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産地紹介 野菜情報 2026年9月号

千葉県 JA富里市 鮮やかな色と甘みのある「富里にんじん」

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富里市農業協同組合 営農部営農指導課 相川 康行
タイトル横 野菜写真

1 産地の概要

 富里市は、千葉県北東部の北総台地のほぼ中央に位置し、都心から約50~60キロメートル圏、成田空港から西へ約6キロメートルの位置にある(図)。標高はおおむね40~50メートルで、県内でも内陸部に位置することから、昼夜の寒暖差が大きい。総耕地面積2380ヘクタールのうち、水田が約1割、畑地が約9割を占める畑作地域である。火山灰土壌を生かし、すいか、にんじん、ばれいしょ、さといも、ねぎ、落花生、葉物野菜など多種多様な農作物を生産している。

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 富里市は明治22年に「富里村」となって以降、昭和60年の町制施行による「富里町」を経て、平成14年に市政を施行し「富里市」となった、市町村合併を経験していない市である。富里市農業協同組合(以下「JA富里市」という)も、昭和23年の発足以来合併はしておらず、1市1JAとして事業を展開している。富里市は、すいかの産地としても有名で、「富里スイカ」は地域団体商標(注)に登録されており、毎年6月には「富里スイカロードレース大会」や「富里市すいかまつり」などのイベントが開催され、多くの人でにぎわう。
(注)地域の産品などについて「地域ブランド」として用いられることが多い地域の名称および商品の名称を登録された商標。
 
 JA富里市の令和7年度における販売実績は86億4000万円であり、そのうちすいか・にんじん・トマト・だいこんなどをはじめとする野菜・果実類の販売実績は、全体の44%に当たる37億6000万円となっている(表1)。JA富里市人参部会の部会員数は306人、作付面積は約500ヘクタールである。令和7年度の販売金額は23億円で、出荷量は121万ケースとなっている。

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 産地の歴史を見ると、昭和50年代に、にんじんの需要増加と価格の安定を背景として、作付面積が急速に拡大し、それまで秋冬作の中心であった、はくさいやだいこんに代わり、秋冬にんじんが主力品目として定着した。昭和55年には、富里地区が冬にんじんの国の指定産地となり、その後、にんじん収穫機の普及などにより、さらに作付けが拡大した。

2 生産・栽培上の特色

 富里地区では、春作としてすいか、ばれいしょ、スイートコーンなどを作付けし、その後作として秋冬にんじんを栽培している(表2)。播種(はしゅ)に始まり、土寄せ、防除、収穫、洗浄、選別に至るまでの機械化一貫体系が確立されており、1戸当たりの平均栽培面積は1.6ヘクタールとなっている。

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 秋冬にんじんは、7月中旬に土壌消毒などの圃場(ほじょう)準備を行い、7月下旬から8月中旬にかけて播種する。近年は、気候の温暖化に伴って播種時期が遅くなる傾向にあり、8月上旬から中旬にかけての播種が最も多くなっている。播種にはコート種子と播種機を使用し、間引きの省力化を図っている。コート種子は、発芽の際に十分な水分を必要とするため、降雨がない場合には、かん水チューブを用いてかん水を行い、発芽を均一にそろえることが重要となる。近年は、播種・発芽期が猛暑や干ばつの時期と重なることが多いため、発芽後も生育状況や土壌水分を確認しながら、適切にかん水を行う必要がある。
 肥料には有機配合肥料を使用している。堆肥はすいかなどの前作時に施用するが、にんじん作付け直前には施用しない。これは、にんじんの作付け直前に未熟な堆肥や未分解の有機物を施用すると、岐根などの障害や品質低下につながる恐れがあるためである。
 収穫は、にんじん収穫機(キャロベスタ)を用いて行う(写真1)。近年は、収穫作業の省力化を図るため、コンテナによる収穫からフレキシブルコンテナ(フレコン)による収穫へ移行する生産者が増えている。にんじん収穫機は、地上部の葉をつかんで引き抜いて収穫するため、年明け以降、寒さによって葉が枯れてしまうと、使用が難しくなり、葉が枯れていても収穫が可能な汎用収穫機などによる収穫が必要となる。このため、年明けに収穫する作型には「冬ちあき」(タキイ種苗)など、地上部の耐寒性に優れた品種を選定している。また、しみ腐症が発生すると、選別作業の負担が増加するため、「ベータ-441」(サカタのタネ)など、しみ腐症に強い品種を選定している。なお、JA富里市には大型の共同選果場がないため、収穫後の洗浄、選別、箱詰めは各生産者が行っている(写真2)。
 秋冬にんじんのほか、12月下旬から翌2月にかけてハウスまたはトンネルに播種し、5月中旬から6月に収穫する春夏どりの作型も行われている。春夏どりの作付面積は、約20ヘクタールとなっている。

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3 出荷の工夫

 出荷に当たっては、各生産者が収穫、洗浄、選別、箱詰めまでを行い、管内に設置された大小8カ所の集荷場へ搬入する。生産者間で選果基準を統一するため、出荷開始時期に合わせて査定会を開催し、正品・A品・C品・規格外などの規格区分を確認している(写真3)。

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 また、各集荷場の支部には、支部長のほかに検査長がおり、定期的にJA職員とともに集荷場を巡回し、出荷されたにんじんの箱の開封検査を行うことで、品質および選果基準の統一を図っている(写真4)。
 なお、物流の「2024年問題」への対応として、出荷用パレットには、日本で最も標準的に使用され、トラックの荷台に無駄なく2列で収まるサイズ(縦×横1.1メートル四方)で、国内の共同配送や保管の効率化に最適とされる11型パレットを使用している(写真5)。集荷から輸送まで同一のパレットを使用することで、積み替え作業を減らし、運転手の負担軽減と輸送費のコスト上昇の抑制につなげている。

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4 販売戦略

 販売先については、市場出荷を基本としつつ、量販店向けの直接取引も行っている。形状不良のC品については、加工用としてネットまたはコンテナに入れて集荷し、主にジュース原料向けに出荷している。
 また、飲料メーカーとの契約により、指定された専用種子を使用して加工用にんじんを栽培し、契約面積に応じて全量を買い取ってもらう面積契約にも取り組んでいる。

◆一言アピール◆

 冬にんじん生産量日本一を誇る「富里にんじん」は、北総台地の火山灰土で育まれた、鮮やかな色合いと豊かな甘みが特徴です。生のままスティックで味わうのはもちろん、にんじんジュースやポタージュにもおすすめです。カロテンをはじめとする栄養を豊富に含んだ「富里にんじん」を、ぜひご賞味ください。
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◆お問い合わせ先◆

担当部署:富里市農業協同組合 営農部販売課
住  所:千葉県富里市七栄652-225
電話番号:0476-93-5652
FAX番号:0476-92-0225
ホームページ:https://www.ja-tomisato.or.jp