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産地紹介 野菜情報 2026年8月号

石川県 JA金沢市 生産者一丸となって、おいしい「金沢すいか」作りを目指します

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金沢市農業協同組合 営農経済部 園芸販売課 新田 恭平
タイトル横 野菜写真

1 産地の概要

 金沢市農業協同組合(以下「JA金沢市」という)は、南北に長い石川県のほぼ中央に位置する金沢市を管内とし、霊峰白山に連なる山間の丘陵地帯、日本海に流れる(さい)川、浅野川の扇状地に広がる平野部、日本海に面した砂丘地帯と、それぞれ土壌条件が異なる農地で多彩な農産物が生産されている。金沢市西部の日本海に面する砂丘地帯には、古くから野菜園芸産地が形成されており、すいか、だいこん、トマト、きゅうりのほか、五郎島金時(かんしょ)や源助だいこん、加賀太きゅうり、打木赤皮かぼちゃなど加賀野菜(注1)の主産地でもある。
 今回は、砂丘地帯の中でも打木・下安原地区からなる南部地区と、粟崎・大野地区からなる北部地区の農家で構成される砂丘地集出荷場西瓜部会(以下「部会」という)が生産する「金沢すいか」について紹介する(図1、2)。
(注1)昭和20年以前から栽培され、現在も主として金沢で栽培されている野菜。金沢市農産物ブランド協会より、15品目が認定されている。





 
 金沢市で初めてすいかが栽培されたのは、明治初期である。砂土(さど)であるため、農業に不向きな不毛の地といわれていたが、昭和30年代に春夏の表作にすいか、夏秋の後作にだいこんの露地栽培の栽培体系が確立し、40年代に灌漑(かんがい)施設や集出荷場が建設整備されたことで飛躍的に栽培面積が増え、ハウスや大型トンネルによって出荷の前進化や品質向上が図られ、すいか栽培が広がり盛んになった。
 水はけの良い砂土ならではの特徴は、砂の温度が早朝に最も冷え、昼間は熱くなり、夜にかけ、また冷えることである。この昼夜の寒暖差の繰り返しにより、糖度が高くなり、「金沢すいか」の歯ざわりの良いシャリ感と甘さを生んでいる。また、平成22年度に金沢市農産物ブランド協会の「金沢そだち(注2)」に認証されたほか、産地全体で出荷前から自主的に農薬検査を行うなど、安全・安心でおいしいすいか生産に取り組んでいる。
(注2)「加賀野菜」以外に、金沢の風土を活かして生産された、優れた品質や豊富な生産量を誇る多くの農産物があり、その農産物の中で一定の条件を満たすものが「金沢そだち」として認証されている。

2 産地、栽培の概要

(1)新規就農で若手が多数
 表に産地概要を示す。部会の生産者の平均年齢は49歳で、親元就農する若手生産者が比較的多く、この10年間で15人が就農した。このように若手が「農家を継ぎたい」と思える理由がいくつか挙げられる(写真1)。

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 第一に、部会の1経営体当たりの平均農業所得は1500万円となっており、「稼げる」ことが、事業承継後の経済的安心感につながっている点である。第二に、若手に任せる風土がある点である。部会の一員として、産地の販売戦略や計画出荷の重要性・実践方法などの理解を図るため、就農したての後継者でも部会役員に抜擢するという風土がある。早い段階から部会運営に携わり、個々の経営だけでなく、部会という一つのチームで全国各地の市場に売り込みをかけることなどを通じ、農業経営者としての意識向上が醸成されている。それらを経験した若手部会員は、生産にますます意欲的になる。第三に、地域の後継者世代同士のつながりが新規就農への好循環を生んでいる点である。若手の部会員の多くは、町内会や消防団などの地域活動に参加しており、他産業に従事する若い人たちと交流する機会がある。そのような集まりで、若手部会員同士が交わす熱い農業の話を、親元就農していない他産業勤めの後継者候補が見聞きし、農業に魅力を感じ、自然と就農に興味を示す。このような好循環が、産地を次世代につないでいく潤滑油となっている。
 
(2)栽培面に関する見直し
 現在のように、部会の平均農業所得が1500万円を超える産地に成長するまでには、部会存続の危機にさらされたこともあった。20年ほど前の平成15年、その前年の冷夏の影響により品質が振るわず、市場関係者からの評価が下がり、例年10億円前後の販売額を維持していたところから、5億円台に急落してしまった。危機感を感じた部会は、これを機に品種や栽培方法など各方面の見直しに取り組み始めた。
 
ア 品種の見直しと計画生産
 まず、品種の見直しを行った。市場が求めるすいかは、甘みと水分のバランスが良く、果肉が柔らかすぎずシャリ感があるものだった。そこで、大玉向きで地域の特性に適した品種として、「祭りばやしNK」を独自開発した。
 また、6月上旬から7月下旬まで切れ目なく出荷するため、この祭りばやしNKをメイン品種とし、その他の品種も加え、栽培方法や定植時期などを組み合わせ、作型を九つに細分化して栽培カレンダーを作成した(図3)。このカレンダーを基に、全生産者に作付け割合を順守するよう求め、計画生産を行っている。

