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産地紹介 野菜情報 2026年3月号

島根県 JAしまね 時代は「ばけばけ」ても化けない熱意! JAしまねの「くにびきキャベツ」

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島根県農業協同組合 米穀園芸部 園芸販売課 佐藤 卓哉
タイトル横 野菜写真

1 産地の概要

 島根県は、東部の出雲地域と西部の(いわ)()地域、島々からなる()()地域の三つの地域で構成され、県域の東端から西端までの距離が約230キロメートルと東西に長いことが特徴である。島根県域は平地が少なく、約90%が山地、丘陵地で占められており、北部は日本海に面し、県の東側から南の県境には中国山地が連なっている(図1)。
 島根県農業協同組合(以下「JAしまね」という)は、平成27年3月に県内の11JAと県域連合組織の一部を統合して、1県1JAとして発足した。日本海側気候による豊富な水源と中山間地域が多い地形的特徴を活かしつつ、多種多様な品目の生産に取り組んでいる。野菜については、キャベツ、たまねぎ、白ねぎ、ブロッコリー、アスパラガス、ミニトマトを中心に、産地拡大や周年出荷を目標に県内全域で生産振興を行っている。中でもキャベツは、島根県全域で栽培され、年間を通じて出荷している。島根県産の主となる冬キャベツは、松江地域を中心に盛んに生産され、松江市および出雲市のうち旧菱川町区域(()(かわ)(なか)(うみ))は、国の指定産地となっている。
 
タイトル: p059b
 

2 中海干拓でのキャベツ栽培の歴史

 松江市は、島根県の東部に位置し、国宝の松江城や明治時代の文豪として知られ、現在NHKの朝ドラ「ばけばけ」のモデルとなっている小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)のゆかりの地として有名なほか、(しん)()()(なか)(うみ)という()()(かわ)からの淡水と日本海からの海水が混じり合った豊かな連結汽水湖があるなど、昔から水との関わりが深く、水の都とも呼ばれている。
 松江市内でも特にキャベツの栽培が盛んなのが、中海に面している中海干拓()()地区(以下「中海干拓地」という)であり、JAしまねが出荷するキャベツの約5割がこの産地で栽培されている。中海干拓地は、昭和38年より国営事業として中海の一部を堤防で締め切って造成され、農地(畑)が造られた。当初は米を増産するために計画されていたが、食生活の欧米化など時代とともに米の需要が減ってきたため、栽培品目を野菜などに変更し、平成元年の事業完了とともに営農が開始された。中海干拓地は中海の一部を干し上げて(堤防を先に造り中の水を抜く)造られたため、()場に貝殻が存在するなど、土壌にミネラルが豊富であることが特徴で、その土壌で栽培されるキャベツは適度な歯ごたえがあり、みずみずしさと甘みのあるものが出来上がる。
 この中海干拓地は、JAしまねくにびき地区本部の管内にあり、くにびきキャベツ部会が中心となってキャベツ生産を行っている(写真1、2)。部会員数は47人、平均年齢は58歳となっており、若い生産者も多く、活気ある活動をしている。秋冬から春にかけて出荷があり、生産の主体となる秋冬キャベツは、出荷時期をずらすため8品種以上作付けしており、早い品種では10月から出荷が始まり、翌年の4月末まで長期間にわたり作業が続いていく(表、写真3)。
 
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3 くにびきキャベツ部会での活動

 くにびきキャベツ部会は、高品質なキャベツを生産するために、定期総会や出荷目合わせ会に合わせて栽培や出荷に関する研修会を開催しているのに加え、減農薬のため、圃場内の害虫防除には環境への影響がないフェロモン剤を使用し、土壌や農薬に関する講習会を開催するなど、1年を通じてさまざまな活動を行っている。
 また、平成20年から安全性やイメージを高め、信頼される産地となることを目的に、部会員一丸となってGAP(農業生産工程管理)に取り組んでいる。例えば、部会員一人一人の意識向上を図るために、部会員から内部審査員(GAP推進委員)を選定し、現地研修会実施に向けたGAPモデル農場を整備している。そして、そのモデル農場を活用して、部会員全員を対象とした研修会を定期的に開催するなど、GAP認証を維持するためのさまざまな活動に熱心に取り組んでいる(写真4、5)。
 
