東京農業大学国際食料情報学部
教授 藤島 廣二
1.野菜取引に関する近年の変化と契約取引
過去20年ほどの野菜の取引状況を概観すると、様々な変化が認められる。そのうち主な変化を指摘すると、以下の3点が挙げられる。
その第1は、小売部門での量販店の伸長と食の外部化の進展とによって、卸売市場や産地から仕入れる主要業者が従来の一般小売店(八百屋、果物屋)から量販店および加工・業務用需要者に完全に交代してしまったことである。この結果、仕入業者(小売業者、加工・業務用需要者)側は野菜取引においても安定して数量を確保しうる仕組みの構築、あるいは価格の安定化を可能にするような仕組みの構築を強く求めるようになった。
第2は、1980年代後半以降における野菜輸入量の急速な増加によって、供給過剰傾向が強まったことである。これによって単に安値の期間が長くなったと言うだけでなく、わずかな豊作が暴落を引き起こす危険性が増した。それゆえ、生産・出荷者の中にも価格の安定化の仕組みづくりを求める声が高まった。
そして第3は、野菜についても残留農薬等の食の安全・安心に関わる問題が起きたことである。この問題を契機に野菜の安全性を重視する消費者が増え、小売業者等の仕入業者側もそれに応えるため、従来のような不特定の生産・出荷者ではなく、栽培方法等がわかっている特定の生産・出荷者との取引を推進する傾向が強まった。
こうした変化につれて、当然、従来とは異なる取引方法、すなわち契約取引(ないし契約的取引)を推進しようと言う気運が高まった。市場外流通での契約取引はもちろんであるが、市場流通においても、これまでの予約相対取引(卸売業者と仕入業者とが事前に契約する取引)よりもさらに進んだ契約取引が仕入業者と生産・出荷者の双方から強く求められるようになったのである。
今回、ここで取り上げる「Gルート販売」も、全国農業協同組合連合会群馬県本部(以下「JA全農ぐんま」という)が実践している、そうした卸売市場経由の契約取引の一つである。以下における「Gルート販売」の紹介と検討が、今後、卸売市場を通して加工・業務用需要者や量販店と契約取引を進めようと考えている産地、あるいは契約取引に関する情報を得ようとしている産地に何らかの参考になるならば幸いである。
2.JA全農ぐんまの「Gルート販売」の仕組み
(1)「Gルート販売」命名の由来
JA全農ぐんまが「Gルート販売」(契約取引)を始めたのは、今から10年ほど前であった。そのきっかけは、ある加工食品会社が餃子の具材として不可欠な野菜(キャベツ)の長期安定仕入を、JA全農ぐんま(当時はJA群馬経済連)に強く求めてきたことである。長期安定仕入であることから、取引に当たっては当然、品目・品種はもとより、規格、数量、価格(または値決め方法)、出荷時期などを決めなければならなかった。すなわち、契約取引でなければならなかったのである。
が、当時のJA群馬経済連は、この契約取引=「Gルート販売」を卸売市場経由で行うことにした。ちなみに、現在でも金額ベースでみると、「Gルート販売」の97~98%は卸売市場を通っている。卸売市場経由とした最大の理由は、販売代金の回収が迅速で確実なことである(市場流通では出荷後、5日間~10日間で代金を確実に回収できるのに対し、市場外流通では多くの場合、30日間~60日間を要する)。卸売市場を通さない場合には、何らかの方法で販売先の信用調査を行い、それに応じて保証金や前渡金を徴収しなければならず、代金回収のリスクだけでなく、それにかかわるコストも嵩む可能性が高いのである。
ただし、卸売市場経由とは言っても、「Gルート販売」は卸売市場における従来型の契約取引である予約相対取引とは異なっていた。最も大きな相違点は、予約相対取引の場合には小売業者等の仕入業者が明らかになるとは限らないのに対し、「Gルート販売」の場合は仕入業者が明らかとなり、単位農協と仕入業者との連絡を可能にしたことである(ただし、卸売市場経由の「Gルート販売」はJAと仕入業者との直接契約ではなく、卸売業者が仲介する間接契約である)。
