管内のこまつな栽培において、最も問題となっているのが主要害虫のコナガによる被害である。コナガはライフサイクルが短く増殖率が高い害虫の一つで、農薬に対する抵抗性発達のリスクが高い。管内のコナガについても7~8年ほど前から抵抗性害虫が発生しており、農薬の選択が困難になっている。こうした状況に対応するため、当JAでは農薬だけに頼らない害虫防除対策技術の確立に向けたさまざまな取り組みを行っている。主な取り組み内容を以下に紹介する。
(1)物理的手法を利用した防除
管内のこまつな生産は施設栽培が多い。そのため施設内部へのコナガの飛来を防止する対策が有効と考え、ハウスサイド全面に1ミリ目の防虫ネットを取り付け、外部からの飛来防止対策を行っている。これによりコナガの飛び込みなども少なく、農薬による防除回数を削減することが可能である(写真2)。
(2)性フェロモン剤を利用した防除
コナガの雄は、雌が放出する性フェロモンに誘引され、雌を見つけて交尾する習性がある。性フェロモン剤はこの習性を利用し、雌の性フェロモンを放出して雄が雌の居場所を分からなくする効果があるとされている(交信
攪乱)。この効果を利用し、コナガの交尾率を下げ生息密度を低下させる取り組みを行っている。個人での取り組みではあまり効果が見込めないため、地域集落全体で処理を行う対策をとっている(写真3)。
(3)有効農薬の検討
農薬を使用した効率的な防除のため、農薬の成分ごとの抵抗性発達状況を調査し、薬剤抵抗性の発生していない成分を確認している。今後の薬剤抵抗性発達を遅延させるため、作用機構の異なる農薬をローテーションで使用し、農薬の効果を高めることにより高品質なこまつなを生産している。