(1)生産動向
令和3年度のJA三原のわけぎの作付面積は7.1ヘクタール、販売量は5.6トン、販売額は4250万円である(図3)。
現在の生産者数は44戸であり、栽培地域別では沿岸部の木原町が31戸、島しょ部で離島の鷺浦町が7戸、その他が6戸となっている。管内におけるわけぎは、昔から木原地区および鷺浦地区が生産の大半を占めてきたが、高齢化による生産者の減少や作付面積の縮小などにより、販売量の減少が続いている。
(2)主な品種と作型
現在、「広島わけぎ」として出荷されている主な品種は、広島1号、2号、3号、5号、7号、11号の6品種である(表1)。
さまざまな作型や栽培品種の多様化により、主に3月下旬~翌1月下旬は露地栽培、1月上旬~3月下旬は露地栽培のほかにハウス栽培による出荷を行い、周年出荷を実現している。生育が早い7月から8月は、植え付けから1カ月程度で収穫が可能である。
生産者のほとんどが家族経営であり、さやえんどうやかんきつ類との複合経営を行っているケースも多い。
(3)出荷状況
全国のわけぎ生産量における広島県のシェアは第1位(約50%)であり、全出荷量の7割を関西圏の市場へ出荷し、残りの2割程度を県内市場へ出荷している。これは、前述の通り、関西圏などにおいて、桃の節句に食す「酢味噌和え(ぬた)」の材料として広く認知されているためである。
主な出荷規格は、生食用については、2キログラム段ボールと小袋包装の2種類がある。小袋包装1束の重量は、主に9月~翌5月は100グラム、出荷量が減少する6~8月は80グラムである(表2)。
栽培から出荷に至るまで機械化はほとんどされておらず、生産者個々の経験と技術で産地が維持されてきた(写真4)。
生産者は、収穫後、皮をむいて根に付いた土を圧縮空気で飛ばし、等級別に結束または小袋包装を行った後に箱詰め作業を行っている。家族労働時間のうち調製作業が全作業の7~8割程度を占めるなど、労働力の確保が課題となっている。