(1)生産動向
令和3年度の南あわじ市管内のたまねぎ栽培面積は1105ヘクタール、農家戸数は1774戸である。栽培面積は年々減少傾向であったが、近年は好調な販売価格や機械化などを背景に横ばいで推移している。
(2)水稲の裏作として栽培
淡路島たまねぎは、淡路島で確立している二毛作において、初夏から秋にかけて栽培する水稲の裏作として栽培されている。これは、水稲栽培中の田んぼの水が日光で温められ、土の中の細菌や有機物が早く分解されるため、毎年、稲刈り後に裏作として栽培するたまねぎに連作障害が出ないからである。
また、淡路島では淡路ビーフや淡路島牛乳が有名なように、古くから畜産業も盛んで、牛のたい肥を利用した土づくりを行っている。南あわじ地域では、100年以上続く水稲・たまねぎ・畜産の伝統的な生産循環型農業システムを実現している。
(3)収穫までの作業内容
5月頃収穫の
早生種から6月中旬収穫の
晩生種まで、収穫時期の異なるさまざまな品種のたまねぎを管内で栽培している(表1)。
9月に種をまき、成長した苗を11~12月に田んぼに植え付ける(写真1~3)。そこから寒い冬をじっと耐え、春の気温上昇とともに徐々にふくらみ、栄養をためてじっくり成長する。初夏を迎える時期に緑の葉が自然に倒れ、その後、約1週間しっかりと完熟させ、葉の付け根が柔らかくなると収穫時期の到来である(表2)。
収穫後は、さらにもうひと手間かける。淡路島特有の「たまねぎ小屋」に吊り下げ(写真5)、自然の風を利用してゆっくりと乾燥させることで、熟成が進み、甘みがより一層増していく。収穫したたまねぎの一部は、大きな冷蔵施設で翌2~3月まで品質を保ちながら冷蔵保存および出荷を続け、長く「淡路島たまねぎ」を楽しんでもらえる工夫を行っている。
(4)機械化や省力化の取り組み
平成7~8年には、淡路島の栽培様式(高畝4条植)に適応したたまねぎ収穫掘り取り機(写真4)が開発された。それまでの収穫は、手作業による重労働であったため、機械化が課題になっていた。収穫機は、開発と同時に農家同士の共同利用と補助事業の活用によって大部分のたまねぎ農家に短期間で普及した。
平成10年には、全自動移植機用の育苗トレイを324穴(通常448穴)にして大苗に育苗することで、従前の収量確保が可能となった。
平成17年には、ポリコンテナ貯蔵に対応したオニオンピッカーが開発された。
さらに平成28年には、たまねぎ大型鉄コンテナおよび同コンテナ集荷に対応したオニオンピッカー(写真6、7)の導入、たまねぎ乾燥冷蔵施設(写真8)の建設、たまねぎ根切葉切設備(写真9)の設置を行った。
たまねぎの機械化一貫体系を確立し、ポリコンテナによる荷受とともに、生産農家の省力化につながる出荷体制を構築している。