さといも栽培は水田を活用できることが大きな強みである。水稲の作業とも競合せず湿害もないが、連作を嫌うため、多くの生産者は、前作で水稲を栽培した場所でさといもを栽培し、栽培する
圃場を入れ替えながら、水稲や麦との輪作を行っている。主な作型は図3の通り。3~4月に定植し、夏場の暑さに負けず、かん水や除草、施肥や防除をしっかりと行っている(写真3)。さといもの栽培期間中は生育に大きく影響する水の管理が重要であるため、夏場には2~3日に1回かん水を行っている。病害虫の対策にも注力し、水を切らさないよう管理し育てたさといもは、夏頃には背丈ほどの草丈になる(写真4)。収穫は、葉がある程度倒れた9月下旬頃から始まり、翌4月まで長期間にわたり出荷を行っている(写真5、6)。丁寧に掘り起こしたさといもは、一株ずつ土を落としながら分割して収穫する。
手作業の農家と機械化している農家があり、掘り取りのみを機械化した部会員や、定植から掘り取りまですべて機械化一貫体系とした部会員までさまざまな体系があり、作付規模によりその面積と労働力に見合った機械を選択し栽培を行っている(写真7)。機械は各部会員で購入するが、新規参入や増反を行う部会員に対しては、農協から機械の半額助成(1機械の上限は35万円、1農家の上限は50万円)を行っており、機械化の導入に当たる栽培規模の分岐点はおよそ1ヘクタールと見込んでいる。このように部会員とJAおちいまばりが協力して機械化一貫体系や、栽培規模に応じた機械の導入を推進することにより、省力化につながり、栽培面積の拡大が実現した。また、前述の通り、これらが農業所得の増大にもつながっている。
また、その他の取り組みとして、重労働となる収穫などの作業については、JAおちいまばりが人材派遣会社と業務委託契約を結び、労働力不足解消に向けて対応している。
栽培管理において重要な作業が防除であるが、特に夏場は暑く、さといもの葉も大きく成長していることから、非常に労力のかかる作業となっている。そこで水稲で一部行っていたドローン防除を試験的に活用し、労働時間の短縮と防除効果について検証を行っている(写真8)。
JAおちいまばりでは、生産面積拡大と単収の増加を目指し、「里芋機械化体系支援事業」や「派遣労働者研修事業(野菜収穫支援)」といった助成事業を展開しており、管内一丸となって生産量拡大に取り組んでいる。
また年に複数回、愛媛県や今治市などの行政や全国農業協同組合連合会愛媛県本部(以下「JA全農えひめ」という)などの関係機関と連携して栽培講習会を行い、よりよいさといも生産ができるよう地域全体で取り組んでいる。