秋田おばこ農業協同組合(以下「JA秋田おばこ」という)は、秋田県南部の内陸に位置し、東は奥羽山脈、西は出羽丘陵に接し、その間を南北に流れる
雄物川とその支流である玉川に沿って仙北平野が開け、管内の総面積は2129平方キロメートル(東京都(島しょ部を含む)の面積とほぼ同程度)で、県全体の18.3%を占めている(図1)。
管内は内陸型の気候を示し、県内でも豪雪地に属する積雪寒冷地帯で、1年の3分の1が積雪下にある。冬季の気温は秋田市などに比べ低く、夏季は比較的高温多湿だが、近年は春先の強風、夏場の猛暑に加え、集中豪雨や長雨などにより農産物の収穫にも影響が出ている。
管内の農家人口は1万7357人(農林水産省「農林業センサス2020」)で、前回(2015)と比較すると23.8%の減少となっており、担い手の高齢化や後継者不足などの問題を抱えている。
管内の農業生産の根幹となるのは稲作であり、全国屈指の米どころとして知られているが、農業の複合化による所得確保や新規生産者の確保を目指し、園芸や畜産への取り組みにも力を入れている。JA秋田おばこの取扱高は令和5年度で、米140億円、園芸19億円、畜産17億円ほどとなっている。
管内の園芸作物生産は多岐にわたっており、取扱額の高い順に、しいたけ、花き、トマト、ねぎ、えだまめとなっている。このほかにも、春から冬にかけて多くの品目を出荷しており、県内有数の多品目産地となっている。令和5年度は、7月にかつて例を見ないほどの大雨とその後の猛暑により、管内の農産物は大きな打撃を受けた。園芸作物も露地物を中心に大幅な減収となり、取扱高は当初計画と比較し、20%以上落ち込んだ(表1)。