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 こうした部会員の努力の積み重ねにより、令和5年には国際水準GAPガイドラインに準拠した島根県独自のGAP「()()しまねゴールド」に認証された。栽培されたキャベツは、京阪神を中心に出荷されている。
 また、GAPを遵守して安全・安心に栽培していることを消費者にアピールするため、地元ホテルでGAP認証産品を使用した新メニューお披露目会を開催してその食材として提供するなど、消費者に対し積極的に「くにびきキャベツ」のPRを行っているところである(写真6)。
 この先も安全・安心なキャベツを一人でも多くの消費者に届けるために、日々努力し認証維持に努めたい。
 

4 出荷の工夫

 くにびき地区本部では、キャベツの箱詰め方法の例を出荷者に配布し、統一化を図っている。また、箱内でキャベツが動くと運送時に傷む危険性があるため、集荷所でJA職員が等階級ごとに検査する際に、重量基準だけでなく大きさも確認し、出荷者への指導を徹底している。さらに、キャベツが傷みやすい暑い時期は予冷施設に保管し、集荷拠点内での品質維持にも注意を払い、品質の良いキャベツを安定的に出荷するための対策を行っている。
 また、島根県内では他の地区でも広くキャベツ栽培が盛んであり、島根県下から出荷されるキャベツの品質を安定させるため、JAしまねでは、県下統一の出荷規格を設けている。出荷協議会では、島根県内の全地区本部を参集し、等階級別の選別基準や品位基準を確認している(写真7)。加えて、キャベツの箱詰め方法を写真や図(図2)で分かりやすく示すなど、出荷規格に沿った品質の良いキャベツを出荷できるように対策している。さらに、出荷のシーズンが終了すると必ず出荷反省会を行い、同様に県内の全地区本部を参集し、その年度の反省点や課題を洗い出し、次年度の生産につなげるための情報交換を行い、「島根キャベツ」としてのブランドの品位維持に努めている。全体で協議した内容は各地区本部に持ち帰り、出荷目合わせ会や反省会などで部会員や出荷者と情報共有し、県全体で島根キャベツのブランド維持に努めている。
 このほか、苦労して作られた生産者に応えるために、販売面では、各産地に定期的に生産状況を確認し、出荷計画を市場と共有して、市場間で出荷数量に偏りが出ないように均一に分荷することで、販売単価の維持に努めている。
 
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5 大阪市場で最も好まれるキャベツ「松波」

 くにびきキャベツ部会では、数多くの品種のキャベツを作付けしているが、中でも古くからある寒玉キャベツの品種「松波」が大阪市場で最も人気がある。「松波」は、大阪市場から「松波を作ってほしい」との要望を受け生産が始まったもので、中海干拓地でキャベツ生産が始まるきっかけになった品種である。「松波」は葉がぎゅっと詰まってみずみずしく、寒玉キャベツの中でも特に甘く、熱を通すとさらに甘みが増すのが特徴で、大阪市場を中心にお好み焼きの具材として人気がある。しかし、「松波」は栽培が難しい品種である。葉柄が伸びやすく、生育がふぞろいになりやすいため、出荷時に大きさをそろえるのに手間がかかる。また、寒さに弱く、病害虫駆除にも手間がかかるため、品質を維持するのにも苦労がある。しかしながら、キャベツ栽培が始まった当初から続く市場の期待に応えるためにも、生産者、JA職員が一丸となって生産面の苦労を乗り越え、これからも「松波」の生産を続けていく所存である。

◆一言アピール◆

 生産者が丹精込めて栽培したキャベツです。キャベツは、お好み焼きはもちろん、生で千切りにしてもよし、炒めものにパスタ、スープと何にでも合う万能野菜です。ぜひご賞味ください。

〇料理レシピ ~キャベツ丸ごと鍋~
【材料(8人分)】
・キャベツ…1玉 ・ソーセージ…8本 
・コンソメキューブ…1つ ・水…200cc 
・バター…20g ・こしょう…少々
【作り方】
(1) キャベツを8等分に切り、鍋に並べ、ソーセージを間に入れる。
(2) (1)の鍋に水・コンソメ・バターを入れ、フタをして中火でやわらかくなるまで煮込む。
(3) 味をみて、必要があれば塩を足し、お好みで全体にこしょうを振る。

タイトル: p063b

◆お問い合わせ先◆

担当部署:島根県農業協同組合 営農経済部園芸特産課 中海干拓営農センター
住  所:〒699-0109 島根県松江市東出雲町錦浜431-2
電話番号:(0852)52-6610
FAX番号:(0852)52-6611
ホームページ:https://ja-shimane.jp/