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産地紹介 野菜情報 2022年8月号

秋田県 JAあきた白神 ~白神山地の麓で丹精込めて育てられた香り高い「白神みょうが」~

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あきた白神農業協同組合 営農部 販売課 清水 貴智
みょうが

1 産地の概要

 あきた白神農業協同組合(以下「JAあきた白神」という)は、秋田県北部に位置する能代市・藤里町の2市町を管内としている。世界自然遺産「白神山地」を背に東西にのびる地形は、面積708.73平方キロメートル、県全体の約6%を占めており、その地は米代川下流の平野部と北東部の山岳丘陵地帯からなり、変化に富んでいる(図1)。

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 気候は、四季の移り変わりが明瞭で、対馬暖流の影響により年間の平均気温は11度前後と温暖だが、冬は低温で北西の強い季節風が吹き、降雪日数は平均70日程度である。
 管内は、「白神山地」の大自然に囲まれ、自然の恩恵を受けながら育つ農産物の宝庫であり、稲作・畑作・畜産の各分野にわたる農業振興に取り組んでいる。稲作では、ブランド米「あきた白神米」の主銘柄(あきたこまちが9割)の計画的作付けの定着化、食味向上に取り組んでいる。畑作分野では、地域特産野菜の生産拡大と技術指導の徹底による品質向上を図って「あきた白神野菜」のブランド化を推進、畜産分野では、飼養管理技術を研鑽して「あきた白神和牛」の肉質向上、県のブランド地鶏「比内地鶏」の生産拡大を目指している。

2 「白神みょうが」ができるまで

 JAあきた白神は日本有数の露地みょうがの産地である。戦後から本格的に始まったみょうが栽培は、平成元年のピーク時には出荷量が700トンまで伸びた。近年は、生産者の高齢化により栽培規模は縮小しているものの、全国上位に位置している。令和3年の出荷量と販売額は、約50トン、6700万円であった。
 「白神みょうが」は、その名の通り、世界自然遺産白神山地の麓で丹精込めて育てられたブランド農産物である。平成27年に「白神みょうが」として商標登録した。白神山地から流れるミネラル豊富な天然水とみょうが栽培に最適な土壌風土が、「白神みょうが」の高い品質を決定づけている。
 露地物の収穫は8月上旬から10月初旬までで、8月中旬に最盛期を迎える。「白神みょうが」が無事に出荷されるまでには、たくさんの手間と人手がかかるが、みょうが栽培に欠かせないのが、春先に畑に大量に稲わらを敷き詰め、地温を温め生育促進させるかきわり作業である。これは、みょうがの色合いをよくする効果や土壌の乾燥を防ぐ大切な作業の一つで、みょうが畑10アールに、水田30アール分の稲わらが必要となる。すべて手作業なので、大変な重労働である(写真1、図2)。

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 定植は冬期を除いていつでも可能で、長い畑では10年以上収穫できるが、現在は1回の定植で5~6年収穫を行う生産者が多い。収穫作業は、みょうがを傷つけないよう慎重に行う。収穫後は、土や稲わらの洗い流し、脱水、選別作業からパック詰めまですべてが手作業で進められる(写真2、3)。

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3 出荷

 生産者96人で構成されるみょうが部会では、栽培期間中に栽培講習会を数回開催し、肥培管理など栽培技術の研鑽(けんさん)に努めている。収穫が開始される8月上旬頃には目揃い会を開催し、出荷規格の確認と目合わせをすることで、生産者の意識向上と品質の維持向上を図っている(写真4)。

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 出荷先は、県内、近隣地域のほか、関東、中京などである。鮮度を保つため、出荷施設で当日荷受けしたものを真空予冷機にて30~40分真空予冷し、5度の冷蔵庫で一晩しっかり冷やして出荷する。出荷規格は、50グラムパックと500グラムの大袋がある(写真5)。

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4 販売促進

 出荷の最盛期には、首都圏などの消費地の量販店にて販促キャンペーンや試食会を開催し、「白神みょうが」のPR活動にも力を入れている。
 香りとみずみずしさ、格別の柔らかさが特徴である「白神みょうが」は薬味だけに使うのはもったいない食材である。炒め物やおひたし、てんぷらや田楽、しょうゆ漬けなど、さまざまな食べ方を広く周知して消費の拡大を実現することで、価格の維持・向上につなげている。
 出荷期間終了後はさらなる品質向上のために、部会員、JA、行政、青果市場関係者が集まり実績検討会を開催し、次年度に向けた課題や取り組み事項について検討する。
 

◆一言アピール◆

 蒸し暑い毎日が続くと、さっぱりとした食べ物が恋しくなりますよね。冷たい麺類やお刺身の薬味など、「白神みょうが」は料理の脇役になっても、爽やかな味覚、シャキッとした歯触りでその存在感を発揮する食材です。旬を迎える夏の時期にもっともおいしくいただけます。 ぜひ季節の味をお楽しみください。
 

◆お問い合わせ先◆

 担当部署:〒016-0003 あきた白神農業協同組合 営農部 販売課
 住  所:秋田県能代市荷八田字石森台49-75
 電話番号:0185-55-0778
 ファクス:0185-89-6300
 ホームページ:https://www.akita-shirakami.jp/