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産地紹介 野菜情報 2023年9月号

愛知県 JAあいち中央 ~ハウス栽培でちんげんさいの周年安定供給を実現!~

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あいち中央農業協同組合 営農部 園芸課 岩間 正富
ちんげんさい

1 産地の概要

 愛知県のほぼ中央、西三河地方に位置するあいち中央農業協同組合(以下「JAあいち中央」という)は、平成8年4月にJA碧南市、JA刈谷市、JA安城市、JA高浜市、JA知立市の5つが合併し発足した(図1)。
 気候は、年間平均気温が15.8度と一年を通して比較的温暖である。年間平均降水量は1574ミリメートルであり、夏季の降雨量は多いが、冬季の積雪は少ない。
 JAあいち中央は、「日本デンマーク」と呼ばれた農業の先進都市である安城市を含み、管内では明治用水を利用したにんじんやたまねぎなどの露地野菜類をはじめ、きゅうりやちんげんさいなどの施設園芸、水稲栽培、キクなどの切り花や鉢物園芸、いちじくや梨などの果樹類など、さまざまな品目が生産されている(図2)。
 また、愛知県という一大消費地でもある特色を生かし、毎朝地元で採れた新鮮な農産物を出荷し、そのまま地元のJA農産物直売所などで販売する産直事業(地産地消)も盛んである。

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 JAあいち中央チンゲン菜生産部会は、平成3年に出荷サークルとして発足し、平成8年に生産基盤の安定を図るため、生産部会となった。
 現在、同部会には碧南市に1人、安城市に9人の合計10人が所属している。栽培面積約6.6ヘクタール(年間延べ面積約56ヘクタール)、年間販売金額約3億2000万円、約1400トンを出荷しており、県内一の生産地となっている。

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2 栽培カレンダー

 ちんげんさいの栽培は、ビニールハウス内で行っている。暖房機を利用した苗の安定生産を図り、苗場を別に設けないことによる苗の移動距離短縮といった省力化を実現し、年間8、9作の周年栽培体系を確立している。
 セルトレイへの播種作業は3日に一度程度の頻度で、機械を用いて行っている(写真1)。
 1作は育苗期間と圃場(ほじょう)管理に分かれ、夏は育苗約14日間、圃場約25日間、冬は育苗約30日間、圃場約50日間で収穫が可能となる(写真2~4、図3)。

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3 栽培品種について

 栽培が通年で行われる性質上、季節に応じて複数の品種を栽培している。特に当産地では、夏季のチップバーン(注1)および根こぶ病(注2)に耐性のある品種を選定している。
 現在は、夏季品種として「(なつ)双子(ふたご)」および「(すず)双子(ふたご)」、根こぶ病耐性品種として「リューロン」の栽培に取り組んでいる。他にも、春先に「四季(しき)三昧(ざんまい)」、秋口に「夏賞味」、冬季に「ニイハオ114」などを栽培している。
 また、いち早く新品種の導入を検討するために、種苗会社からの品種試験の依頼に積極的に取り組んでいる。

(注1)新葉の葉縁または全体が褐変・枯死する生理障害のこと。
(注2)アブラナ科作物(キャベツ、はくさい、ブロッコリーなど)にのみ発生し、根部に大小さまざまなコブを形成する
      土壌伝染性の病害のこと。

4 環境と安全に配慮した取り組み

 化学肥料の使用を節減するため、安城市が無料で配布している「いきいき堆肥(植繊堆肥:庭木の剪定枝などからできた堆肥)」や、ヒラテ産業有限会社が配布している食品リサイクル堆肥を利用している。
 また、年2回の土壌診断を実施することで、化学肥料(窒素成分)を慣行栽培の5割以下に抑え、愛知県およびJAあいち経済連が主となって取り組む農産物ブランド「いきいき愛知」(注3)の認証を受けている。
 農薬については、化学合成農薬を削減するために季節別に栽培密度を変更し、防虫ネット、性フェロモン剤などを導入している。
 加えて、愛知県環境安全推進マニュアルを基にGAP(農業生産工程管理)シートを作成し、部会員全員がGAPに取り組んでいる。

(注3)愛知県内で生産・出荷される米・野菜・果物のうち、地域の慣行栽培基準から節減対象農薬や化学肥料(窒素
     成分)を5割以上減らして栽培した農産物が「特別栽培農産物」「いきいき愛知」農産物として認証される。

5 収穫・出荷について

(1)収穫作業
 定植後、25~50日程度で収穫作業が始まる(写真5)。収穫は、一株一株手作業で行っており、根を切り落とした後、大きさを確認しながら箱詰めを行う。

(2)出荷規格・出荷先
 主な出荷形態は、段ボール箱(1箱2キログラム)であり、出荷が多い4、5月は、約3000箱/日を出荷している。規格は、段ボール出荷のバラ詰め秀品5階級とA品(表)、袋詰めの2階級の合計8階級である。
 販売先は、中京圏を中心に、北陸、関西、関東の計14の市場に幅広く出荷している。

(3)出荷の工夫
 高品質なちんげんさいを出荷するために、毎月、目揃え会を実施し、部会員ごとに一箱ずつ重量や株の大きさの揃い、病虫害がないかなどを確認し、部会員の出荷規格を統一している(写真6)。
 また、3月中旬から10月にかけてはJAの集出荷施設(写真7)で真空予冷を行うことで、品温を下げ、品質の劣化を抑えている(写真8)。
 

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6 販売戦略について

 ちんげんさいは、ほうれんそうやこまつななどと比べて需要が小さいため、各需要者のニーズに合った階級や数量で出荷を行う必要がある。
 そのため、周年を通して袋詰め規格の契約販売を行い、単価向上を図りつつ、週毎にバラ詰め規格と袋詰め規格の集荷量を調整し、販売先の要望に沿った出荷を行っている。
 給食需要のなくなる3月および7月中旬から8月は、特にバラ詰め規格の需要が減るため、量販店需要の強い袋詰め規格の割合を増やしている。
 また、ちんげんさいのイメージアップのために、部会員による量販店での試食宣伝会や生協と連携した交流会を開催したり、地元安城市が実施する給食事業にちんげんさいを提供している。
 さらに、地域住民との交流を図る機会を設けるなど、地産地消や食育活動、地域貢献にも積極的に取り組んでいる。
 ちんげんさいの需要拡大に向けて、令和2年度には株式会社Mizkanと共同でレシピリーフレットを作成した。出荷先市場での配布や量販店に提供することで、消費者に対し、炒め物以外のさまざまな調理方法を提案している。
 レシピは、リーフレットのみでなく、常時確認できるよう、JAあいち中央のホームページにも掲載している(「チンゲンサイ料理レシピ」(図4)。
 現在、レシピリーフレットのリニューアルを進めており、今後は、需要の低下する冬期および春期に特化したレシピを追加するなどして、引き続き、ちんげんさいの需要拡大に取り組んでいきたい。

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◆一言アピール◆

 葉と根元でそれぞれの食感を楽しめるのがちんげんさいの魅力です。緑黄色野菜の一つで、免疫力アップが期待できるβカロテンのほか、ビタミンCや食物繊維などをバランス良く含みます。また妊娠中に必要とされる葉酸も豊富です。
 中華系の炒め物だけでなく、おひたしやスープなどに入れてもおいしいので、ぜひいろいろな食べ方でご賞味ください!

◆お問い合わせ先◆

担当部署:あいち中央農業協同組合 営農部 園芸課
住所:愛知県安城市赤松町浄善50
TEL:0566-73-4403
ホームページ:https://www.jaac.or.jp