すなわち、「Gルート販売」は卸売市場を経由する“いわば新型の契約取引”であった。それゆえ、JA群馬経済連は“新型”であることを強調するために、「Gunma(群馬)」の頭文字「G」を取って「Gルート販売」と命名した。
(2)取扱対象品目と取引件数
「Gルート販売」での取扱額は2005年度に92億円(野菜と果実の合計、ただし9割以上は野菜)と、90億円を超え、JA全農ぐんまの青果物取扱額全体の1割強に達した。現在では群馬県内の単位農協23JAのほとんどがこの販売方法を利用し、また販売先相手の数も100社を上回るほどに伸びた。
したがって、取扱品目は最初はキャベツだけであったが、徐々に増え、現在ではキャベツのほか、レタス、ほうれんそう、だいこん、トマト、きゅうり、たまねぎ、ねぎ、ウメ、スィートコーン、いちご、キウィフルーツ、等、少なくとも10品目以上が挙げられる。そして、これらのうちキャベツ、きゅうり、たまねぎ、ねぎの4品目は、例年、小売業者(量販店)と加工・業務用需要者の両方に販売され、残りの品目は通常は小売業者だけに販売されている。
データの関係で、それらのうち8品目だけについて、それぞれの販売先別(加工・業務用需用者と小売業者の2種類)取引件数をみると、2005年度は表1のような状況であった。ここでの件数は単位農協と販売先相手(個別会社)のいずれかが異なれば別の取引とし、また単位農協と販売先相手が同じ組み合わせであっても、取引時期等が異なれば、これも別の取引として計算している。それによれば、取引件数が最も多いキャベツの場合、加工・業務用需用者向けと小売業者向けを合計すると500件以上にのぼった(この年にGルートでキャベツを販売した単位農協は9JA)。
かくして、キャベツの場合は「Gルート販売」の割合がJA全農ぐんまのキャベツ総取扱額の20%(キャベツ販売額が最大のJA嬬恋村だけに限ると30%前後)近くに達しているものの、それ以外の品目はまだ10%以下にすぎない。
(3)取引ルートと契約内容
「Gルート販売」の販売先をみると、表1からも推測できるように、最近は加工・業務用需要者向けよりも小売業者(スーパー、生協等の量販店)向けが多い。しかし、この両者間で取引ルートや契約内容が大きく変わるということはない。それよりも、同じ量販店向けであったとしても、販売先相手の要望に応じて契約内容等の変更が行われることもある。
その取引における基本的なルートを簡単に示すと、「生産者→JA(単位農協・JA全農ぐんま)→卸売市場(卸売業者→仲卸業者)→仕入業者(小売業者、加工・業務用需要者)」であるが、中心的役割を果たしているのはJA全農ぐんまと卸売業者である。ただし、契約を締結する際、仕入業者側が単位農協を指定することも可能である。そうした指定を行う取引は、現在では「Gルート販売」全体の8割ほどにのぼる。しかも、中には特定農協のうちの特定地区(特定の生産者)まで指定する仕入業者も存在する。残りの2割は仕入業者側が特定の単位農協を指名しない場合であるが、これも契約締結時にはJA全農ぐんまの斡旋によって特定の単位農協との組み合わせが決まることになっている。なお、商流は卸売市場を経由するものの、物流は産地から仕入業者の集配センターに直送すると言う商物分離のルートも認められている。現在では、この商物分離型取引が「Gルート販売」の1~2割ほどになるとのことである。
また、取引に当たっての契約内容は毎年「販売促進企画」(契約書ではなく、契約内容を記したもので、契約書を毎年取り交わすわけではない)としてまとめられるが、その際の項目は表2にみるように比較的多岐にわたっている。しかも、その中の「取引計画」は特に細かい。すなわち、取引期間、取引数量(総数量と1日当たり数量)、取引規格(等階級、荷姿、等)、値決め方法(値決め期間、価格帯、等)、引渡方法(納品日、引渡場所)等について定めている。もちろん、ここでは主な点だけであるから、実際にはさらに詳細である。例えば荷姿と言っても、段ボール箱にするか、コンテナにするか、仮にコンテナにするとしたら、どの会社のコンテナにするか、どの程度の大きさにするか等々まで詰めることになる。
