部会では、主要15品種を中心にリレー栽培し、秋冬から春まで切れ目なく長期どりを実践している(表3)。
1月定植などの厳寒期の作型において、マルチ被覆やべたがけ資材を活用することにより、4月の端境期に出荷できるようにしている。
マルチについては、すきこみ後、土壌中の微生物と加水分解によって水と炭酸ガスになる生分解性マルチフィルムを使用している。既存の農業用ビニールを使用すると、片付けにかかる労働力と廃棄費用を要するため、生分解性マルチを導入することは、省力化と経費の削減につながる。
雲仙市は中山間地であり、梅雨期や夏季の大雨により畑地からの土壌が流亡するため、カバークロップ(緑肥作物)の栽培を行い、表土の流出対策や土作りを行っている(写真1)。緑肥は主にソルガムを使用している。そのほか根こぶ病の蔓延している
圃場は、おとり大根(根こぶ病に抵抗性があり、植付けにより根こぶ病まん延の抑制につながる)を作付けしたり、近年では、肥料が高騰しているため、減肥を目的とし、マメ科緑肥のクロタラリアも導入するなどしている。また、緑肥には、土壌流亡対策のほか肥料分の供給や物理性の改善、
硬盤破砕や病害虫対策など、さまざまな効果が期待できるため、目的に応じた緑肥の栽培を行い、地形や気候に合わせた対策や土壌改善を行っている。
播種 は7月から始まり、緑肥を細断後、本圃の準備を行う。播種はセルトレイの128穴を使用する。培土はN100を用い、覆土は根張りの向上、茎・葉の堅強、
徒長防止のために、ケイ酸・カルシウム資材を使用している。育苗は、無加温ハウス内で管理し、夏の高温期にはハウス内の上部に遮光資材を設置して温度が上がりすぎないようにする。育苗箱を並べる際には、台の上にエキスパンドメタル(金属材に千鳥状の切れ目を入れながら引き伸ばし、菱形や亀甲形の網目状に加工したもの)や鉄パイプを設置し排水や風通しを良くする(写真2)。
本圃については、作付けは排水が良い圃場を選定するが、排水が悪い圃場や水田での作付けをすることもあるので、そのような場合は
明渠や補助
暗渠などを施工して排水対策を行う。基本的には定植前日に、平高成型同時施肥機で元肥施肥と
畝たてを同時に行う(写真3)。元肥についてはサンソワーで側条施肥を行い、肥料の吸収効率を上げることで減肥ができ、コストの削減につながる。
定植は、本葉が2.5~3枚程度になったら行う。定植前日から当日に殺虫剤と黒すす病薬剤の
灌注処理を行う。
春作は定植後、不織布を用いてべたがけを行う(写真4)。不織布が風で舞うことがないようにピンでとめる。定植直後にべた
掛けを開始し、花蕾が出蕾し2センチメートル程度のころに撤去する。定植後は、根の活着促進のためかん水を行い、活着後は追肥と中耕を行う。追肥は、年内どりは定植から20日後に中耕と同時に1回のみ、年明けどりは定植から20~30日後に1回目の追肥、2回目は生育状況や天候に応じて行うが、基本的には1回目の追肥から1カ月程度で行う。水田裏作では場合によっては3回目の追肥を行う。
ブロッコリー栽培において、病害虫防除は重要な作業である。秋冬作はチョウ目害虫、黒すす病、黒腐病、菌核病を中心に防除を行う。春作についてはチョウ目害虫、アブラムシ類、黒すす病、軟腐病を中心に防除を行う。近年、黒すす病の発生が多くなっており暖冬年は冬作も黒すす病の発生が見受けられるため、シーズンを通して黒すす病の防除は行う。また、薬剤抵抗性を持たせないために、同じ系統の薬剤を散布しないよう防除体系を組んでいる。
定植後、60~120日(収穫日数は時期・品種で異なる)で収穫開始となる。収穫はLサイズ(12~14センチメートル)になったものを拾いどりするため、同じ圃場で何回も収穫作業を行う必要がある。秋作や春作の高温期は、1週間~10日ほどで収穫できるが、厳寒期は1~1.5か月程収穫にかかる。収穫は包丁で茎の下から切り、その後、外葉を切り取り、花蕾の先端から16センチメートル未満の長さにそろえるよう茎をもう一度切る(写真5)。
収穫したブロッコリーは、出荷用コンテナに入れ選果場へ持ち込む。出荷用コンテナは20キログラムコンテナのほか、軽トラックに合うよう作成したブロッコリー専用の木枠(写真6)を使用している。
収穫後は、JA島原雲仙に持ち込み、JAの選果場(または予冷庫)で一晩予冷を行う。翌日に選別・氷詰めを行い、市場へ出荷する。