
ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > 長崎県 JA壱岐市 良き産地に、良き部会あり。日本一のアスパラガス産地を目指して
(1)IPM(総合的病害虫防除)の取り組み
部会における特徴的な取り組みの一つに、IPM(総合的病害虫防除)があり、ほぼ全戸の農家で実践している。壱岐市のアスパラガス栽培において問題となる病害虫としては、ヨトウムシ、アザミウマ類が挙げられる。これらの病害虫の被害を最小限に抑えることが、収量の向上へつながるため、表1のようなIPM管理に取り組んでいる。
まず、ヨトウムシ対策として実施しているのがフェロモントラップと黄色蛍光灯である(写真3、4)。フェロモントラップは、合成した昆虫の性フェロモンを圃場内に揮散させ、雄との交信をかく乱し、雌の交尾率を下げることで産卵を抑制し、次世代幼虫による被害を抑えるものである。また、黄色蛍光灯は、夜間に点灯することで、ヨトウムシの行動を抑制する効果がある。壱岐市の黄色蛍光灯導入率は9割を超え、長崎県下でも非常に高い。島内では春先より収穫終了まで点灯を行い、島内では「あって当たり前のモノ」となっている。
次にアスパラガス栽培において最も問題となる害虫は、アザミウマ類であるが、現在アスパラガス栽培において一般的となっているアザミウマ類の温床となる雑草を抑える防草シートおよび忌避効果のあるUV(紫外線)カットフィルム導入などの物理的防除を積極的に行い、IPMに取り組むことにより、農薬使用回数の軽減に寄与している。
(2)スマート農業の取り組み
壱岐市は、内閣府から平成30年度「SDGs未来都市」として離島で唯一選定され、先進的な取り組みを行う「自治体SDGsモデル事業」の実施に向け、JA壱岐市・部会・壱岐市などが連携し、アスパラガスのスマート農業を実践することとなった。
その取り組みは年々進んでおり、現在は、
2)従来は、しゃがんでの作業が大半を占めるアスパラガス栽培に高畝床を整備することで、労力軽減を図る(写真6)。
3)夏場の高温対策とビニールハウス導入コスト軽減のため、換気効率が良く、ハウス導入経費が比較的安価なN型足場鋼管ハウスを導入する(写真7)。
の三つの取り組みにより、アスパラガス栽培の農作業の省力・効率化および生産性の向上を目指し、農家にとってゆとりある経営モデルの実証を行っているところである。