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産地紹介 野菜情報 2024年3月号

大阪府 JA大阪泉州 ~独特の香りと豊かな風味で春の訪れを感じるJA大阪泉州の「ふき」~

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大阪泉州農業協同組合 営農経済部販売課 植野 健治
ふき

1 地域の概要

 大阪泉州農業協同組合(以下「JA大阪泉州」という)は、大阪府の南西部に位置し、貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市、熊取町、田尻町、岬町の7市町を管轄している(図1)。
 気候は、瀬戸内海式気候に属して温暖であり、令和4年の年平均気温は16度、年平均降水量は約1300ミリ前後となっている。降水量が少なく、大きな河川もないため、農業用水は古くから多くのため池に頼ってきた。
 管内では、多品目にわたる農作物が栽培されており、中でも泉州水なす、しゅんぎく、キャベツ、たまねぎなどは、京阪神の市場においてトップブランドとして取引されている。
 令和4年度のJA大阪泉州の販売額は、17億1644万円である。その内訳は、野菜14億9121万円(87%)、花き1億3475万円(8%)、米9047万円(5%)であり、野菜が9割近くを占めている(図2)。
 JA大阪泉州はふきの一大産地ではあるものの、野菜販売額のうち、ふきは2%程度となっている。

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2 産地の形成と生産状況

(1)栽培の歴史
 泉州地域のふき栽培は、大正3年頃、貝塚市清児(せちご)の田中健一氏が大阪府中河内郡から水ぶき(注1)を導入したのが始まりと言われている。さらに昭和の初めに、水ぶきより収穫期が早く、収量も多い品種である「愛知早生(わせ)」が愛知県から導入された。
 昭和15年頃には貝塚市全域に栽培が広がり、東の愛知、西の大阪貝塚と言われるほどの大産地が形成され、終戦後は泉州において広く栽培されるようになった。特に昭和30年にべと病が大発生したことによりたまねぎが大きな打撃を受けたことが重なり、ふきの栽培が急激に拡大した。
 ふきは繊細で病害虫に弱いため、一年を通じて管理に気が抜けない野菜である。連作障害を防ぐための土づくりのほか、湛水(たんすい)(注2)後約2カ月間の夏の太陽熱での土壌消毒、植え付ける種茎(しゅけい)の管理など、先人から受け継いだ生産技術に支えられた大阪泉州のふきは、市場から非常に高く評価されてきた。
 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(以下「おおさか環農水研」という)が開発した新品種「大阪農技育成1号」(故 横山ノック氏が大阪府知事時代に名付けた愛称:のびすぎでんねん)への更新により、単収(10アール当たりの収穫量)は全国第一位となり、「彩りがきれいで、歯触りや豊かな香りが良い」との評価はさらに高まった。

注1:別名「()蕗(やまぶき)」。地ふき、青ふき、河内ふき、京ぶきとも呼ばれ、京都や奈良を中心に栽培されている。色は淡色の緑色で茎はツルツルしていて根元が赤くなっている。自生している水ぶきは特に香りが強く感じられ、野菜としてよりも佃煮のきゃらぶきとして出回っていることが多い。
注2:圃場(ほじょう)の生育環境を整える目的で水を溜めること。

 
(2)管内のふき栽培
 大阪泉州のふき生産出荷部会は現在10人の部会員で構成されており(表1)、年間出荷量は83トン、販売金額は2943万5000円である(令和4年度実績)。
 生産者のほぼ全員がハウスでの栽培であり、大阪府下JAではトップを、全国的にも第3位を誇る。
 栽培は、良い種茎を確保することが重要となるため、種茎の増殖圃場(ほじょう)を設けている(写真1)。おおさか環農水研からウィルスフリー苗を購入し、2年間増殖させた後、3年目に初めて栽培圃場に植え付けを行う。
 
