(1)用途別販売内容
JAなめがたしおさいは、平成15年からスーパー50店舗で焼き芋の店舗内販売を開始した。寒い時期に路上で移動しながらの引き売りで高値販売していた「焼き芋」を、スーパーの店頭に小型の電気式焼き芋機を設置することで、手頃な値段で一年中おいしく販売出来るスタイルを全国に先駆けて確立した。
家庭での調理の手間などから生芋よりも焼き芋の販売量が伸長する中、現在、かんしょ生産量の8割程度を焼き芋用に出荷している。
規格については、焼き芋用に需要の多いM・Lサイズ中心の生産技術導入に取り組んでいる。さらに、取引先ごとに話し合い、サイズや形状、出荷形態の変更を行うなど、特別規格として可能な限り需要者のニーズに応えられるよう、さまざまな商品づくりを行っている。
(2)洗浄・選果・調製作業
収穫後のかんしょは、よく水洗いし、傷を付けないよう、丁寧に調製した上で、ケース箱内の形状や長さを揃えて出荷している。また、例年、かんしょの傷みが生じやすくなる12月以降に全量キュアリング処理
(注)を行うことで、長期貯蔵を可能にしており、周年安定供給体制の構築に寄与している。
(注) キュアリング処理とは、掘り取り後すぐに土付きのまま、温度を30~33度位、湿度を90パーセント以上の条件にして、4日間貯蔵し、その後、放熱して13~14度に調整することにより、収穫時の傷にコルク層を作り、病原菌の侵入を防ぐこと。この処理をすることで、傷を治療し、長期貯蔵が可能となる。
(3)仕向先
JAなめがたしおさいのかんしょは、京浜市場を中心に、北海道から関西、九州方面の市場に幅広く出荷しており、各市場を経由して全国の小売店で販売されている。
さらに、平成28年からは、シンガポール、マレーシアを皮切りに、北米、東南アジア、EUなどへの輸出も展開している。輸出先からの高い評価や東南アジアを中心とした現地での「焼き芋ブーム」などを背景に、輸出量は増加基調で推移している(図4)。