(1)営農指導に係る個人面談
部会の全員を対象に、JA大井川では営農指導に係る個人面談(以下「面談」という)を実施している。生産者の個人別生産販売診断表(栽培面積、出荷量、販売額、販売単価、単収、出荷時期、月別階級発生比率の実績を掲載している表)とJA大井川にて作成している日別・月別階級発生表を基に課題を洗い出し、次年度対策を書類に記載し生産者へと提供することにより、前年度の反省点を振り返り次年度につなげている。また、栽培品種や肥料設計、栽培管理(防除体系、
潅水管理、防寒被覆時期)を生産者へのアンケートにより聴取し、個人別生産販売診断表や日別・月別階級発生表などを基に、面談を行って次年度計画と生産対策を生産者とともに検討し、単収の増加や売上拡大につなげている。
(2)株間縮小栽培
JA大井川では、栽培技術として株間縮小栽培を推奨している。株間縮小栽培は、株間を縮小させることにより植付本数を増加させ、単収(10アール当たりの収穫量)の向上を目的としており、これまでと同じ施肥量でも収穫量が増えるため、売上拡大につながる。
肥料や生産資材の価格高騰による経費負担の増加や、生産者の高齢化による生産面積の縮小、担い手の栽培面積が確保できないなどの問題がある中で、単収の向上は、すべての問題解決につながる対策として取り組みを進めている。
(3)機械導入による作業効率アップ
JA大井川は、トラクターのアッパーロータリー(逆転ロータリー)や乗用定植機、ポール打ち機、ロボット包装機など、機械の導入にも取り組んでいる。アッパーロータリーでは、
畝立て時にレタス栽培に適している団粒構造
(注)を作り出すことができる。乗用定植機やポール打ち機、ロボット包装機では作業の省力化が図られることで、他の管理作業に費やす時間が確保できる(写真2)。
部会では、希望者を対象に農機具の実演会を実施し、導入しやすい環境づくりを行っている。また、JA大井川では省力化につながる機械を同JAが購入し、貸し出しを行うリース事業を展開し、これにより新規就農者をはじめ、機械を所有していない生産者も省力化ができる。また、機械の購入を考えている生産者も使用できるよう支援している。
(注)団粒構造とは、土壌粒子が小粒の集合体を形成している構造。団粒構造の土は孔隙率が高く、通気・排水・保水・保肥といった土壌物理性に優れるため、植物の根が成長に必要な栄養を吸収しやすい環境を整える。
(4)省力化資材の利用推進
農林水産省が推進するみどりの食料システム戦略に掲載されている生分解性マルチの導入を進めている。以前はポリマルチを使用していたが、収穫後にはポリマルチを
剥がす作業が重労働となっていた。生分解性マルチは、微生物の働きにより水と二酸化炭素に分解されるため、収穫後に土壌へすき込むことができ、作業の省力化につながるとともに、環境に配慮した栽培体系への転換が図られる。