方が高くなる。

  そこで、表2及び3をみてみよう。有機品と標準品を同時に取り扱う小売店舗と特栽品と標準品を同時に取り扱う小売店舗におけるにんじん、たまねぎ、ごぼう、ミニトマトでは、この価格弾力性が-1より大きいもの(価格プラス効果の方が販売数量マイナス効果より高いもの)は、表2では有機品のごぼうとミニトマトの2品目、標準品のにんじんとたまねぎの2品目、表3では特栽品のにんじん、ごぼう、ミニトマトの3品目が挙げられ、標準品における価格弾力性が-1より大きいものはない。表1からみたように、価格は有機品-特栽品-標準品-輸入品の順となっており有機・特栽は高価格設定になっているものの、品目にもよるが、価格弾力性の観点からみれば、有機・特栽の高価格設定というのは小売店にとり有効策に繋がると考えられる。
 
 ただし、有機、特栽、標準、輸入品を同時に並列して取り扱う店舗が少ないこと、また、このような統計が集計されはじめたのが最近であるため時系列的な蓄積も少ないことから、以上の結果は小さなサンプルから得られたものであることに注意する必要がある。今後、サンプル数が増えると結果の精度も高まるであろう。小売店舗が有するPOSデータを利用したサンプル収集などが有効と考えられる。

注1)IFOAM(International Federation of Organic Agriculture Movements)『The World of Organic Agriculture 2006』による。
注2) 統計学においてその数値が十分信頼できるものである時、「統計的に有意な差あり」という表現を使う。例えば、表1における**は、サンプルの平均値が1%水準で有意差があることを示しているが、これは、あるサンプル群における差がないと仮定した場合、その差がないという確率は1%以下であるということであり、つまり、逆を返せば、99%は差があるという極めて信頼性が高い数値ということを意味する。

表2 有機品と標準品を同時に取り扱う
小売店舗での有機・標準品需要の価格弾力性

表3 特栽品と標準品を同時に取り扱う小売店舗での特栽・標準品需要の価格弾力性





5.おわりに
  最後にまとめとして、ともに販売金額を伸ばしてきているJAやさと及び東都生協双方の連携の中から有機栽培品の販売拡大が成立する条件を考えたい。

  第一は、有機を選好する消費者が多いことである。生協組合員はもともと安全や環境保全に関心の高い消費者が多いが、このような消費者が一般的に増えることが望まれる。安全・安心はもとより、有機品には、環境保全機能もあることを認識している消費者はまだ少ないのが現状である。

  第二は産地と生協が対抗するのではなく協調して、産地の希望価格と希望数量を実現できることである。価格分析により、有機品や特栽品の価格は、標準品より高く設定されていることが統計的にも明らかになった。作業コストが高い有機栽培では、産地は標準品と同価格で販売することは難しい。野菜の価格は、小売店等流通の川下側の取引交渉力に依存するところが大きいといわれる。東都生協の場合、産地の再生産を補償できるよう配慮した結果、現在のように産地の希望を実現している。価格弾力性を見た結果からは、品目にもよるが有機品や特栽品については、ある程度の高価格設定が小売店にも有効策となることが考えられることから、実は東都生協の販売戦略は的を得たものといえるのかもしれない。つまり、有機野菜の販売には、高価格戦略がマイナス効果になるとは限らないのである。

  第三は、双方が協力して継続的な取引関係を構築していくことである。農業全般にいえるが、特に有機の場合は販売数量の調整が難しい。不足した場合には有機生産の絶対量は少ないので、流通業者としては必要数量を調達することが困難である。一方、過剰の場合は、東都生協のような協調する販売先は少なく、産地は卸売市場に出荷せざるを得ない。市場を介した契約販売では有機の評価が高くなりつつあるが、一般の出荷ではそれ程の評価は得られていないのが現実である。産地は極力欠品を避けることを優先して行動するが、欠品となることもある。JAやさとと東都生協の関係では、たとえ欠品となったとしても次回の取引がなくなるわけではなかった。また、生協は商品として余剰品セットを企画し、産地での生産過剰を解決してもいた。そこには産地と実需者が協力しながら継続的な取引が構築されていたのであり、有機野菜のような商品の販売には、このような産地と実需者の関係が必要であろう。

  はじめに述べたように、食に対する安全・安心への消費者の関心が高まる中、昨年「有機農業推進に関する法律」も成立し、今後有機野菜に対する関心が高くなってくるものと考えられる。本稿がこれから有機栽培に取り組む産地・農業者、そして販売者への参考になることを期待する。


 

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