JAあきた白神は日本有数の露地みょうがの産地である。戦後から本格的に始まったみょうが栽培は、平成元年のピーク時には出荷量が700トンまで伸びた。近年は、生産者の高齢化により栽培規模は縮小しているものの、全国上位に位置している。令和3年の出荷量と販売額は、約50トン、6700万円であった。
「白神みょうが」は、その名の通り、世界自然遺産白神山地の麓で丹精込めて育てられたブランド農産物である。平成27年に「白神みょうが」として商標登録した。白神山地から流れるミネラル豊富な天然水とみょうが栽培に最適な土壌風土が、「白神みょうが」の高い品質を決定づけている。
露地物の収穫は8月上旬から10月初旬までで、8月中旬に最盛期を迎える。「白神みょうが」が無事に出荷されるまでには、たくさんの手間と人手がかかるが、みょうが栽培に欠かせないのが、春先に畑に大量に稲わらを敷き詰め、地温を温め生育促進させるかきわり作業である。これは、みょうがの色合いをよくする効果や土壌の乾燥を防ぐ大切な作業の一つで、みょうが畑10アールに、水田30アール分の稲わらが必要となる。すべて手作業なので、大変な重労働である(写真1、図2)。
定植は冬期を除いていつでも可能で、長い畑では10年以上収穫できるが、現在は1回の定植で5~6年収穫を行う生産者が多い。収穫作業は、みょうがを傷つけないよう慎重に行う。収穫後は、土や稲わらの洗い流し、脱水、選別作業からパック詰めまですべてが手作業で進められる(写真2、3)。