ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > 千葉県 JAちばみどり~透き通るような白さと葉の緑がくっきり分かれた「ひかりねぎ」~
ちばみどり農業協同組合(以下「JAちばみどり」という)は千葉県の北東部に位置し(図1)、東総台地と九十九里平野からなる砂壌土、壌土、粘質土、火山灰土と、さまざまな土壌条件を有する温暖な農業生産力の高い地域のJAが一つになって、平成13年1月に誕生した。 長い年月の中で築き上げられた産地として、組合員は先人の苦労と努力を学びつつ生産に励んでいる。
管内の生産状況は、畑作地帯、稲作地帯、畜産、酪農、果樹、植木に分かれ、多種多様な農産物を生産販売している。 米は早期栽培の特性を生かし、減農薬・減化学肥料の特別栽培米に取り組んでおり、野菜については露地・施設野菜を合わせて年間60品目を生産し、多数のブランド品を擁している。 令和2年度の農産物販売高は、園芸が226億3787万円、農産が17億7645万円、畜産が38億5328万円である。 組合員数は、令和2年12月末現在で2万854人となっている。
管内のねぎ栽培の歴史は古く、昭和30年代から光町地区(現在の横芝光町)で栽培されたことが始まりである。現在では、匝瑳市、旭市へ栽培面積が広がり、管内で生産される長ねぎを高品質な「ひかりねぎ」としてブランド化している。栽培は秋冬・春・皐月・夏の作型で、年間70万ケース出荷している。また、平成8年には予冷貯蔵施設を備えた一元集出荷場が稼働したことにより、更なる品質の向上と取引先からの要望に沿った出荷ができるようになった。
近年では、安価な輸入ねぎの増加、難防除病害虫の発生、生産者の高齢化など、さまざまな課題に直面しているが、生産組織「そうさ園芸部」のねぎ生産者220人が一致団結して、ブランド産地の維持向上に取り組んでいる(写真1)。
各生産者が栽培基準と出荷規格に基づき生産、調整選別を行い、出荷場へ搬入している。出荷場では、専任検査員(5人体制)が出荷品の車上抽出検査を行い、合格した出荷品のみが専用のパレットへ下ろせるシステムになっている(写真2)。パレットに移されたねぎは同一施設内の真空予冷装置で冷却された後、すぐ隣の冷蔵庫に保管される。出荷場が一元化されているため、専任検査員の統一された目で確認でき、個人格差の是正が可能である。
そうさ園芸部には検査担当役員が8人おり、日々の検査状況を把握し、専任検査員との情報交換や検査指導を行うと共に、シーズンを通して役員自ら立会検査を行う。指導担当役員8人は、当地区に適した品種を選択するための比較試験(10社・20品種)と検討会を毎年実施している。作型ごとの残留農薬検査では、全生産者に対し、収穫中の圃場にはピンク旗立てを励行し、農薬のドリフト(注)を回避する対策をとっているほか、フェロモントラップによる害虫の発生予察、栽培履歴の記帳を義務付けている。栽培履歴の記録の未提出者は出荷不可となる(写真3、4)。
(注)農薬散布時に、隣接する他の圃場の農作物にも農薬が付着すること。
品質向上に向けては、美しさや太り具合を競う品評会である「立毛共進会」、選別の良い生産者に贈られる「優良出荷者表彰」などを毎年開催し、生産者が常に上を目指して技術を共有できる環境を整え、品質の良いねぎ作りに取り組んでいる(写真5)。流通においては、出荷先における着荷状態や他産地の規格などをチェックし、今後の改善につなげていく(写真6)。