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産地紹介 野菜情報 2022年1月号

和歌山県 JAわかやま ~排水性の良い砂質土壌で栽培する生育旺盛なこまつな~

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わかやま農業協同組合 西部営農センター 冨上 大介
こまつな

1 産地の概要

 わかやま農業協同組合(以下「JAわかやま」という)は、和歌山県の県庁所在地である中核都市、和歌山市を全エリアに収め、一行政・一JAとなっている(図1)。

図1 JAわかやまの管内図

 交通は、関西国際空港をはじめ、鉄道や阪和自動車道などの道路網が整備され、京阪神市場へのアクセスが容易である。現在、和歌山・奈良・京都を結ぶ京奈和自動車道の建設も進んでおり、管内は都市近郊型農業を展開するにあたり恵まれた環境下にある。
 気候は、瀬戸内海気候区に属し、比較的雨が少なく温暖である。管内農業では、海岸部および紀の川の中洲砂地地帯での根茎菜類が有名で、だいこんやにんじんの露地栽培、新しょうが、こまつな、ほうれんそうのハウス栽培が営まれている。また、紀の川流域水田地帯の水稲、水田裏作野菜(キャベツ、はくさい、ブロッコリーなど)、南東部の中山間地帯の果樹、その他花きなど、都市近郊型農業特有の多彩な作物が栽培されている。

2 栽培概要

 こまつなは、耐寒性が強く、積雪が無ければ周年の栽培が可能であるため、管内においても次第に周年栽培されるよ うになっていった。栽培サイクルが早く、栽培日数は、夏期では30日程度で収穫が可能である。
 管内のこまつなは、海岸部および紀の川中洲の砂地地帯での施設栽培(新しょうが、ピーマン、ししとう)の後作として盛んに栽培されている。海が近く温暖な気候であることから栽培管理がしやすく、排水性や通気性が良い全国有数の砂質土壌で栽培しているため、病害の発生なども少ない。また、土が軽いため、当地のこまつなはストレスなく根が伸長し、生育旺盛なのが特徴である。地下水も豊富で、それを生かした栽培技術によりブランド力を高め、市場からの評価も良い(写真1)。

写真1 全国有数の砂質土壌で栽培

 JA管内における令和2年産のこまつなの栽培面積は28.9ヘクタールで、青果物作付面積全体の約4%を占めている(表1、図2)。

表1  令和2年産 青果物品目別作付面積 


図2 令和2年産 青果物品目別作付面積割合

3 高品質なこまつな生産に向けた取り組み

 管内のこまつな栽培において、最も問題となっているのが主要害虫のコナガによる被害である。コナガはライフサイクルが短く増殖率が高い害虫の一つで、農薬に対する抵抗性発達のリスクが高い。管内のコナガについても7~8年ほど前から抵抗性害虫が発生しており、農薬の選択が困難になっている。こうした状況に対応するため、当JAでは農薬だけに頼らない害虫防除対策技術の確立に向けたさまざまな取り組みを行っている。主な取り組み内容を以下に紹介する。

(1)物理的手法を利用した防除
 管内のこまつな生産は施設栽培が多い。そのため施設内部へのコナガの飛来を防止する対策が有効と考え、ハウスサイド全面に1ミリ目の防虫ネットを取り付け、外部からの飛来防止対策を行っている。これによりコナガの飛び込みなども少なく、農薬による防除回数を削減することが可能である(写真2)。

写真2  施設内部へのコナガの侵入を防ぐ防虫ネット

(2)性フェロモン剤を利用した防除
 コナガの雄は、雌が放出する性フェロモンに誘引され、雌を見つけて交尾する習性がある。性フェロモン剤はこの習性を利用し、雌の性フェロモンを放出して雄が雌の居場所を分からなくする効果があるとされている(交信攪乱(かくらん))。この効果を利用し、コナガの交尾率を下げ生息密度を低下させる取り組みを行っている。個人での取り組みではあまり効果が見込めないため、地域集落全体で処理を行う対策をとっている(写真3)。

写真3  交信かく乱装置を設置している様子

(3)有効農薬の検討
 農薬を使用した効率的な防除のため、農薬の成分ごとの抵抗性発達状況を調査し、薬剤抵抗性の発生していない成分を確認している。今後の薬剤抵抗性発達を遅延させるため、作用機構の異なる農薬をローテーションで使用し、農薬の効果を高めることにより高品質なこまつなを生産している。

4 出荷

 当日収穫したものを即日市場へ出荷し、貯蔵は行わない。出荷規格は一袋200グラム以上であり、20袋詰め段ボールにより出荷している(写真4)。出荷時期は7月から11月が最盛期となっている。販売市場は、和歌山中央卸売市場、大阪中央卸売市場、京都中央卸売市場を主として、関西全域に供給しており、販売金額は、約1億4818万円(令和2年)である。

写真4  1袋200グラム以上、20袋詰め段ボールで出荷

 当JAでは、紀の川清流と温暖な気候の中で太陽光をしっかり浴びて育つ野菜を『紀州てまり野菜』としてブランド化している。安全・安心な農産物供給のために、防除記録簿による栽培管理の徹底や、残留農薬の自主分析などを行い、地区の生産者全体でブランド確立に向け取り組んでいる。高温期の出荷物については、JA所有の真空予冷施設を使用し、品質の管理・鮮度保持に努めている。
 
◆一言アピール◆
『紀州てまり野菜』ブランドのこまつなは、良質な土壌条件の下、肥料や水管理を徹底し、消費者の皆様に品質の良いものを届けられるよう心がけて栽培されています。安全安心な生産を行い、新鮮な状態で出荷していますので、お見かけの際はぜひ一度ご賞味ください。
 
◆お問い合わせ先◆
担当部署:JAわかやま 西部営農センター
住  所:和歌山県和歌山市狐島303-1
電話番号:073ー480-3450
FAX:073-455-0555
ホームページ:https://www.ja-wakayama.or.jp



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