いずれにしても、「Gルート販売」のような契約取引を推進するためには、取引ルート、すなわち互いの取引相手や流通途中の担い手を特定化・明確化するのはもちろんのこと、きめ細かな取り決めが重要なのである。
3.「Gルート販売」取引方法の注目点
(1)詳細・柔軟な値決め方法
「Gルート販売」での実際の取引にかかわって特に注目しておくべき点を指摘しておくと、その一つはやはり値決め方法である。これについては、週間値決め(1週間ごとに日々の取引価格を一律に決めてしまう値決め方法)、月間値決め、年間値決め(シーズン値決めと同一)、あるいは市場価格連動値決め(取引価格を契約時に決めずに、取引日ごとに当日の市場価格と同じにすると言う決め方)と言った方法があるが、「Gルート販売」では主に週間値決めと年間値決めを採用している。もちろん、月間値決めや市場価格連動値決めも、取引相手の要望次第では採り入れることもある。通常、小売業者との取引においては市場価格を反映させるために週間値決めが一般的で、加工・業務用需用者との取引にあっては価格の長期的安定志向に対応して年間値決めがほとんどである。
週間値決めの場合、まず最初に、仕入業者の意を汲んだ卸売業者と、単位農協や生産者の意を汲んだJA全農ぐんまとの間で取引シーズン中の価格を一定の幅で決める。例えばキャベツの場合、1ケース(10kg)で700円から1,300円と言った価格帯を決める。ただし、毎年継続した取引の場合には、この価格帯は前年とほぼ同程度にするのが普通である。ちなみに、卸売業者は値決め方法や価格等をJA全農ぐんまと交渉して決めるが、当該農産物を自らが買い取ることはなく、委託品として受け取るのが普通で、買い取るのは仕入業者である小売業者または加工・業務用需要者である。
次に、毎週の価格を最終的に決定・施行するための手続きとして、価格決定の曜日とその施行の曜日を決める。ある量販店との取引では、木曜日が週間価格の決定日であり、当該価格を実施する初日は月曜日である。もちろん、木曜日や月曜日にこだわる必要はない。週間値決めの眼目は、改めて言うまでもなく、市場価格の変化を反映させつつも、取引価格を極力安定化することにある。
週間値決めの要点は上記の2点と、取引シーズン中の実際の週間価格の決定であるが、これら以外で価格にかかわる重要事項も少なくない。例えば、コンテナ(通い箱)を利用する場合には、その利用料(回収費用)も決めなければならないし、商物分離取引の場合には運賃を出荷側で負担するか、仕入れ側で負担するかについても決めなければならない。
また、年間値決めの場合は、卸売業者が仲立ちとなって、加工業者(または業務用需要者、小売業者)とJA全農ぐんま・単位農協の間で、通常、播種前に価格に関する交渉を行い、取引シーズン中の価格を設定する。例えば加工用キャベツの場合、出荷シ-ズンは6月からであるが、それよりも3~4ヵ月以上も早い播種前の冬場に価格を交渉し、年間価格を決定している。ただし、決定する価格は必ずしも一本だけではない。加工用キャベツの場合は1玉1kg以上の中玉であれば55円/kg、2kg前後の大玉であれば65円/kg、と言った複数の価格を決めることが多い。あるいは、決定した価格がセリ等で決まる市場価格と±20%以上もかけ離れた時には、再協議することを条件とすることもある。
このように、「Gルート販売」の場合、値決めに際して詳細な取り決めがなされていると言うだけでなく、市場経由の契約取引であるにもかかわらず、複数の値決めを行ったり、価格帯を設けたり、あるいは再協議をも可能にするなど、柔軟な仕組みも取り入れているのである。
(2)一定割合にとどめる契約量