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イ 振り分け整枝栽培技術の導入による大玉比率の向上
 平成15年以降、部会は市場出荷に加え、量販店への契約出荷の強化も始めていた。この契約販売に当たり、量販店と情報交換する中で、カットすいかのニーズが高まっていることを把握した。このニーズに応えるためには、2L、3Lサイズの大玉を安定的に生産する必要がある。従来、部会で行ってきた栽培方法は、「多づる栽培」というつるの誘引が不要で栽培管理を省力化できるものであった(写真2)。しかし、この栽培方法は、つるが交差して葉が茂るため、どのつるにいくつ着果しているかを把握しづらく、また、玉の数にばらつきがあるため、大玉を安定して生産することができないという課題があった。そこで、部会では、石川県農林総合研究センターで開発された「振り分け整枝栽培」技術に着目した(写真3)。この方法は、すいかを千鳥植え(株を互い違いに配置すること)に定植して条ごとに同じ方向につるをまとめて誘引する方法であり、株当たりの着果数と着果位置を容易に把握することができる。幾度もの現地実証を経て、適合する技術に昇華し、効果を確認してから導入した。また、よりおいしいすいかを出荷するために、交配した日を木札に記し、「着果標識(着果日を示す目印、写真4)」として()場に掲示するよう徹底している。これにより、交配日を基準として計算した目安となる出荷予定日や、圃場の生育状態をより正確に把握できるようになった。
 これらを全生産者に普及することにより、平成15年までは40~60%だった大玉比率が、この取り組み以降は65~80%まで大きく向上した。

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3 出荷の工夫(加工・業務用も含む)

(1)圃場での出荷前検査の実施
 従来は、各生産者が1玉選んだすいかを出荷前日に集荷施設へ持ち込み、玉の状態や糖度を検査し、基準をクリアしていれば翌日の出荷ができるルールであったが、品質のばらつきが目立っていた。基準に満たない部会員の圃場の事後確認は行っていたが、近年は、品質管理向上のために部会役員が収穫前の圃場に行き、生育状況や圃場の状態を確認しながら検査を行うことによって、品質がより安定した。また、この圃場確認に若手部会員が同行することで、彼らの技術力の向上にもつながっている(写真5)。

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(2)出荷時期の調整
 このように、品質管理を徹底し、さらに出荷日予測棒(着果棒)(注3)を活用することで高精度な計画出荷を実現し、量販店からの信頼も獲得している(写真6)。部会では、販売計画から逆算して生産計画を立案しているものの、農業は自然相手のため、気候の影響で出荷時期がずれることがある。これにより需給バランスが崩れると、販売単価が下がる恐れがあるため、柔軟な対応が必要である。この対応は、JA金沢市と部会が連携して行っている。収穫は開花後40日後という定石はあるが、部会役員20人が週に2回試し切りをし、試食を行って「見た目・糖度・食感」を役員全員で確かめた上で最終的な出荷時期を判断する(写真7)。これにより、出荷計画と見比べながら、高品質な大玉すいかを出荷している。また、市場側の需要を踏まえながら、翌週の出荷量を決めていく。
(注3)出荷日予測棒は、交配(受粉)日や収穫目安日を管理するために圃場の株元に立てる目印棒のこと。交配日ごとに色を変えることで、収穫時期をひと目で把握でき、効率的な計画出荷が可能になる。

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4 販売戦略

 高品質なすいかを栽培する生産者に応えるためにも、JA金沢市は、販売を担う立場として、以下の販売戦略に取り組んだ。
(1)ブランディング
 当初は、「石川すいか」という名称で販売していたが、市場での競争力強化のため「金沢すいか」に名称変更した(写真8)。また、生産者自らが自信を持って出荷できるよう、個人名を記したラベルシールを貼っている(写真9)。段ボール箱も、女性生産者の提案で親しみやすいロゴに刷新するなど、パッケージや販促物、ノベルティなどのデザインやキャッチコピーにもこだわっている。

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(2)ターゲットの明確化
 「販売力のある量販店」を主要顧客のターゲットの一つとし、販売先を卸売市場だけでなく、量販店にも拡大することとした。
 また、女性生産者がデザインした金沢弁を活用した販売促進グッズを持ち、若手生産者が自ら商談やイベントに参加し、「金沢すいか」のファンを増やしている(写真10)。また、バイヤーとの産地交流や、生産者による店舗販促(写真11)、量販店でのトラックセール(写真12)などの集客企画を実施し、これらが功を奏し、取引量販店が増え、その数は12社から29社へと大幅に拡大した。

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◆一言アピール◆

「すいかと言えば、『金沢すいか』」と消費者に指名してもらえるように、「感動する味」のすいか生産を目指します。ぜひご賞味ください!!

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◆お問い合わせ先◆

担当部署:JA金沢市 営農経済部 園芸販売課
住  所:石川県金沢市松寺町未59-1
電話番号:076-237-3945
FAX番号:076-237-0015
ホームページ:https://www.ja-kanazawashi.or.jp