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産地紹介 野菜情報 2021年12月号

大分県 JAおおいた中部事業部~水耕栽培によるみつばの周年生産~

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大分県農業協同組合 中部事業部 営農支援企画課 樋口 聡一郎
みつば

1 産地の概要

 大分県農業協同組合(以下「JAおおいた」という)は大分県内の19JAが広域合併して運営している。はじめに、平成20年6月1日に16JAが合併して誕生し、その後、22年9月1日に杵築市農業協同組合、令和3年4月1日に玖珠九重町農業協同組合、九重町飯田農業協同組合が加わった。現在、県内における農畜産物のJA取扱量において、全体の9割超を占めている。管内では、にら、大葉、パセリ、みつばが周年で栽培されているが、みつばは西日本一の出荷量を誇り、中部事業部(大分市、由布市)を中心に栽培されている(図1)。出荷量は年間約500トンで、FG規格(注1)換算で約40万ケース、販売額は約3億2000万円(令和2年度)である。主に、九州、中国、関西、関東の市場に出荷している。
 同事業部管内のみつば生産者により組織されているJAおおいた中部事業部みつば部会は、旧大分市農協時代の昭和51年に発足した。現在は、部会員8人が約6ヘクタール(ハウス36棟)の圃場(ほじょう)で栽培しており、主な生産地域は大分市内の上戸次、戸次、東陽、明治、高田、松岡、横見地区である。

(注1)野菜の鮮度を保持する袋(FG袋)の規格

図1

2 生産・栽培上の特色

 同部会では、土を使わず、栄養分を溶かした水に根を浸す方法(水耕栽培)でみつばを生産している。水耕栽培はみつばに適した環境にできることから、生育が早く、定植後、冬は45日から50日、春は30日から35日で収穫を迎える。このサイクルを1年間で7~8回繰り返すため、周年での栽培・出荷が可能である(図2、写真1、2)。
 栽培では水中の酸素が必要不可欠で、コンピューター管理のもと、定期的に空気を送りながら管理をしている。病気の発生しやすい夏場は溶液の管理が特に重要で、毎日みつばの状態を見ながら管理する必要がある。
図2
 
写真1
 
写真2

3 出荷の工夫

 同部会はJGAP団体認証(注2)を取得しており、平成25年からはJAおおいたGAP研究会大分みつば支部として認証を受けている。食の安全・環境保全・労働安全の実現を図り、消費者への安全・安心なみつばの提供に取り組んでいる。
 共同選果場での作業工程としては、生産者がパネルから抜いたみつばをコンテナに詰めて選果場に持ち込んだ後、場内のパートスタッフが下葉を取り除き計量を行う。その後、洗って脱水を行い、包装機に通し箱詰めする。下葉の除去作業を行う際に病害虫が出ていないか確認しながら作業をしているため、その段階で検品の作業も兼ねている(写真3、4、5)。
 
(注2)JGAP:生産から出荷の過程で安全性にかかわるさまざまな要因をチェックする制度。安全な農畜産物の生産、環境に配慮した農業を実現するための農業生産工程管理手法の一つ。
 

写真3
 
写真4
 
写真5

4 販売戦略

 同部会では食育活動にも力を入れており、毎年3月8日を「みつばの日」とし、20年以上前から市内の約40校の小学校や約20カ所の福祉介護施設にみつばを無料配布する活動を行っている。小学校へみつばを配布した後日、学校より『みつばをありがとうございました、おいしくいただきました』という内容の手紙が届いたことがある。家庭では料理されることが少ないみつばだが、こうした活動によってみつばを家庭で消費される身近な野菜にしていけたらという思いで、生産・販売活動に取り組んでいる。
 
◆一言アピール◆
みつばにはカリウムや鉄分、ビタミンなどが豊富に含まれており、美容と健康にとても良い野菜です。そのままサラダにしても卵焼きに入れてもおいしいので、ぜひ大分のみつばを食べてみてください。
 
◆お問い合わせ先◆
担当部署:大分県農業協同組合
住  所:大分県大分市花園3丁目2番10号
電話番号:097-546-1148  FAX番号:097-545-1144
ホームページ:https://jaoita.or.jp/