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産地紹介 野菜情報 2023年11月号

長崎県 JA島原雲仙 ~冬に楽しむシャキシャキレタス~

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島原雲仙農業協同組合 南串地区営農センター 和田 修一
レタス

1 管内の概要

 島原雲仙農業協同組合(以下「JA島原雲仙」という)は、長崎県島原半島の島原市、雲仙市および南島原市の3市を管内としている(図1)。
 島原半島は長崎県南東部に位置し、雲仙普賢岳を中心とした丘陵地帯と有明海および橘湾(たちばなわん)の海岸沿いの平野部からなる。総面積467.4平方キロメートルは、県土の11%に過ぎないが、耕地面積は同24.8%、そのうち63.7%が普通畑(県耕地全体の29.1%)という畑作の盛んな農業地帯である。
 農業産出額は県全体の47.2%を占めるなど、恵まれた気候・土壌条件を生かして、多様な産地が形成されており、農産・園芸・畜産のバランスのとれた農業を展開する長崎県を代表する農業地域である(図2)。
 その中で、雲仙市南串山町は、海と山に囲まれた地形で、肥沃な赤黄色土は水持ちが良く、丘陵の多い地形を生かした段々畑(写真1)は水はけが良く、レタスの栽培にとても適した地域といえる。
 また、半島の西南に位置しており、温暖な気候と、放射冷却を受けにくい地形は、厳寒期の1、2月においても被覆資材だけで大玉レタスの収穫を可能にしている。

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2 南串レタス部会について

 JA島原雲仙南串レタス部会(以下「部会」という)は、現在、部会員数50人(平均年齢は49.8歳)、栽培面積135ヘクタールである。
 比較的経営が安定していることから後継者が多く残る地域でもあり、現在、部会のレタス生産は30、40代が中心となっている。
 JA島原雲仙のレタス出荷量は令和4年度で9508トン、そのうち当部会が60%を占める。
 平成23年度は販売高約3億円、出荷量約3000トンだった実績も、令和4年度は販売高7億680万円(対平成23年度比236%)、出荷量6287トン(同210%)と平成23年度の2倍以上となっている(図3)。
 平成29年度の生産量は、大寒波の影響により落ち込んだものの、生産技術の向上のほか、被覆資材やトラクター、播種(はしゅ)機の導入、補助事業の活用などにより、26年度以降は安定しており、ここ数年続くレタスの価格低迷の中であっても、生産量を維持しながら栽培を行っている。

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3 栽培の概要

 栽培は、例年8月中旬頃から播種を開始し、9月上旬から順次定植を開始、その後、収穫・播種・定植を圃場(ほじょう)毎に行う(図4)。
 100%露地栽培であり、厳寒期の寒さ対策は98%が被覆資材(写真2)、残り2%がトンネル栽培(写真3)である。被覆資材は、トンネル栽培と比較して、トンネルの開閉がないため作業効率が良いほか、播種面積も広いというメリットがある。
 品種については、従来からの使用品種を基本に、JAが提示する約30種の品種の中から、気候や圃場の立地・状態に合わせて生産者自身が選定し、使い分けることでシーズンを通して安定して供給できる仕組みを構築している。
 収穫作業は日中行い、収穫したレタスは、切り口を洗浄し、そのまま段ボールへ箱詰めする(写真4、5)。収穫量の9割が3Lサイズであり、残り1割が2Lサイズである(表)。
 箱詰めした後は、その日のうちにJAの集荷施設に持ち込まれ、そのまま真空予冷機で芯まで冷やし、冷蔵庫で保管する。集荷施設では、コールドチェーン(図5)が実施され、鮮度を保った状態で、翌日には各市場まで配送される。

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4 出荷の概要

 出荷作業は、10月中旬以降開始し、おおむね翌年の6月上旬まで行っている。全体の9割を大阪・九州地区へ、その他、関東地区などの各市場に出荷している。
 出荷先は、青果販売(量販店を中心とした販売)が50%、契約販売が50%であり、契約販売の割合は毎年4~5割を占めている。契約販売のうち、量販店向けが27%、加工・業務向け(カットレタスや飲食店)が73%であり(図6)、各市場を通して取引先工場に直送している。加工・業務向けの比率の高さは、厳寒期でも3L中心の大玉で重量の乗ったレタスが収穫できることが理由の一つに挙げられる。
 契約販売は、1ケース当たりの単価と1週間に納品する数量をシーズン開始前に取引先市場と決めておく販売形態であり、単価を決めておくことで、相場に左右されない安定した収入を得ることができる。その一方で、必ず納品しなければならないリスクもあるため、部会では、生産者同士が不足数量を補い合うルールを設け、シーズン期間中、取引先へレタスの欠品がないように十分な対策を取っている。

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5 労働力不足解消に向けた支援体制

 部会では、作業負担の大きいレタスの収穫作業を主として労働力支援を行っている。
 現在、農援隊男性1人、パートタイム女性2人、外国人労働者の女性3人、計6人でチームを形成し、シーズン中は、生産者から依頼のあった圃場へほぼ毎日向かい、収穫作業を行っている。
 また、生産者個人で外国人労働者を雇用するなど、労働力不足を解消する取り組みも積極的に行っている。

6 有利販売に向けたGAP認証取得

 さらに、契約販売の販売先確保と有利販売、所得安定を目的に、GAP(Good Agricultural Practices:農業生産工程管理)認証取得に向けた取り組みを強化しており、中でも大手サプライチェーンからの要望を受けて、グローバルGAPの認証取得に取り組んでいる。
 令和3年度に2人、令和4年度に4人、合計6人の生産者が個人認証でグローバルGAPの認証を受けた。また、令和4年度にはグローバルGAPへの取り組みとそれによる出荷量の増量を見通して、部会の自己資金で予冷庫を増設した。
 これらの取り組みが、レタスの取引数量の増加や有利販売につながっている。

​7 最後に

 ここ数年、農業を取り巻く環境がますます悪化している状況で、人件費・資材費・燃料費などの値上げと、販売単価が低迷し続ける現状は一次産業に大きな打撃を与えている。
 部会の生産者でも部会以外の生産者でも、離農する者は少なくない。
 しかし、国内における一次産業の重要性は明確で、その大事な土台の一つとして、今後も時代の変化に柔軟に対応し、さまざまな取り組みに挑戦しながら、レタスの生産量を維持・拡大していきたい。
 また、一次産業の経営を支える一つである補助事業についても、より一層現場に寄り添った仕組みや評価制度があれば、より安定的に生産を維持・拡大できると考える。

◆一言アピール◆

 冬のレタスは、葉肉が厚く、加熱してもシャキシャキとした食感を楽しめ、おいしくいただけます。冬は、豚肉と一緒に食べるレタスしゃぶしゃぶがオススメです!

◆お問い合わせ先◆

担当部署 島原雲仙農業協同組合 南串地区営農センター
住  所 長崎県雲仙市南串山町乙2-15
TEL:0957-88-3817
FAX:0957-88-3217
ホームページ:https://www.ja-shimabaraunzen.or.jp/