セルリーは、昭和39年に「はままつ洋菜」という共販制度が始まって以降、生産振興の機運が高まり出荷量が増加した。
セルリーは、
播種から収穫までに半年程度の時間を要する。播種から仮植までの間は、JAとぴあ浜松の育苗センターで一貫して苗の生産を行い、ある程度苗が生育して生産者の
圃場に定植するまでの間、苗を育てている(写真1)。栽培当初から施設栽培が盛んで、今では多くの生産者がハウス栽培で冬どり、春どりの年二作体系の生産を行っている。作型は、ハウス栽培のほか露地栽培の秋どりに分かれ、11月から翌年5月にかけて出荷が行われている(表、写真2・3)。
品種は、黄色種と緑色種の特徴を取り入れた中間種の「コーネル619」に統一して栽培している。「コーネル619」は、良食味な反面、大株化しにくく、病気にかかりやすいため、栽培には非常に苦労する品種である。しかし、先人達と現在の生産者の努力によって、近年は安定した生産を行うことができるようになっている。
一方で、平成10年頃からは、長年の連作により土壌病害である「
萎黄病」
(注)の発生に悩まされていた。そこで、最新の機器を完備した土壌農薬分析センターでの土壌診断に基づく適切な施肥を行うこととした(写真4)。そのほか、緑肥栽培による輪作の導入や太陽熱を利用した土壌消毒などに総合的に取り組むことで土壌バランスが改善し、平成20年頃から萎黄病の発生減を実現している。
現在、栽培技術や品質の向上に向けた取り組みとして、管内の各支部において定期的な圃場巡回や勉強会を実施している。
しかしながら、近年、夏季の猛暑による高温時の不安定な苗質や、局地的な大雨後の細菌性病害の発生が問題となっている。
育苗時の高温対策としては、扇風機や循環扇の活用など、育苗環境を整えることで生育の安定化を図るべく取り組んでいる。また、局地的な大雨対策としては、圃場内の土壌の均質化のほか、硬盤破砕を行い、排水性の改善により被害の軽減を図っている。
注:フザリウム属菌のカビが原因となって発生する土壌伝染性病害。発病の初期には葉が黄化し、やがて葉脈が壊疽して葉に水分を供給できなくなり、枯死に至る。