もうひとつの注目点は、取引数量に関するものである。これについてもJA全農ぐんま・単位農協と卸売業者・仕入業者とが相談して日々取引する数量まで決めるなど、実にきめ細かな活動が行われているが、特に注目したいのは、そのことではなく、生産者・JAが、あるいは仕入業者側が総取引量のうちのどの程度を「Gルート販売」で取引しているか、または取引するつもりがあるかである。
生産者・JAの場合、既に述べたように、JA全農ぐんまの青果物総販売額に占める「Gルート販売」の比率は、現時点では1割強程度である。また、品目別にみるとキャベツが20%弱で、それ以外の品目は10%以下にすぎない。単位農協別にみても、最も比率が高いのはJA嬬恋村のキャベツで30%前後である。
JA全農ぐんまの担当者は「Gルート販売」の重要性を認め、その販売高が今後も増えることを予想しつつも、すべての取引を「Gルート販売」に転換することは不可能であり、その適切な比率は3割程度であろうと判断している。そう判断する最大の根拠は、欠品時の責任を産地が負わねばならないため(卸売業者は日々の取引量の微調整を担っているが、取引量の大幅な減少に対する責任を負うことはない)、不作や自然災害による収量の減少を考慮すると、平年作の3割程度までが安心して契約できる範囲だと言うことである。ちなみに、ある品目の予定収穫量の全量を「Gルート販売」等の方法で契約し、台風によって収穫量が予定の半分になったとすると、その半分を契約価格で出荷し(市場価格が契約価格の数倍に暴騰しているとしても)、出荷できなかった残りの半分については違約金を支払うことになるかも知れないのである。
一方、仕入業者の場合、「Gルート販売」等の契約取引に対する期待度は大きく、青果物仕入の中での契約取引比率を高めつつあるところが多い。中には、特定の品目で、かつ時期を限るならば、100%が契約取引と言う業者も存在する。事実、ある量販店チェーンでは特定の地区の店舗については、7月から9月までの間、キャベツはすべて「Gルート販売」を通して仕入れているとのことであった。
しかし、小売業者であれ、加工・業務用需要者であれ、例外的なケースを除くと、すべてを「Gルート販売」等の契約取引で仕入れることはない。小売業者の多くは青果物総仕入額の数%、契約仕入に非常に熱心な小売業者でさえ半分程度、また加工・業務用需要者の場合は20~50%の範囲とのことである。その最大の理由は、豊作によって市場価格が下落した時、店舗に契約価格の商品を並べても、契約価格に基づく小売価格では高すぎて売れなくなってしまうことである。なお、キャベツであれ、トマトであれ、売れ残りが1個でると、その損失をカバーするために5~8個分の販売利潤が必要になると言われているように、売れ残りは小売業者や加工・業務用需要者にとって大問題なのである。
今後、「Gルート販売」等の契約取引の割合が30%を超えるか、50%を超えるかは定かでないものの、生産・出荷者が、あるいは仕入業者がすべてを契約取引で売買することは、決してあり得ないとみて間違いないであろう。
4.「Gルート販売」のメリットと今後の展開方向
以上、「Gルート販売」について、その契約内容や注目点等を整理した。最後に、この整理を基に、「Gルート販売」(卸売市場経由型契約取引)のメリットと今後の展開方向について述べることにしたい。
(1)生産・出荷者側からみた「Gルート販売」のメリット
「Gルート販売」のメリットには生産者・JA側からみたメリットと仕入業者側からみたメリットとがあるが、両者は必ずしも明確に区分できるものではなく、また区分しなければならないものでもない。それゆえ、ここでは主に生産者・JA側からみたメリットを3点ほど指摘したい。
第1にして最大のメリットは、卸売市場の卸売業者が生産・出荷者側に販売代金を支払うため、代金回収が早く、確実なことである。