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 7月に増殖圃場から種茎を掘り上げ、9月まで冷蔵する。冷蔵していた種茎を9月に圃場に植え付け、11月にハウスのビニール被覆を行う。収穫は12月中旬頃からの秋ふき、翌年3月からの春ふき、5月から6月上旬にかけての合計3回収穫ができる(表2、写真2)。特に春ふきは柔らかく、みずみずしく香りも色も良い。
 収穫は、葉柄を傷付けたり折れたりしないよう、足元を鎌もしくは手で丁寧に刈り取る(写真3)。
 収穫したふきは、屋内に持ち込み、長さや太さ、色合いで一本ずつ分別し、等級別に決められた本数の葉を束ねてラップを巻いた後(写真4、5)、箱詰めして出荷している。

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3 出荷と販売戦略

(1)出荷の概要
 泉州ふきの出荷規格は、ハウス、寒冷紗(かんれいしゃ)(注3)、春ふきといった区分のほか、大きさや色合い、箱に入れる本数束数によって等級が細かく定められている(表3)。
 JA大阪泉州では、主に12月中旬から6月上旬にかけて、大阪市場を中心に、京都、姫路などの市場にふきを出荷している。
 新年のお節料理の食材や冬の終わりを告げる春野菜として、その独特の香りとほろ苦さなどの風味は、市場関係者や顧客から高い評価を得ており、出荷量は安定している。春の行楽シーズンには、京都などから出荷予定数量を上回る注文があり、対応に追われるような状況となっている。

注3:植物を覆って保護する被覆資材の一つ。夏の高温や強い日差しを防ぐ役割のほか、防寒や防風、防虫の目的で使われる。

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(2)加工・販売の取り組み
 ふき生産出荷部会では、約5年前から6次化事業として、ふきの水煮(写真6)の加工・販売に取り組んできた。評価の高い大阪ふきの栽培面積と部会員のこれ以上の減少を食い止めるため、広く大阪ふきを知ってもらい、消費拡大による生産者の所得の向上と安定した収入を得ることを目的としている。
 特に3回目の収穫となるふきは秀品の割合が低下しやすいため、この時期のふきを徳島の加工業者に委託して加工している。着色料を使用せず、ふき本来の色を生かした、安全・安心な商品を提供しており、ふきを水煮にすることで、誰でも気軽にふきを楽しんでいただけるようになった。

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 販路に関しては、開始当初、大阪府農と緑の総合事務所などに相談しながら、全農大阪府本部における婦人会の正月用品(写真7)としての取り扱いのお願いや、JA大阪泉州のホームページなどに掲載をするところから手探り状態で始めた。値段の安い中国産の水煮との価格差などで苦戦したが、独特の香りと風味、何よりも安全・安心を全面に出した販売を続けた結果、今では大阪府学校給食会を通じて大阪府の小中学校の給食に使われている。各市町村の学校給食会での評価は高く、微増であるが、注文量は年々増えている。

4 今後の取り組み

 ふき生産者は全国的にも減少傾向にあるが、近年はJA大阪泉州のホームページを見たふき水煮販売事業社からの問い合わせなども多くなっている。
 これを大阪ふきの販路拡大のチャンスと捉え、これまでの評価に満足せず、生産技術と品質の向上、各市場への販売強化とともに6次化にも力を入れることで、売り上げ拡大を図り、ふき生産者の所得向上につなげたい。大阪ふきの栽培面積減少と、何よりもふき生産者のこれ以上の減少を少しでも食い止められるよう努力していきたい。

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◆一言アピール◆

 ふきと聞いて、なくても良い野菜と思われる人も多いが、今も昔も冬の終わりを告げる春の野菜として重宝されている。
 生ふきはもちろん、調理しやすいよう加工した水煮「大阪ふき」を使って、独特の香りと風味をぜひ賞味いただき、気軽に春の訪れを感じていただきたい。

◆お問い合わせ先◆

担当部署:大阪泉州農業協同組合 営農経済部 販売課
住所:〒598-0008 大阪府泉佐野市松風台3丁目4550番地の2
電話番号:072-458-1680
FAX番号:072-462-8010
ホームページ:https://www.ja-osakasensyu.or.jp/agri/section.php