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産地紹介 野菜情報 2025年12月号

大阪府~泉州きくなプロジェクト「きくなーれ」と育てる、日本一の泉州きくな!~

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大阪府泉州農と緑の総合事務所 農の普及課
野菜写真

1 産地の概要

 大阪府では、消費地と生産地の距離が近いという都市農業の強みを活かし、日持ちがしにくい軟弱野菜の栽培が盛んである。その一つであるしゅんぎくは、関西では一般的に「きくな」と呼ばれており、小規模農地を最大限に活用した集約型農業により、出荷量を確保してきた。令和元年以降、大阪府のきくなの出荷量は全国1位を誇っており、その約8割が泉州地域(堺市、岸和田市、貝塚市など)で栽培されている(図1)。
 大阪府泉州農と緑の総合事務所は、三つの農業協同組合(以下「JA」という)具体的にはJA堺市、JAいずみの、JA大阪泉州と連携し、泉州地域を名実ともに日本一のきくな産地とするべく、令和2年に「泉州きくなプロジェクト」を立ち上げた。令和8年に「泉州きくな」の販売額を20%アップすることを目標に、生産体制の強化と消費拡大に取り組んでいる(図2)。
 
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2 生産・栽培上の特色

 しゅんぎくは、地域により異なる品種が栽培され、関東などでは摘み取り型の品種(伸びた部分を繰り返し収穫する)が主流であるのに対して、泉州きくなは、株張り型の品種で、丸ごと収穫するため葉が柔らかく、苦味が少ない(写真1、2)。
 
タイトル: p035
 
 泉州きくなは主に施設で栽培され、その作付け体系は、主に、きくなのみ、もしくは他の軟弱野菜も一部組み合わせた周年栽培や、水なすやトマトとの輪作の3タイプがある。当事務所では、年間を通じた有利販売につながる周年での安定出荷を目指し、高温期の栽培技術の確立・普及に取り組んできた。近年では、気候変動の影響が強まる中、高温期栽培マニュアルの改訂や秋季の高温化に対応した栽培指導など、環境変化に適応した生産基盤の強化にも努めている。また、JAと連携した荷姿改善に向けた講習会の実施などにより、品質向上も図っている。
 また、令和3年度からは、JAと共催で「水なす+きくなアカデミー」を開催し、新規就農者の確保・育成を推進している。泉州水なすと泉州きくなの輪作を中心に、ベテラン農家の元で栽培技術を学ぶ1年間のカリキュラムや、修了後の関係機関と連携したフォローアップを通じて、現在までに9人が就農している。
 さらに、加工・業務用分野では、民間事業者によるサラダ用きくなや加工品(きくなの草餅)の商品化を支援し、消費者の利便性も考慮した泉州きくなの消費拡大に取り組んでいる。

3 販売戦略

 「泉州きくなプロジェクト」では販売額20%アップを目標に、認知度向上と消費拡大を目的とした以下のプロモーションを展開している。

(1)新たな食べ方提案
 従来の「鍋野菜」というイメージを超える新たな食べ方を普及させるため、特に、「株張り型」の肉厚な上に葉柄までやわらかいという特徴を強調したPRを行い、サラダなど生食にも適している点を発信している。また、親子向けのレシピコンテストを開催し、受賞作は家庭で手軽に楽しめるメニューとして民間のレシピサイト等で広く公開した。
 
(2)PRイベント・販売フェア
 府内の民間や行政主催の大型イベントにおいて、ステージイベントの実施の他、PRブースでの試食提供や缶バッジ等のオリジナルグッズの配布を行うなど、消費者への訴求機会の拡大を進めている(写真3)。
 さらに、JA直売所に加えて、商談会出展等で関係を構築した量販店・百貨店等との連携による販売フェアを開催した(写真4、5)。試食販売では食品メーカーとタッグを組み、「ドレッシングで手軽にサラダ」など生食での食べ方提案を行い、消費者から好評を得た。また、生産者がその日の朝収穫した泉州きくなをスーパーの店頭で販売するイベントを実施するなど、産地と消費者が直接つながる場づくりにも取り組んでいる。
 
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(3)飲食店との連携
 飲食店との連携により、泉州きくなを使用したオリジナルメニューの開発・期間限定提供を行い、実際に味わう機会の提供を通じて、消費者全体への認知度向上を進めている(写真6、7)。
 
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(4)PRキャラクターの活用
 泉州きくなプロジェクトでは、PRキャラクター「きくなーれ」を通じて泉州きくなの効果的な認知度向上を図っており、出荷袋のデザインにも採用するなど、広く活用している(写真8)。キャラクター名称の「きくなーれ」は、府内外の幅広い年齢層から寄せられた応募の中から、泉州きくなプロジェクトメンバーとデザイナーや広報の専門家の意見を基に選ばれた名称であり、現在商標出願中である。この名称はシンプルで親しみやすく、きくなを食べて「大きくなーれ」という願いが込められている。
 
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 さらに、X、Instagram、FacebookなどのSNSやCookpadなどのレシピサイトを活用した情報発信に加え、メディアへの積極的な露出など、多様なチャネルを通じて魅力的な情報発信を展開している(図3)。
 
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X(旧Twitter):https://x.com/senshu_kikuna_t
Instagram:https://www.instagram.com/p/DNFf6mvzFb5/
Facebook :https://www.facebook.com/senshu.kikuna#
cookpad   :https://cookpad.com/jp/users/40326436


(5)大阪・関西万博でのPR
 2025年の大阪・関西万博では、パビリオンでのPRと併せて、開催期間中、府内の量販店や飲食店と連携したキャンペーンを実施した(写真9)。インバウンドを含む多くの来阪者に向けて、SNSを用いて英語でも情報を発信した。
 
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◆一言アピール◆

 冬の定番・鍋料理はもちろんおすすめですが、それだけじゃもったいない!サラダなどの生食でも美味しく楽しめます!柔らかくクセの少ない泉州きくなを手軽に楽しめるレシピはCookpadで公開中!
https://cookpad.com/jp/users/40326436
 
 
タイトル: p037d

◆お問い合わせ先◆

担当部署:大阪府泉州農と緑の総合事務所 農の普及課
住  所:大阪府岸和田市野田町3丁目13-2
電話番号:072-439-3601
FAX番号:072-438-2069
ホームページ:(泉州きくなプロジェクト)https://www.pref.osaka.lg.jp/o120180/senshunm/gyoumu/senshu_kikuna.html