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産地紹介 野菜情報 2023年12月号

茨城県 JAなめがたしおさい  ~若採り小株で柔らかな「みずな」を周年出荷~

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なめがたしおさい農業協同組合 北浦営農経済センター 関 一史
みずな

1 産地の概要

 なめがたしおさい農業協同組合(以下「JAなめがたしおさい」という)は、平成31年2月に、茨城県の行方(なめがた)市および潮来(いたこ)市を管轄区域とする「なめがた農業協同組合」と、鹿嶋(かしま)市および神栖(かみす)市を管轄区域とする「しおさい農業協同組合」が合併して発足した(図1)。
 しおさい地域は、ピーマンの生産が盛んで、全国生産量トップの産地である。
 一方、なめがた地域は、霞ケ浦(湖沼面積全国2位)と北浦(同15位)に挟まれた半島状の地形であり、両湖岸および南端の水郷地帯は平担な水田地帯が拓け、中央部は火山灰土(関東ローム層 赤土)からなる平地と起伏に富んだ傾斜畑地帯に大別される。
 水田地帯では、セリ・れんこんなどの露地野菜のほか、いちごやきゅうりなどの施設園芸作物の栽培が行われている。畑作地帯では、土地利用型大規模経営によるかんしょ・ごぼう・ばれいしょ・にんじんの栽培のほか、みずな・ちんげんさいなどの葉菜類の周年栽培、エシャレット・みつば・しゅんぎく・パクチーなどの軽量野菜の栽培、トマト・メロンの施設栽培など、年間60数品目の野菜を生産する多品目産地である(図2)。かんしょについては、平成28年度第46回日本農業大賞および29(2017)年度第56回農林水産祭「天皇杯」を受賞するなど、茨城県の主要産地としてのブランドを築き上げている。
 JAなめがたしおさいは、東関東自動車道水戸線や国道51号、JR鹿島線などにより首都圏と結ばれ、都心から約100キロメートルの地の利を生かして、都市近郊型の生鮮野菜の一大供給基地として、また「首都圏の台所」としての役割を果たしている。
 令和5年1月現在の組合員数は1万8229人、令和4年度の販売金額は209億7100万円である。

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みずなの栽培導入の経緯

 JAなめがたしおさいのみずな栽培は、平成8年に市場からの紹介により導入したことに始まる。当時は、露地で冬場を中心に栽培し、漬物用として販売していた。平成13年に東京青果株式会社から大手量販店がみずなの新規産地を探しているので取り組んでみてはどうかとの打診があり、ハウス栽培により周年出荷体制を可能にすることで栽培面積を拡大した(写真1)。
 当時は、量販店および市場側が求める条件を満たすための品種選定、栽培方法、出荷規格の確立などすべてゼロからのスタートであった。
 平成28年4月からは、販売強化に向けて、二つあった生産部会(JAなめがたみず菜部会と北浦みず菜部会)を一つに合併し、「JAなめがたみず菜部会」として新たにスタートした(写真2)。
 令和5年5月現在の部会員数は34人、ハウス面積は670アール、販売数量は年間1354トン、販売金額は4億5300万円である。
 みずなは、播種後45日程度で収穫が可能であり、現在、年平均7回程度、播種・収穫を行っている。部会では、生産者全員に対して栽培履歴の記帳を徹底させるとともに、市場などの取引先と密に情報の共有を図ることで、市場、量販店および消費者のニーズに対応している。

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3 出荷規格の徹底

 出荷規格の統一を図るため、月1回程度、出荷規格を確認する()(ぞろ)え会を実施するとともに(写真3)、通常の出荷の中で、JA職員が無作為抽出検査を実施し、規格および品質の徹底に努めている。
 出荷伝票が生産履歴を兼ねており、出荷の都度、生産履歴が提出されるため、消費者などに対する栽培情報の提供や、クレームに迅速な対応ができる体制となっている。また、GAP(農業生産工程管理)の導入にいち早く着手し、農薬の使用基準や肥培管理、衛生管理など8種31工程について定期的な監査を年2回行うことで、食の安全と消費者の信頼確保に関する意識を高め、単なる『農産物』としてだけではなく、食卓で直接口にする『食料品』を扱う意識で、生産および出荷に取り組んでいる。

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4 安定出荷への取り組み

 販売先に対するみずなの出荷が途切れることのないよう、季節ごとに種子の品種を決め、計画的に播種し、各生産者から次週の出荷数量を聞き取り、各販売先に情報を伝え、計画出荷、継続的な安定出荷に努めている。
 ハウス栽培により、年間を通して、みずなを小株の状態で早めに収穫しているため、食感がとても柔らかく、えぐ味の少ないシャキシャキしたみずなを出荷している。
 また、環境に配慮した農業の取り組みとして、農薬による適正防除や減農薬栽培技術の普及を推進している。これにより、生産者全員が茨城県のエコファーマー認証を受け、減農薬・減化学肥料栽培に取り組んでいる。
 さらに、取引先へより鮮度の良い状態で供給するため、みずなの真空予冷を行い、冷蔵庫で保管し保冷車で市場や量販店の卸センターまで運搬するなど、コールドチェーンによる出荷体制を確立している。
 また、年々、気温が高くなる傾向もあり、夏場など生育が困難な状況になりつつあるため、種子の試験や暑さに強い品種の選定、時期に応じた栽培講習会や現地検討会の実施といった活動により、安定供給と栽培技術の向上を図っている。

5 販売戦略

 安定した販売体制を実現するために、量販店と周年での値決めにより契約販売を行っている。また、少量の100グラム20袋入りの特別規格で出荷したり、業務用向けにバラで出荷したりと、さまざまなニーズに対応している。
 さらに、量販店などの集配センターへの直送や休市日の特別注文への対応など、取引先が必要とするときに出荷できる体制を構築している。
 また、部会員による販売推進活動として、料理レシピの作成、量販店での試食宣伝販売などを行っている(写真4)。特に、試食宣伝販売では、生産者自ら量販店の売り場に立ち、消費者にみずなの色々な食べ方を提案している。
 現在、農産物の生産に必要不可欠な肥料や資材などの価格は高騰しているが、その分農産物の価格が上昇しているかといえば、必ずしもそうではない。需要と供給のバランスがあると思うが、生産者の所得が確保できるような出荷体制、販売先の確保など日々考えて取り組んでいる。

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◆一言アピール◆

 JAなめがたしおさいのみずなは、若採り小株で収穫することから、柔らかく、えぐ味が少ないのが特長です。
 鍋料理のほか、サラダなど何にでも使える用途の多い野菜なので、冬は鍋などに、夏はミキサーで細かくしてアイスクリームに混ぜるなど、ぜひ色々な食べ方でご賞味ください。

タイトル: p036b
 

◆お問い合わせ先◆

担当部署:なめがたしおさい農業協同組合 なめがた地域センター 園芸課
住所:〒311-3835 茨城県行方市島並857-35
電話番号:0299-72-1880
ファックス:0299-72-1113
ホームページ:https://ja-ns.or.jp/