既述のように、卸売市場を介した契約取引の場合、代金回収に要する日にちは通常、5日間~10日間である。これに対し、生産者・JAと仕入業者(小売業者、加工・業務用需要者)が直接に契約取引を行うと、代金回収に要する期間は30日間~60日間になる。しかも、期間が長くなればなるほど利子の問題も大きくなるが、それ以上に大きな問題は焦げ付く可能性が高まることである。それゆえ、卸売市場を通さないとなると、当然、販売先の信用調査が必要になるし、保証金や前渡金の確保も必要になる(「Gルート販売」であっても卸売市場を経由しない場合は、想定される最大債権額に相当する保証金を確保しなければならない)。ちなみに、卸売市場を介した契約取引では、仕入業者の仕入代金の支払いが30日~60日後のままであっても、卸売業者が5日~10日以内に出荷者に支払うため、仕入業者がJA等に保証金や前渡金を渡す必要はなく、仕入業者にとってもメリットは小さくない。
ただし、卸売市場を通すとなると生産・出荷者側は卸売業者に卸売手数料を支払わなければならないから、場合によってはメリットが極めて小さくなることも考えられる。
第2のメリットは、細かな契約内容を詰めるための基本的な部分の取り決めは卸売市場とJA全農ぐんまが行い、最終判断を単位農協・生産者が行えば良いことである。
契約取引の場合、既に述べたような詳細な取り決めをしなければならない。それゆえ、契約取引に慣れていない生産者や単位農協職員が最初から交渉することになると、多くの時間をかけねばならない。その点、卸売業者とJA全農ぐんまに基本的な部分を詰めもらうだけでも、交渉の円滑度はまったく違ってくる。
また、仕入業者側にしてみれば、自らの店舗等の状況に合わせて、細かな要求を卸売市場に伝えておけば、卸売市場がJA全農ぐんまとの交渉においてその要求に応じた調整を行ってくれると言うメリットもある。
そして第3のメリットは、価格決定における柔軟性を確保できることである。
契約取引のそもそものメリットは価格を固定することによって販売額や仕入額を前もって予想可能にすることであるが、その固定の程度が強すぎると、生産・出荷者側か仕入業者側のいずれかの負担が大きくなるため契約取引は長続きしない。それゆえ、価格についてはある程度の柔軟性が必要になるが、その必要性を理解していたとしても、利害が反する当事者どうしが直接に交渉するのでは、一度決めた価格を変えることは極めて難しい。ところが、卸売市場を経由する場合は、卸売業者や仲卸業者が緩衝材の役割を果たすことができ、価格の変更も比較的スムーズに行うことができるのである。
(2)「Gルート販売」の今後の展開方向
上述のメリットから考えると、「Gルート販売」(卸売市場経由型契約取引)はますます大きく伸びるとみて間違いないであろう。しかし、「Gルート販売」に限らず、契約取引一般が先の30%や50%と言った一定割合にとどまらざるを得ない理由等を考慮するならば、「Gルート販売」が他の取引方法に全面的に取って代わるかたちで伸びるとは考え難い。
したがって、「Gルート販売」が今後伸びるとすると、その展開方向として考えられるのは、取扱品目の多様化の方向である。
既にみたように「Gルート販売」の場合、キャベツから始まったものの、現在では10以上の品目がその対象となっている。このように品目数が増えたのは仕入業者側からの要望によるものであるが、JAや生産者の営業活動次第で、この品目数はさらに増える可能性が大きい。しかも、それぞれの品目の「Gルート販売」比率を高めるための営業活動も行うならば、仮に30%が上限としても、多くの品目が30%に近づき、総体として「Gルート販売」での取扱量(または取扱額)は顕著に増加することになろう。
もちろん、30%や50%は不変数ではない。不作時等の生産者の収入を保証する仕組みや、価格高騰時における仕入業者の損失を補償する仕組み、例えば農畜産業振興機構における契約野菜安定供給制度を利用するなどの工夫をすることでその割合を高めることが可能であると思われる。そうすれば、この比率を高める方向での「Gルート販売」の発展もありえよう。
なお、ここでは「Gルート販売」と言うことで群馬県にこだわって論じてきたが、そのメリットの大きさを考えると、今後、群馬県以外でも卸売市場経由の契約取引が伸びる可能性も高いと思われる。